サファリ? パトロール? 丸目の日産トラックは想定外の個体だった
2025年3月17日(月)8時0分 マイナビニュース
旧車の祭典「ノスタルジック2デイズ」(2月22日〜23日にパシフィコ横浜で開催)でシンプルな丸形2眼ヘッドライトを備えたイエローボディのピックアップトラックを発見した。日産自動車「パトロール」(旧型)のトラックバージョンかと思いきや、話を聞くと意外な事実を知ることができた。
○もともとは消防車?
国産旧車やそのパーツを扱うバラクーダ(千葉県成田市)のブースで出会ったイエローのトラック。3代目パトロール(160型)のピックアップトラックバージョンだろうと最初は思ったのだが、同社の飯田浩士代表によると「実は、このクルマは日本国内用に製造された1983年式のサファリがベースとなっているようです」という。搭載する消防車専用の排気量3,956cc直列6気筒PF40型ガソリンエンジンとボディサイズ(全長4,690mm、全幅1,690mm、全高1,865mm)、2,970mmのロングホイールベース、右ハンドルなどの“証拠”から判断したそうだ。
さらに、「このクルマはエンジンにガバナーという装置(放水運転中に水がなくなって負荷がなくなった時に、エンジン回転数を一定に保つ装置)が付いていて、公道上では40km/hくらいしか出してはいけない設計になっています」との話も聞けた。そのため、2座のシートはシンプルな形になっていて、ヘッドレストをつける必要がない(法規的にも)のだそうだ。
160型サファリにはこのほか、観音開きのバックドアを持つエクストラバンや2ドアショートホイールベースのハードトップ仕様があったという。このサファリは後部にピックアップトラックの荷台を取り付けた“今風“のモディファイがなされている。フロントフェンダーとリアには「PATLROL」のエンブレムを、またフロントグリルには小さな、リアには大きな「DATSUN」の文字を入れて、中東やオーストラリアで人気の「DATSUN PATROL」仕様に仕上げてある。
室内のハイ・ロー2速のトランスファーギアレバーや車体下面に見えるゴツいディファレンシャルケース、4輪リーフリジッドの厚い板バネをみる限り、走破性や耐久性もすごそう。この形の現存車は日本には2台ほどしかないという。
価格は応談だが、手に入れれば間違いなく目立つはず。こんな珍しいクルマに出会えるのも、ノスタルジック2デイズの楽しいところだ。
原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)会員。 この著者の記事一覧はこちら