大村崑×鎌田實 トイレの間隔は4時間あればいい。尿失禁対策とは?鎌田「崑ちゃんの大好きな相撲でいうと、四股も強化にとてもよくて」

2025年3月21日(金)12時30分 婦人公論.jp


(写真提供:Photo AC)

60代でヨボヨボが始まってしまう人もいれば、80代で元気な人もいますが、なにが違うのでしょうか。今も現役で活躍している、93歳の喜劇役者・大村崑さんと76歳の医師・鎌田實さん。元気ハツラツなシニアライフを送っているお二人が大切にしているのは「筋肉」なのだそう。そこで今回は、大村さんと鎌田さんの共著『崑ちゃん・鎌田式 老化のスピードを緩める最強の習慣!』から一部を対談形式でお届けします。

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男女それぞれに多い尿失禁とは


鎌田 崑ちゃんは93歳だけど尿漏れとかありませんか?

大村 うん、僕はない。旅先に行くときには念のため二つか三つぐらいカバンにパンツを余分に入れていますが……(笑)。使ったことはないです。

鎌田 女性に割合多いのは腹圧性尿失禁で、男性に多いのは切迫性尿失禁なんです。さっきおしっこしたばかりなのに、1時間か2時間経って急にまたしたくなってしまう。崑ちゃんはこれもないですか?

大村 それもない。

鎌田 すごい! 優秀ですね。

大村 映画館で長い映画を観ている間でも、女房は途中で行ったりするけど、僕は行きません。

鎌田 夜中に寝ている間にトイレに起きたりは?

大村 行っても1回ですね。

鎌田 それはすごいですね。

大村「じつは僕は睡眠時無呼吸症候群で……」


大村 じつは僕は睡眠時無呼吸症候群で、その治療をする前は、夜中に3、4回くらいはトイレに起きていたんです。ちびったりはしなかったけど、トイレに行く回数が多かった。するとどうしても睡眠不足になるんです。CPAP(シーパップ)(持続陽圧呼吸療法)という無呼吸の治療器を使うようになってからは、すっかり減りました。

鎌田 睡眠が深くなっているから、あえて行かなくて済むようになったんだね。昼間だったら、だいたい何時間おきにおしっこに行きますか?


『崑ちゃん・鎌田式 老化のスピードを緩める最強の習慣!』(著:大村崑、鎌田實/潮出版社)

大村 6時間ぐらいじゃないかな。

鎌田 それは大したものですね。おしっこの間隔は4時間あればいいと言われていて、膀胱をふくらます力があるっていうことなんです。

大村 6時間ってなぜわかるかというたら、僕はメモ魔なんです。いつご飯を食べて、何をして、何時に寝たか全部書いて、ベッドの横に置いているんです。だから、トイレに行ったら、何時に行ったって、そこまで書くんですよ。それで計算してみたらだいたい6時間おきにトイレに行っている。

どんな尿失禁対策でも鍛えるのは骨盤底筋群


鎌田 どんな尿失禁についても骨盤底筋群を強化することで、改善できるんだけれども、どうやって鍛えるかというと、肛門をギュッと締めるっていう感覚ってよく言われます。崑ちゃんもできますか?

大村 これはね、ジムのトレーナーがよく言うんですよ。お尻締めてって。

鎌田 ああ、すでにやっているんだね。崑ちゃんにはそれが結構効いているのかもしれないな。


鎌田實さん(写真:『崑ちゃん・鎌田式 老化のスピードを緩める最強の習慣!』より)

大村 僕はよく相撲を観にいくでしょ。それで休憩時間になって、トイレに行列ができて並ぶと、たまにおしっこが終わったなと思ってチャックを上げながら便器から離れようとしたおじさんが、またおしっこに戻るのを見かけるんです。なんやこの人みたいな目で見てしまうんやけれども、あれはきっとおしっこが全部出ていないんだね。

鎌田 崑ちゃん、鋭いですよ。それは溢流性尿失禁っていうんだけども、これも男性に多いんです。男性の尿道って女性に比べて長いんですが、若いときには尿道に溜まったおしっこを全部出し切ることができるけど、歳をとると全部おしっこを出し切ることができずに、残ったまま一回終わっちゃうんです。すると、残っているのが後々ムズムズして、これをどうしても出したくて、もう一回行ってしまうんです。

鎌田「僕が患者さんに教えるのは……」


大村 僕はこの年齢にしては、おしっこの悩みはあんまりないから、最近は同じような高齢の人には、「どうぞ、あそこ空いたよ」って譲ってあげるんです。

鎌田 優しいですね。腹圧性でも切迫性でも溢流性でも、尿失禁対策のために鍛えるのは骨盤底筋群なんですよ。だから男性はペニスを持ち上げるように、女性はクリトリスを持ち上げるようにすると、肛門がギュッと締まる。これを繰り返して骨盤底筋群を鍛えると、女性はちびりが少なくなるし、男性はおしっこの排出能力が強まる。

さらにこれは肛門括約(かつやく)筋の強化にもつながるので、硬い便を出し切る力にもなる。排便力も歳をとると低下するんですが、骨盤底筋群を鍛えることで、おしっこだけじゃなくて、うんこも排出する力がつくんです。

大村 僕も筋トレを始める前は、おしっこに行ったのに、帰り道にまたゆっくりトイレに引き返したことがありました。86歳からジムに通い始めて、若いトレーナーに、筋トレしながら「ここでお尻の穴を締めてください」とか言われて、最初は変なこと言うなあとか思いながらやっていましたけど、鎌田先生の話を聞いて、その効果がこういう形で出てきたわけだね。


大村崑さん(写真:『崑ちゃん・鎌田式 老化のスピードを緩める最強の習慣!』より)

鎌田 崑ちゃんはもうできているからいいんだけど、僕が患者さんなんかに教えるのは、息を吐きながら、肛門を意識して両手を握るんです。この動作で肛門を収縮させる。今度は吸いながら手を広げて、肛門を緩める。この繰り返しをすると骨盤底筋群が強化されます。

大村 これはわかりやすいですね。

鎌田 それから崑ちゃんの大好きな相撲でいうと、四股(しこ)も骨盤底筋群の強化にとてもいいんです。それだけでなく、四股を踏むと身体の上半身と下半身をつなぐ「腸腰(ちょうよう)筋」という筋肉が強化され、腸の動きも正常化されます。

※本稿は、『崑ちゃん・鎌田式 老化のスピードを緩める最強の習慣!』(潮出版社)の一部を再編集したものです。

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