母親がダイナマイト心中自殺…残された息子の壮絶人生とは!? 末井昭インタビュー「どんな修羅場もなんとかなる」

3月16日(金)7時0分 tocana

画像は、映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』より

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 自伝的映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』こそが、末井昭の新たな伝説となるだろう。その公開が迫っている。(3月17日から全国公開!)

「母親は爆発して僕を村から吹き飛ばしてくれたのかもしれません」

 そんなセリフが映画のモノローグになっている。確かに、母親のダイナマイト心中は当時、新聞に載るほどの大ニュースになった。それも相手が不倫相手の若い男だったとなれば、田舎の村ではいたたまれないだろう。末井青年はそこから飛び出し、のちに上京してデザインを学び、キャバレーの看板描きを経て、出版社で働くようになる。

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 その後は、雑誌編集者としてメキメキと頭角を現し、大活躍していく。写真家・荒木経惟とタッグを組んだ『写真時代』、その廃刊にもめげずに『パチンコ必勝ガイド』で平成のパチンコブームを牽引し、それらの大ヒットで、名物編集長として名を馳せる。

 その一方で、末井は浮気や愛人の自殺未遂、ギャンブルや先物取引で多額の借金を抱えるなど、終わりなき修羅場にハマり込む。それゆえ、末井の優しさ、弱者に対する暖かい眼差しを生んだともいえる。

 この映画で、母親役を演じる尾野真千子と映画原作者の末井が主題歌「山の音」をデュエットしているというのも、また掟破りである。

「音楽監督を務めた菊地成孔のアイディアで、絶対にそれやりしょうと飛びつきました」

 そう冨永監督は語る。映画では、菊地成孔は音楽のみならず、天才写真家・荒木経惟を演じ、映画初出演を果たしている。「芸術だから」といって、女の子たちを裸にしていく様子を自然体で演じている。当時のエロ本業界がうまく描かれているのところも素晴らしい。

 そんな日本のエロ本業界を支えてきた白夜書房に勤務した経験を持ち、末井の直系の後輩といえる、“世界のカウンターカルチャーを追う男”ケロッピー前田が、末井昭のインタビューに挑んだ。

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——お母さんのダイナマイト自殺は、他のご家族にはどんな影響を及ぼしたのでしょうか? たとえば、お父さんとか?

末井昭氏(以下、末井)「親父は引きこもりになっちゃいましたね。もともと親父にも原因があったし、人と会いたくないって、家で寝てばかりで働かないんですよ。だから、うちに食べるものがなくなって、3つ下の弟といっしょに栗林に入って、栗を拾いに行ったりね。夜中に僕が栗の木に登って、カサカサとやるんだけど、うちの弟の頭にポンポン落ちてくるから泣き出しちゃってね。そういう日々だった」


——映画のなかにある末井さんのお父さんがテレビに出演しているシーンは何でしょうか?

末井「『ルックルックこんにちは』というテレビ番組です。視聴者の願いを叶えるというコーナーがあって、うちの親父が応募して出演したわけ。その願いというのが、岡山のかなり離れたところに住むおばあちゃんと付き合ってて、ときどき会っていたんだけど、そこの娘さんに反対されているから許してもらいたいと。親父とおばあちゃんがテレビに出て、2人の恋愛を許して欲しいと話したら、コメンテーターの竹村健一も応援して、娘さんに電話をするわけです。そして、竹村健一がおばあちゃんの恋愛を許してあげてくださいと言ったら、娘さんが一言、岡山弁で『やっちもねー』って。要するに『くだらない』というわけ(笑)」


——許さないと(笑)

末井「で、ガチャンと切られちゃったの。そうしたら、スタジオのみんなはポカーンとしちゃって。それを弟が見ていたんですよ。僕は見ていないんだけど」

 
——お父さんは不思議な人ですね

末井「人前で何かをするのが好きなんですよ。似ているところがありますね、嫌なんですけど(笑)」


——映画のなかでお父さんが亡くなるシーンもありました。

末井「親父は死ぬ間際は、『NHKのど自慢』が岡山に来るというんで予選合格して、浪曲子守唄を歌うことになってたんだよね。風呂のなかで『逃げたー女房にゃ』って練習してたら、二番になったら声が聞こえなくなったって。長屋の隣りに住んでたおばさんの証言によれば、そのときに亡くなったんじゃないかって」


——お風呂で歌の練習をしている途中で亡くなられたんですね。クリスマスツリー爆弾というのは何でしょうか?

末井「うちの義理の弟、つまり前の奥さんの弟さんが、クリスマスツリーに爆弾を仕掛けて逮捕されて、刑務所生活23年。それでも今は出版社の社長をやったりしてますけど」


——その事件もダイナマイト自殺と繋がっているんですか?

末井「繋がっていないけど、爆発ということでは繋がっているかな(笑)」

『素敵なダイナマイトスキャンダル』という映画は、人生に悩んでいる人たちにすごく響く映画だと思うんですけど、そういう方々にメッセージをお願いします。

「悩んでいる人がこの映画で救われるかどうかはわかりませんけど、モヤモヤしているものはすっきりするでしょう。今の時代って、息苦しい感じありますから」


——確かにそうですね。

末井「ちょっと抽象的な表現なんだけど、自分がここにいて、目的地に行こうとしたときにひとつのルートしかないんですよ。たとえば、編集者になろうとしたら、まず大学を卒業するとか、大手の出版社に入るためにはルートがあるわけじゃない。いろんな意味で最短距離のルートがなく、遊びや隙間がないんだよね。そんな時代だからこそ、あの時代の緩さとか、いい加減さを映画を見ながら、体験してもらうといいんじゃないかな。今とは確かに違うけど、自分の気持ちのなかにそういうものを持てれば、楽になる部分もあるんじゃないかな」


——新刊『生きる』も悩んでいる人を励ましてくれそうですね。

末井「どんな修羅場もなんとなるっていうヒントにしてもらえれば」

——ありがとうございました!
(文=ケロッピー前田)

※画像は、映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』より

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