【医師監修】低出生体重児の持つ2つのリスクは? 原因・後遺症の可能性・発育について

3月17日(金)18時20分 マイナビウーマン

【医師監修】低出生体重児の持つ2つのリスクは? 原因・後遺症の可能性・発育について

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現代では、出生体重が「2,500g未満」の低出生体重児が増えているといわれています。そこで今回、低出生体重児の健康上の問題やその原因、発育などについて紹介していきます。







この記事の監修ドクター

わだ小児科クリニック 和田直樹先生

これまで30年余りの病院小児科での経験をいかして お子様の健康と病気全般を扱うクリニックにしてまいりたいと思っています。また背の低い子供の診療も積極的に取り組んでいきたいと思っています。
わかりやすい説明をモットーに子供たちの頼れるかかりつけ医をめざしています。日々お母さんたちが抱いている疑問や悩みについても気軽にご相談ください。
http://www.wadaclinic.com/
低出生体重児とは?

低出生体重児の出産は、決して珍しくありません。「赤ちゃんは、小さく産んで大きく育てるのが良い」などとも言われますが、現代では小さく生まれること(低い出生体重であること)で、合併症や、健康発育上の問題につながりやすくなることが判明しています。低出生体重児だからといって、不安になり過ぎる必要はありません。これからパパ・ママになる方は、正しい知識を身につけることが大切です。
定義は? 低出生体重児とは、2,500g未満の出生体重生まれた赤ちゃんを指します。WHO (世界保健機構)では、この条件に当てはまる赤ちゃんを「未熟児」と表現していましたが、現在では「低出生体重児」と呼ばれることが一般的です。

赤ちゃんは出生体重によってそれぞれ呼び名があり、分類されています。出生体重が1,500g未満の赤ちゃんは「極低出生体重児」、出生体重が1,000g未満の場合は「超低出生体重児」と呼ばれます。このほか、出生体重が2,500g以上4,000g未満の場合は「正出生体重児」、出生体重が4,000g以上の赤ちゃんは「高出生体重児」という名称がつけられています。
低出生体重児は決して珍しくない厚生労働省のデータ(*)によれば、低出生体重児の出産は、年々増加傾向にあります。1975年の低出生体重児の割合が4.6%であったのに対して、2009年の低出生体重児の割合が8.3%にまで増加しています。つまり、100人の新生児のうち8人以上が2,500g未満で生まれてくるので、低出生体重は決して珍しくはありません。

(*「平成22年度「出生に関する統計」の概況 人口動態統計特殊報告」厚生労働省

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/syussyo06/syussyo2.html#05)
低出生体重児が抱える2つのリスク

低出生体重児で生まれてくると、合併症のほか、さまざまな健康上の問題が出る可能性があります。しかし出生体重が2,000g以上である場合は、問題にならないことも多いです。低出生体重児の中で気をつけなければならないのは「超低出生体重児」や「極低出生体重児」といった小さな赤ちゃんの場合です。
合併症・後遺症が出やすい 超低出生体重児や極低出生体重児の場合は、健康上のさまざまな問題を引き起こす「合併症」が高い確率で起こります。具体的には、動脈管開存症、呼吸窮迫症候群、新生児仮死、慢性肺疾患、貧血ほか未熟児網膜症(網膜の異常)が見られるケースもあります。これらの合併症は、身体の機能が未熟なために起こります。また、以下は出生体重と後遺症の関係を示したデータ(*)です。

・出生体重1000g未満 →後遺症率10〜20%

・出生体重1000〜1500g →後遺症率5〜10%

・出生体重1500〜2000g →後遺症率5%未満

・出生体重2000g以上 →後遺症率5%未満

なお、具体的な後遺症としては、発達の遅れや、手足の運動障害などがあります。程度の差やその後の発達には、個人差があるとされています。

(*横浜市立大学附属市民総合医療センター総合周産期母子医療センター

http://www.uraboshi.jp/answer.html)
低出生体重児は「肝芽腫」が発生しやすい?現・獨協医科大学越谷病院小児外科の池田氏によって「極低出生体重児の肝芽腫(かんがしゅ)が増加している」ということが、1997年の段階で報告されています。(*)肝芽腫(かんがしゅ)とは、子供の肝臓に発生するガン(悪性腫瘍)の中で最も発生頻度の高いものです。

その後「極低出生体重児は、およそ40倍も肝芽腫を発症しやすい」ということも判明しています。したがって、出生体重が1,500グラム未満の赤ちゃんは、定期的に専門医を受診することが早期発見・治療につながります。

(*「低出生体重児の肝芽腫」独協医科大学越谷病院小児外科

http://www.dokkyomed.ac.jp/dep-k/ped_surg/texts/T_lbw&hb.htm)
低出生体重児の原因3つ

低出生体重児の出産が年々増加傾向にあることはすでにお話ししました。不安に感じるかもしれませんが、原因の1つには「医療の進歩」も挙げることができます。つまり、これまでは亡くなることも多かった低出生体重児の生存率が向上しているということです。
「医療の進歩」が低出生体重児を増やした!?「医療の進歩で低出生体重児が増える」とは矛盾に感じられるかもしれません。しかし、これまでは死産であったような早産などのケースでも生存が可能なケースが増えた(救命率が向上した)ために、低出生体重児が増加した側面もあると考えられています。以下は出生体重と生存率の関係を示したデータ(*)です。

・出生体重500g →生存率50%

・出生体重500〜750g →生存率70%

・出生体重750〜1000g →生存率90%

・出生体重1000〜1500g →生存率95%

・出生体重1500〜2000g →生存率95%

・出生体重2000g以上 →生存率95%

このように出生体重が軽い場合でも、生存率が相当に高いことがわかりいただけるでしょう。これは、日本における医療の優秀さを証明するものでもあり、結果として、低出生体重児増加の一因となっていると考えられます。

(*横浜市立大学附属市民総合医療センター総合周産期母子医療センター

http://www.uraboshi.jp/answer.html)
「胎内での低栄養」や「嗜好品摂取」も原因にただし、低出生体重児の全ての原因が「医療の進歩」というわけではありません。近年の研究では、親の経済状態と出生時の低体重に相関関係があるという報告もあります。つまり母親の栄養状態が悪いと、結果的に赤ちゃんが「胎内での低栄養」に陥りやすいのえはないかと考えられています。このほか、無理なダイエットによる「カロリー不足や栄養の偏り」を原因と考える専門家も存在します。

ちなみに、喫煙、アルコール、カフェインなど摂取が、胎児の「子宮内発育不全」につながっているという説もあります。一般的に胎児の発育に対するリスクと考えられているので、控えるようにしましょう。
高齢出産もリスクになる2010年の人口動態調査(*)を見ると、母親の年齢と、低出生体重児の出産には相関関係があることが分かります。20代の母親では、低出生体重児の出産割合が最も低くなっていますが、30代を超えるとともに、その割合が上昇。45歳以降では、低出生体重児の出産割合が20%程度にまで達します。ただし若すぎる母親も問題で、20歳よりも低年齢になるにつれて低出生体重児の出産割合が高まります。

(*「人口動態調査」厚生労働省

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/m2010/12.html)
低出生体重児の発育

低出生体重児の発育は、むやみに焦らないということがキーワードになるかもしれません。親御さんが焦る気持ちも分かりますが「辛抱強く待つ姿勢」でいることも大切です。
発育に伴って判明する合併症低出生体重児の中でも特に「極低出生体重児」については、運動障害(脳性麻痺)ほか、知的障害などが合併症があらわれる頻度が高いと考えられています。ただし単に発達(発育)が遅いだけで、後から少しずつ追いつく場合もあるので、長期的な経過観察を行う必要があります。発達過程にも個性がありますので、見守る気持ちが大切です。

なお、「一人座り」「つかまり立ち」「つたい歩き」といった発育の指標となる運動については「出生体重が低いほど遅れる」という傾向が認められています。
いつ退院するのが良い?低出生体重児の場合は、病院に設置された保育器で経過観察することも多いです。「体重が2,000g以上あって、ミルク(母乳)を自力で飲める」赤ちゃんならば、退院許可が出るケースもあります。しかし2,500gに達するまでは、病院で看てもらったほうが無難と言えるでしょう。なお、早産でなおかつ低出生体重児や、重い疾患を抱えている新生児についてはNICU(新生児特定集中治療室)で過ごすことになります。今後の育て方や発育、そして退院のタイミングについては、担当の医師からよく話を聞くようにしましょう。
まとめ

子どもが低出生体重になるリスクはゼロではないですが、ママになる前や妊娠中から防げることもあるでしょう。まずは栄養バランスのよい食事を摂ることが大切です。食事制限やダイエットのしすぎに気をつけ、必要なカロリーと栄養はきちんと摂取するようにしてください。

マイナビウーマン

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