投資信託とは? どんな種類があるの? メリット・デメリットは?【投資初心者にFPが解説】

2024年3月15日(金)10時39分 マイナビニュース

投資初心者に向いていると言われる「投資信託」。投資信託は、少額から始められる、運用をプロに任せられるなど、初心者に嬉しいたくさんのメリットがあります。しかし、投資を始めるなら、最低限の知識は身に付けておかなければなりません。そこで今回は、投資初心者の方に向けて、投資信託の基本的な知識を詳しく解説します。
■投資初心者は知っておきたい!「投資信託」とは?
今年は新NISAが始まり、投資の話題や「投資信託」というワードを耳にする機会が多いかもしれません。では、投資信託とはどのような金融商品なのでしょうか。
・投資信託は「パッケージ商品」
投資信託(ファンド)とは、投資家から集めたお金を1つの大きな資金としてまとめ、運用のプロが株式や債券などに投資・運用する「パッケージ商品」です。投資信託はよく、「幕の内弁当」や「コース料理」などに例えられます。幕の内弁当は、はじめから色々なおかずがバランスよく入っていますし、コース料理は、前菜、スープ、メインなど、さまざまな料理が1つのコースで楽しめるようになっているからです。
投資信託においては、食材が投資商品、投資の専門家が食材を調理するシェフ、そして、投資信託がコース料理と考えるとわかりやすいかもしれません。投資の専門家は、食材を調理するシェフのように、どのような投資商品をどのような配分で投資信託に組み入れるか考えるのです。
投資信託は、1つのファンドの中でもさまざまな資産や複数の国・地域への投資が可能ですので、自力で分散投資しなくても、ファンドを購入するだけで手軽に分散投資ができます。
・投資信託の値段は「基準価額」
投資信託の値段(時価)は、「基準価額」と言います。基準価額は、投資信託を買ったり換金したりする時の基準となるもので、毎営業日、計算・公表されています。投資信託の純資産総額を総口数で割ると、一口あたりの値段が算出できます。
「口数」とは、投資信託の取引単位のことです。たとえば、運用を始めた時点で1口=1円で購入できた投資信託は、運用が始まると、1口の値段が運用の成果により変動していきます。
・投資信託で得られる2つの利益
投資信託では、値上がり益(キャピタルゲイン)と分配金(インカムゲイン)の2種類の利益が得られます。値上がり益は、投資信託を売った時、売却時の基準価額が購入時の基準価額を上回っていれば得られます(販売手数料等は考慮していない)。
一方、分配金とは、運用によって得られた収益を投資信託の購入者に分配するお金のことです。決算日時点で投資信託を保有していれば得られますが、運用益を元本に組み込む「分配金なし」のタイプもあります。
なお、投資信託で得た利益には約20%の税金がかかります。しかし、「NISA(少額投資非課税制度)」などを活用すれば、運用益が非課税になり、効率的にお金が増やせます。
・投資信託には手数料がかかる
投資信託の購入や保有には、3つの手数料がかかります。1つめは「購入時手数料(申込手数料、販売手数料)」で、買う時にかかる手数料です。ファンドや販売会社によっては、かからない場合もあります。2つめは「信託報酬(運用管理費用)」で、投資信託を保有している間にかかる手数料です。
3つめは「信託財産留保額」で、投資信託を売る時にかかる手数料です。投資信託によって、引かれる場合と引かれない場合があります。
■投資信託のメリット、デメリット
投資信託にはいくつものメリットがありますが、デメリットや注意しなければならない点も存在します。投資信託のメリット、デメリットを確認してみましょう。
<投資信託のメリット>
1.少ない金額から始められる
株式や債券などを購入する場合、一般的にはある程度まとまった資金が必要になります。しかし、投資信託の場合、証券会社によっては100円、1,000円などの少額から購入可能です。これなら、投資に慣れていない初心者でも気軽にスタートできますね。
2.分散投資できる
投資信託は、購入するだけで自動的に「分散投資」ができるというメリットもあります。分散投資には、「資産・銘柄の分散」や、「地域の分散」、また、投資する時間(時期)をずらす「時間(時期)の分散」などがあります。
資産や銘柄、地域を分散すれば、ある投資先のマイナス分を他の投資先でカバーする効果が得られます。また、投資する時間(時期)をずらせば、購入価格を平準化でき、結果的に安く買い付けることができます。なお、投資する時間(時期)をずらすには、定期的に決まった金額を積み立てる「積立投資」を利用しましょう。
3.運用をプロに任せられる
投資信託は、投資のプロであるファンドマネージャーが、運用方針に基づいて銘柄を選び、運用してくれる金融商品です。そのため、自分で細かく情報を分析したり、高度な投資手法を身に付けたりする必要がなく、プロに運用を任せられます。
投資信託には多くの種類がありますが、購入するファンドを決めれば、あとは頻繁に情報をチェックすることなく、仕事やプライベートなど日常生活に集中できる点は魅力でしょう。
4.個人では難しい商品に投資できる
投資信託は、国内外の株式や債券、不動産など多種多様な資産を組み入れています。投資商品の中には、発展途上国の株式や債券、特殊な金融商品など、個人で購入するには難しいものもありますが、投資信託なら、そうした商品への投資も簡単に行うことができます。
<投資信託のデメリット(注意点)>
1.元本保証がない
一般的にどの投資商品にも言えることですが、投資信託は銀行預金などとは違って値動きによる損失リスクがあり、元本保証はありません。また、必ず利益が得られる保証もありません。
投資信託を運用するなら余裕資金で行い、「長期・積立・分散投資」を基本姿勢とするなど、リスクを軽減する投資方法を実践しましょう。
2.手数料がかかる
投資信託の購入や保有には、先ほどご紹介した「購入時手数料」「信託報酬」「信託財産留保額」の3つの手数料がかかります。
ただし、投資信託によっては購入時手数料のかからない「ノーロード型」もありますので、こうしたものを選べば運用コストを抑えられます。また、保有中にかかる信託報酬の多寡は運用成果にも影響を及ぼしますので、できるだけ安いものをチョイスするといいでしょう。
■投資信託にはどのような種類がある?
投資信託は種類が多く、商品数は約6,000本も存在すると言われています。また、投資信託の分類方法もいくつかあり、その中で一般的なのは、運用対象によって商品を分けるという方法です。この方法では、投資信託を「国内債券型」「海外債券型」「国内株式型」「海外株式型」「バランス型」の5種類に大きく分けることができます。
・国内債券型
「国内債券型」は、日本国内の公社債に投資する商品で、安定した運用が望める商品が多くあります。
・海外債券型
「海外債券型」は、海外の公社債に投資する商品で、国内債券型と比べると高い収益性が期待できます。ただ、為替変動による資産価値への影響を回避・軽減するための「為替ヘッジ」を行うファンドもありますが、為替ヘッジを行わない場合は、為替の変動リスクが伴います。
・国内株式型
「国内株式型」は、国内の株式に投資する商品です。株式は債券と比べて価格変動リスクが大きい投資対象ですので、株式を組み入れる比率が高いほど、一般的には「ハイリスク・ハイリターン」となります。「海外株式型」は、海外の株式に投資する商品です。為替ヘッジをしていない場合は為替変動リスクを伴い、一般的に、債券型や国内株式型に比べて値動きが大きくなる傾向にあります。
・バランス型
そして「バランス型」は、国内外の株式や債券、不動産投資信託など、複数の資産に分散投資している投資信託です。株式や債券など値動きの異なる資産に分散して投資することで、リスクを抑えた運用が期待できます。
どのようなファンドを選べばいいか迷う場合や初めて投資する場合、また、安定的に運用しながら利益も狙いたい場合は、1本で幅広い資産に投資しているバランス型を選ぶといいでしょう。反対に、積極的に利益を狙いたい場合は、先進国や全世界に投資している株式型ファンドがおすすめです。
■インデックスファンドとアクティブの違いは
投資信託を運用対象ごとに分けると5種類になりますが、その他にも、運用方針ごとに「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の2種類に分ける分類方法もあります。
・インデックスファンド
インデックスファンドとは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)といった株価指数と同じ値動きをするよう設計された投資信託です。たとえば、日経平均株価をベンチマーク(運用の指標とする基準)とするインデックスファンドなら、日経平均株価が上昇すれば、そのファンドの基準価額も同程度の割合で上昇します。このように、インデックスファンドは値動きがわかりやすいため、投資初心者にも向いているファンドと言えるでしょう。
また、インデックスファンドには運用コストが安いという特徴があります。インデックスファンドは指数と連動するような設計であるため、運用に関わる人件費が一部不要となり、運用管理にかかる費用(信託報酬)が安く済むからです。
・アクティブファンド
アクティブファンドは、ファンドマネージャーと呼ばれる運用のプロが投資の判断をする投資信託です。ファンドマネージャーは、取材などを通じてさまざまな企業の情報収集を行い、それらを分析して組み入れる銘柄を決めています。インデックスファンドと違い、対象となるベンチマークと連動する仕組みではないため、値動きの理由が複雑という特徴があります。
アクティブファンドは、株価指数等のベンチマークを上回る運用成果を目指しますが、投資のプロによる調査や分析が入るため、運用コストは高くなります。
インデックスファンドとアクティブファンド、どちらがいいかは一概には言えませんが、リスクを抑えて運用するなら投資期間を長く持つ「長期投資」が基本になります。長期投資の場合は特に、コストの差が運用成果に大きく影響しますので、長期で安定的に運用するなら、インデックスファンドを選ぶといいでしょう。
■投資初心者は少額から始め、投資信託のコツをつかもう
今回は、投資信託の基本的な知識について詳しく解説しました。初心者にとって投資信託の一番のメリットは、100円や1,000円といった少額から始められる点でしょう。損をしても構わないと思える小さな金額から始め、「投資信託はこういうもの」という感覚をぜひつかんでみてください。
武藤貴子 ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント 会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中 この著者の記事一覧はこちら

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