“教育ママ”に心臓発作や脳卒中を患う親が増えている=中国

2024年3月16日(土)12時0分 tocana

 子を持つ中国の親たちにストレスが蔓延か——。子供の宿題をみてあげている最中に心臓発作や脳卒中を発症して病院に運ばれる中国人の親が増えているというのだ。


■子供の勉強をみていた“教育ママ”が脳卒中に


 中国政府は2021年7月、小中学校教科の学習塾を規制し、加えて家庭教師を禁止するという施策を講じた。


 国内の出生数低下の一因に高騰する教育費があると考えた政府は、子育て世帯の家計を圧迫する塾代や家庭教師費用の削減を目論んだのだ。


 親たちにとっては教育費が抑制されるものの、そうなると場合によっては自分たちが子供の学業の進捗具合をみなければならなくなる。子を持つ親たちに余計なプレッシャーが加わることにもなったのだ。


 今年1月のある晩、杭州在住の2児の母である40歳のドンさんは、息子の1人の数学の宿題を手伝っていたとき、子供が問題を理解していなかったために冷静さを失い取り乱し激高した。


 この直後、女性は割れそうな頭痛を感じ、続いて嘔吐した。 数時間横になってみたものの、症状は全く改善しなかったので仕方なく病院へ行ったのだ。


 徹底的な検査とCTスキャンの結果、ドンさんは自然発生的なくも膜下出血と診断された。これは軽度の脳卒中であり、継続的な長期に及ぶストレスが原因である可能性が高い。息子の宿題をみている最中の突然の激高は、まさにとどめの一撃であったのだ。


 実はこのケースは現在、中国社会で憂慮すべきほど頻繁になりつつある悲劇であるという。


「Oddity Central」によると、中国で2019年に息子が数学の問題を解けないことに逆上して興奮し、心臓発作を起こした36歳の母親のケースが報告されているのだが、それ以前はこのようなニュースは前例がなかったという。


 


 しかしその翌年の2020年には、息子の宿題を手伝っているときに激しく叱責したために心臓発作を起こした45歳の中国人男性のケースが報告され、それ以来、子供の宿題を手伝っている間に脳卒中や心臓発作に見舞われた親の話は特に珍しいものではなくなったということだ。


■高血圧の“教育ママ”が緊急手術


 そして同じく今年1月13日、中国江蘇省連雲港市の37歳の女性は、小学4年生の息子に算数を教えていたところ、何度教えても息子が理解できていないことに腹を立て、もともと高血圧だった血圧はさらに高くなり、ある時点で胸に軽い痛みを感じ呼吸困難になった。


 母親は少し横になることにしてソファで休んでいたが、幼い息子がまだ問題を理解していないのを見て再び腹を立てて立ち上がろうとした矢先、胸に激痛を感じて床に倒れてしまったのだった。


 彼女はうずくまって大量の汗をかきながら呼吸困難になり、息子が父親に連絡すると救急車がやって来た。


 母親は病院に救急搬送された後、A型大動脈解離と診断され、緊急手術が行われた。医師らは大動脈の後壁に約2センチの裂傷と、大量の血栓を発見した。約7時間後、医師らが裂傷を修復し、ようやく女性の状態は安定したのだ。


 健康専門家らは、女性は仕事や家事、周囲からのプレッシャーなどで常にストレスや不安にさらされており、それに輪をかけて子供の宿題がストレス要因のリストに加わったため、この種の健康上の問題を抱えやすくなっていると説明している。


 中国の少子化対策に端を発する学習塾の規制と家庭教師の禁止は、中国の教育熱心な親たちに思わぬストレスをもたらしているようだ。


参考:「Oddity Central」ほか

tocana

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