血液検査で認知症予防効果を判定 逗子市で初の試み、参加者募集

3月19日(金)15時30分 OVO[オーヴォ]

アルツハイマー病発症までの経緯

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 小さじ1杯半程度の血液で認知機能低下の度合いが分かる検査法を利用し、「運動」「音楽」「朗読」などの認知症予防事業の効果を判定しようという試みが、神奈川県逗子市で4月下旬から始まる。65歳以上の男女60人に、予防事業のいずれかを約1カ月間受けてもらい、その前後の血液検査の結果をもとに、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)になるリスクや予防の効果を調べる。こうした試みは全国初という。検査方法を開発した筑波大発のベンチャー企業MCBI(茨城県つくば市、社長・内田和彦筑波大准教授)が中心となり、県、市、県医師会などが協力・後援。参加者(参加無料だが条件付き)を4月9日まで専用コールセンターで募集している。

MCIリスクを数値で

 認知症患者は国内に約600万人、2025年には約700万人(高齢者の5人に1人)になると推計され、認知症の一歩手前であるMCIの人もほぼ同数いるとされている。認知症患者の約3分の2を占めるアルツハイマー型は、脳内でつくられたベータアミロイドというタンパク質が排出されず脳に蓄積するのが原因で、数十年かけて進行するとみられている。MCIでは物忘れのような記憶障害が出るものの、症状は軽く日常生活に支障がないため、見逃されるケースも多い。根治薬はなく、約40%は4年後には認知症に進行する一方、正常レベルに回復する人もいるといい、自覚症状の少ないMCIを早期に発見し適切な対応を取ることが認知症対策では重要となっている。

 内田准教授らはアルツハイマー病やMCIと診断された人の血液を解析し、ベータアミロイドの排出に関与する3種類のタンパク質(アポリポタンパク質、トランスサイレチン、補体タンパク質)の血中濃度が、認知機能にかかわる脳の海馬の萎縮や脳血流量の減少といった画像診断結果と相関があることを確認。3種類のタンパク質の検査を組み合わせるとMCIかどうかの判別精度は約90%と高く、脳機能低下を評価する上で有効な指標(バイオマーカー)となることを突き止めた。この検査方法は、大がかりな診断装置が必要なく、7mlの採血でMCIのリスクを数値として示せるのが特長。既に全国各地の病院で、MCIリスクを判定するスクリーニング検査として実施されている(健康保険は効かず1回2万円程度)。

予防事業を発掘、育成

 逗子市での実証実験は①4月に採血②運動、音楽、朗読の3コース(各6回)のうち一つを約1カ月間受講③6月に採血——という手順で実施する。運動は軽い体操やストレッチをする、音楽は子どものころに聞いた音楽を聞いて記憶を引き出す、朗読は声と言葉を鍛える、などの手法で認知機能の維持・向上を目指す。検査データの解析と各事業の効果判定は慈恵医大が担当し、結果は参加者や逗子市に報告される。

 MCBIの担当者は実証実験について「機能低下や予防事業の効果を、共通の尺度で測って定量的に示せる。参加者の生活習慣改善や行動変容のきっかけになれば」と説明。自治体にとっては、効果の高い認知症予防事業を発掘したり推進したりする際の目安になる、と期待している。

 参加は無料だが①65歳以上②要介護認定を受けておらず自分で逗子市内の会場に来られる③同会場で4月22、23日に計6回開かれる説明会のいずれかと、5〜6月に集合形式または自宅学習方式で開かれる全6回の講座にすべて参加できるのが条件。応募者多数の場合は、逗子市民優先で抽選となる。問い合わせ、申し込みは「認知症予防講座コールセンター」、電話03-6634-5294(平日の午前10時〜午後5時)。

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