人気の台湾カステラはいつどう生まれたのか? 知られざるルーツを専門店に聞いてみた

2022年3月22日(火)10時51分 食楽web


密かに増えている台湾カステラ店の中でも群を抜く人気を誇る「台楽蛋ガオ」 | 食楽web

 コロナ禍以前の日本は空前の台湾ブームでした。人気の理由は多くありそうですが、その一つが台湾に根付くスイーツ。日本国内でも爆発的なヒットとなったタピオカミルクティーを始め、近年女性の間でジワジワ支持を集めている豆花など、人気の台湾発祥のスイーツはいくつかあります。

 そのうちの一つが「台湾カステラ」です。近年複数のスイーツ業態が続々と台湾カステラの開発・販売を進めており、次なるヒットの予感さえします。しかし、「台湾カステラ」の定義・概念は、一般的にはまだあまり知られておらず、本記事を読んでくださっている方の間でも「どんな食べ物なの?」と思われる方も多いかもしれません。

 そこで今回は、日本国内に数多くある台湾カステラ店の中でも群を抜く人気を誇る『台楽蛋ガオ(タイラクタンガオ)』の担当者に、台湾カステラの秘密について話を聞きました。また『台楽蛋ガオ』自慢の台湾カステラも複数試食。その味の特徴についてもご紹介します!

ルーツは日本!? 日本統治時代に日本人が台湾に持ち込んだ「カステラ」が元だった


その味は、従来の台湾カステラをさらに進化させたものばかり!

 まず、南国・台湾で「カステラ」というスイーツが浸透していった経緯から聞きました。

「諸説ありますが、台湾カステラは台湾に昔からあるケーキで、『古早味蛋ガオ(グザウェイタンガオ)』と呼ばれるものです。この起源を辿ると日本統治時代に日本人が台湾に持ち込んだ日本のカステラが台湾人好みの味に改良されたもののようです。『古早味』は『昔ながらの味』という意味で、直訳すると『昔ながらの味のケーキ』ということになります。

 台湾では気候的に酪農が発達しておらず、乳製品は高級品でした。また、従来のカステラに必要なバターも高級食材であったため、バターを使わずに作られたのが、台湾版カステラである『古早味蛋ガオ』でした。昔の台湾は、今のように豊かではなかったため、あえてサイズも大きくボリュームのあるものになったと言われています。

 ときは流れ、高度成長を続ける台湾では国内旅行のブームなどがあり、台湾国内の観光業が発展しました。2000年代に入ると各地方の各店舗で味や見た目に趣向を凝らした『古早味蛋ガオ』の美味しい店というのが登場してきました。この辺りの時期から大きなオーブンで豪快に焼く、プルプルふわふわした形の台湾カステラの形になったと言われています。

『古早味蛋ガオ』は、どの地域にでもあった食べ物でしたが、味が美味しいお店や改良してクオリティを上げたお店が有名になり、観光地の中心部に出店をする……このような流れで地域の名物化しその地域のお土産となりました。その代表的な場所が台北の北に位置し、『東洋のベニス』とも言われる観光地・淡水という場所で、この場所での台湾カステラは世界の人々から注目を浴びることになっていきました。今では台湾の人をはじめ、世界の方から支持を得る台湾を代表するスイーツの1つとなっております」(台楽蛋ガオ・担当者)

現地で修行したスタッフが、台湾の製法で再現する『台楽蛋ガオ』の台湾カステラ


『台楽蛋ガオ』のパッケージ(食楽web)

 当初は乳酸品をできるだけ使わないように工夫された台湾カステラですが、時代の経過に合わせて、おおむね以下のような作り方になっていったそうです。

「新鮮な卵黄と牛乳、厳選した小麦粉をふんだんに使い、それに卵白で作った泡のようなメレンゲを混ぜて、じっくり焼き上げることで、“ふわぁ しゅぁ”でスフレケーキのような食感を実現しました。日本のカステラがしっとりとして、濃厚な甘さであるのに比べて、台湾カステラは軽く、さわやかな甘さが特徴です」(台楽蛋ガオ・担当者)

 一般的に知られているカステラとは似て非なるもの……それが台湾カステラです。言い換えると、日本人が持ち込んだカステラが、台湾で独自に変化し、長い年月を経て浸透し、近年、その味が今度は日本に持ち込まれるようになったというわけです。

「そういうことになると思います。当店では、台湾現地で修業した専門スタッフが来日し、台湾の製法をそのまま取り入れ、現地の味と食感を再現した正真正銘の『台湾カステラ』です。日本で展開する際、現地の原料がほぼ使用できず困惑しましたが、日本の小麦粉や卵、全てを高品質の日本産のものを採用することでプレミアム感を打ち出しています。

 プレーン、チーズ、チョコレート、宇治抹茶、アールグレイ、焦がしバター、小倉大納言など、豊富な味のバリエーションを用意しております。加えて、カステラに合う台湾茶、アールグレイカステラにも使用している本場のスリランカ紅茶も提供しております」(台楽蛋ガオ・担当者)

『台楽蛋ガオ』の台湾カステラを実食!


「プレミアムプレーン」1180円(税込)(※写真はプレミアムハーフからのカット)

 なるほど、台湾カステラの定義がよくわかりました。また、その中でも『台楽蛋ガオ』が、従来の製法を継承しながら、いかに美味しく飛躍させているかについてもわかりました。というわけでここからは『台楽蛋ガオ』の肝心の味をいただき、レビューしていきます。

 まずオーソドックスな「プレミアムプレーン」からいただきます。包丁を入れるのもはばかれるほど、フワフワとした生地ですが、実際に口にすると、甘すぎず老若男女誰でもいただけそうな味わい。アイスや生クリームを乗せても美味しくいただけそうな、良い意味で主張が控えめなところも最高です。そのフワフワ・シュワシュワした食感がどこかクセになる印象も受けました。


「プレミアムチーズ」1380円(税込)(※写真はプレミアムハーフからのカット)

 続いて「プレミアムチーズ」をいただきました。「プレミアムプレーン」の優しい味に対し、こちらは濃厚で、全体にチーズ特有のコクと香ばしさを感じる設計になっています。加えて程よい甘さも感じ、こちらもまた一度食べたら忘れることができない味のように思いました。


「宇治抹茶」(※写真はプレミアムクオーターからのカット)

 続いて「宇治抹茶」をいただきます。まさに和製アレンジの最たるフレーバーとも言って良いものですが、宇治抹茶の優しい味わいが台湾カステラの生地にベストマッチ! 清涼感と甘味が絶妙に入り組み、なかなか上品な味に仕上がっていました。


「チョコレート」(※写真はプレミアムクオーターからのカット)

 次に「チョコレート」。優しい風合いの台湾カステラですが、チョコレートフレーバーになったことで、より強いコク、奥深い甘味を表現し、面白い味わいを表現しています。チョコではあるものの、日本茶や台湾茶などのお茶請けにも最適な味で、こちらもまた台湾カステラの可能性を大きく飛躍させた一品でした。


「プレミアムアールグレイ」1380円(税込)(※写真はプレミアムハーフからのカット)

 続いて「プレミアムアールグレイ」をいただきます。フレーバーティーの中でも芳醇な香りが特徴的なアールグレイを台湾カステラに転じたもので、生地に映るツブツブはなんと茶葉だとか。アールグレイの風合いを贅沢に味わえるフレーバーとなっている一方、ミルキーな印象もあり、どこかゴージャスにも感じる味のように思いました。


「プレミアム焦がしバターバニラシュガー」1380円(税込)(※写真はプレミアムハーフからのカット)

 そして最後は「プレミアム焦がしバターバニラシュガー」。台湾カステラの表面にバニラシュガーが存分にふりかけられたもので、フワフワの食感と、ザクザクしたバニラシュガーの食感の融合が楽しく、また甘味を強く感じることができるため、筆者的にはベストなフレーバーでした。こちらもまたクセになる味でした。

次なる挑戦は「台湾カステラアイス」「飲む台湾カステラ」「台湾カステラプリン」…


さらに味の飛躍の可能性を秘めた台湾カステラ

 定義を知った上でいただいた『台楽蛋ガオ』の台湾カステラですが、いずれも絶品で、手に取りやすい価格帯と合わせて、今後さらに人気が拡大していきそうにも思いました。『台楽蛋ガオ』の担当者の方に改めて話を聞きました。

「『台楽蛋ガオ』では今後も台湾カステラ製造の基本は厳守しつつも、日本の市場に合った商品展開を目指していきたいと考えています。さらに、台湾カステラを使った新しいスイーツの開発も進めています。具体的には『台湾カステラアイスクリーム』『飲む台湾カステラ』『台湾カステラプリン』などです。日本市場に合わせた新しいテイストの台湾カステラを開発し、台湾カステラが持つ魅力をより多くの方に知っていただきたいと思っています。ぜひ一度『台楽蛋ガオ』の台湾カステラをご賞味いただければ幸いです」(台楽蛋ガオ・担当者)

 フレーバーの可能性だけでなく、次なるスイーツとのマリアージュも計画中という『台楽蛋ガオ』。台湾本土での「古早味蛋ガオ」は日本でさらに新しい味へと変化する勢い十分です。その動向に注目しつつ、『台楽蛋ガオ』の美味しい台湾カステラ、ぜひ一度食べてみてください!

(撮影・文◎松田義人)

●DATA

台楽蛋ガオ

https://www.taiwancastella.com/

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