橋を渡り、島を巡る - 「しまなみ海道」でのサイクリングは最高だった

2025年3月20日(木)9時17分 マイナビニュース


雪の北海道新千歳空港から広島空港へ
前回は札幌から「しまなみ海道」を目指して飛行機輪行した話を紹介した。本稿はその続きとなる。
3/3 17:30 新千歳空港から広島空港に到着。視界に広がる景色の中に「雪」は無い。これだけでも随分と暖かく感じるものだ。
この日は移動のみで、広島駅近くのホテルに宿泊した。残念なことに天気予報では3/4〜5は雨。事前に準備していたレインウェアを、バッグの奥から取り出しておく。
3/4 10:00広島駅前のホテルを出発、松山市にある道後温泉をめざす
天気が良ければ宮島から乗船の予定だったが、早々に諦め広島港を目指すことにした。
時折激しさを増す雨の中、知らない土地で雨宿りできる場所を探しながら進むことで、かなり体力を消耗してしまった。
15:10 広島港から松山行きのフェリーに乗船。やっと少し体を温めることができる。乗船時間は3時間だ。
レインジャケットを脱ぎ、アンパンとカップラーメンを食べると空腹が満たされ、すぐに寝落ちしてしまった。
19:00 予約していた道後温泉のホテルに到着。フロントスタッフの方が優しく出迎えてくれた。
すぐに部屋で濡れた衣類を干し、冷え切った身体を温泉でゆっくりと温める。知らない土地で視界の悪い中自転車を漕ぐのは体力だけではなく、精神的にも負担が大きい。
風呂から部屋に戻ると、もう目を開けていられない。朝まで気を失ったように眠ってしまった。
翌朝8:00チェックアウト コンビニで簡単な朝食を済ませて出発。朝はそこそこの雨だったが、昼からは曇り空に変わりここから雨に当たることはなかった。
愛媛県らしく民家の庭では柑橘系の果実が実をつけている。これも北海道では決して見ることのできない光景だ。
3/6いよいよ「しまなみ海道」を走る
実は、この計画を神戸に住む友人のノブ氏に話したところ、3/6の朝に今治で合流して一緒に走ってくれることになった。
彼はすでに「しまなみ海道」をトレーニングコースとして10回以上走行した経験があり、同行してくれるのはとても心強い。
何故かMTBで登場したノブ氏。体の疲れが抜けきれていない筆者との体力差を埋めるにはちょうどよかったのかもしれない。
8:30 スタート地点の糸山サイクリングターミナルを出発。75km先のゴール地点、尾道を目指す。
瀬戸内海に浮かぶ島々を繋ぐ橋は北海道では見ることのできない、はじめてみる景色だ。準備に時間を費やしてここまで来た甲斐を十分過ぎるほど感じることができる。
雨が上がった翌日の、まだ湿度が残る霞んだ空気の中に見える島々は息を呑むほどに美しい。
休憩しながら自分が走ってきた橋を眺めてみることで、「しまなみ海道」を走っている実感がわいてくる。
ここで注意しておきたいことが一つある。それは整備された道路と絶景が続くコース故に、つい休憩を忘れて走りすぎてしまうということだ。この日の気温は10℃前後と走りやすい
気温だったが、もう少し気温が上がり太陽が出てくれば汗の量も多くなる。そうなると脱水症状やハンガーノックのリスクも考えられる。
コンビニやお店までは遠いエリアもあるので、十分な飲料水と行動食は必ず準備しておくことが重要だ。そして疲労を感じた時は速やかに休憩をとることをおすすめする。
もう幾つの島を走り抜けたのか、何回橋を渡ったのかわからなくなってしまう。この橋は2階建の構造となっていて、車道の下を走る不思議な感覚を味わえる。
最後の島となる向島。尾道への渡船場はすぐそこだが、その前に乾いた喉を潤すことにした。後藤飲料水工業所は90年の歴史をもつ飲料の工場だ。
目前のゴールを祝いノブ氏と、この90年の歴史を持つ後藤飲料水工業所のオリジナル商品「怪獣サイダー」で乾杯! 冷えた強い炭酸の刺激が体をシャキッとさせる。
16:00 尾道に到着。地図上では75kmとあったが、途中景色の良いところやカフェに立ち寄ったこともあり、サイコン上での走行距離は78kmとなっていた。
走り終えてみると、「もっと走っていたい」と少し寂しい気持ちになるものだ。
最後は尾道ラーメンで打ち上げ!写真を撮るのも忘れて夢中で口の中へかきこんでしまった。
ここでノブ氏とはお別れ。自宅のある神戸市へ帰っていった。仲間想いのいい友人である。
そしてこの旅の最後の宿泊となるのがU2(HOTEL CYCLE)だ。「しまなみ海道」は今治と尾道、どちらをスタート地点にしても良い。
今回筆者は、商業施設にアクセスしやすく、広島空港にも近い尾道をゴールに設定した。
HOTEL CYCLEは最後の夜にふさわしい、お洒落で設備の整ったホテルだった。ゆっくりと疲れを癒やすことができた。糸山サイクリングターミナルもそうだったが、宿泊する部屋に自転車を持ち込めるのはありがたい。
防犯上の観点からだけではなく、バイクパッキングを手荷物に移し替える必要がないのは、自転車旅においては非常にメリットが大きいと感じた。
ここではカフェ、ベーカリー、レストランのほか、お洒落な雑貨店やサイクルショップ(GIANT)、レンタサイクルまで用意されている。尾道に行くことがあるサイクリストにはお勧めしたいスポットだ。
3/7旅を終え北海道札幌へ
朝食をとった後、尾道駅からJR輪行で広島空港にむかった。尾道駅から三原駅で下車。バスに乗り換えて広島空港という流れになる。
今回筆者にとっては初めての飛行機輪行となったわけだが、準備さえしっかりしておけば決してハードルの高いものとは思わなかった。
誰かの輪行旅の話を、他人事のように聞く機会は何度もあったが、実際自分で北海道を飛び出して旅してみると、すぐにまた別の旅を計画したいと思うほどだった。
何事も経験は大切だ。飛行機を使うことで旅の選択肢は大きく広がる。当たり前のことに気がつくことができ、少しだけ旅のスキルが上がったように感じることができた。
ゴロウ 22年間のプロカメラマン活動を2024年の春に引退し、その後ブランディングディレクター及び会社経営者としてキャリアをスタート。趣味の自転車を活かした執筆業も行う。 この著者の記事一覧はこちら

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