大村崑×鎌田實「喉が乾いたときに水、お茶、ジュースか缶コーヒー、どれを選ぶ?」老化を進める原因になる<糖化>とは
2025年3月24日(月)12時30分 婦人公論.jp
(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
60代でヨボヨボが始まってしまう人もいれば、80代で元気な人もいますが、なにが違うのでしょうか。今も現役で活躍している、93歳の喜劇役者・大村崑さんと76歳の医師・鎌田實さん。元気ハツラツなシニアライフを送っているお二人が大切にしているのは「筋肉」なのだそう。そこで今回は、大村さんと鎌田さんの共著『崑ちゃん・鎌田式 老化のスピードを緩める最強の習慣!』から一部を対談形式でお届けします。
* * * * * * *
「皆さん、うんこは浮いてますか」
大村 鎌田先生と会うと必ず思い出すのが、初めてお会いしたときのことです。NHKの「鎌田實 いのちの対話」というラジオ番組の公開生放送で共演したんですが、本番が始まる前に、それぞれが使うマイクのテストをするんですね。ホールに集まった1000人のお客さんを前になんでもいいから話してくださいと言われて、僕なんかは「元気ハツラツの大村崑です」って言って。ところが鎌田先生が何を言ったかというと「皆さん、うんこは浮いてますか」って。これには笑ったね。
鎌田 よく覚えていますね。
大村 つまり野菜をよく食べて腸内環境がいいと、うんこは浮くっていうのを説明してくれたんですが、いまだに僕は用を足した後に便器を覗いて、うんこが浮いてたら、必ず鎌田先生のことを思い出すんですよ。そういう記憶に残って、人をいい方向に導く言葉を、鎌田先生はよく生み出されていますよね。
鎌田 トイレで思い出してくださって、ありがとうございます。(笑)
大村「やっぱり医師の言葉って……」
大村 やっぱり医師の言葉って人に大きな影響を与えると思うんです。
あるとき女房が、間質(かんしつ)性肺炎を患って痛みに苦しんでいたんです。ある病院にかかって、医師に「この痛みは一生治りません。ですから一生辛抱してください」って言われて、泣きながら帰ってきました。
ところが、その病気に詳しい別の医師に診てもらったら、「あなたは軽傷です。心配することはない。ちょっと痛みがあるけど、これは仕方ない。今世界中で研究が進んで、これを完治させる薬が開発されつつあるから、それを楽しみに生きてください」って声をかけてもらって、女房がすごく元気になっていました。
鎌田 そうなんです。心と身体はつながっている。
老化の原因
鎌田 まず、医学的な見地からいうと、老化を進める原因には、体内で起こる「糖化(とうか)」という現象があります。糖化とは、体内のタンパク質と糖がくっついてしまうことで老化物質が発生する現象を言います。また糖化は、体内の“焦げ”とも表現されて、甘いお菓子やジュースを多く摂ることで、糖化を引き起こします。崑ちゃんは喉が渇いたときに、水かお茶かジュースか缶コーヒー、どれを選びますか。
大村 僕はジュースはあまり飲まない。水を飲むことが多いです。
鎌田 それはいいですね。ジュースや炭酸飲料には、ものによっては角砂糖が10〜15個入っています。だからジュースや炭酸飲料を毎日飲むのは、老化を早めてしまう要因になるのです。
大村 自宅にはペットボトルの水がおいてあるんだけど、筋トレを始める前までは、蓋を開けることができなくなってしまっていたんです。90歳を超えると、そんなことができなくなるんです。たとえば、シャツの袖口のボタンの留め外しとか。だからお手伝いさんにお願いしてやってもらっていたんだけど。今は握力をつけるために、掌(てのひら)の下に新聞を敷いて片手だけで丸めるトレーニングをしたりして、ペットボトルの蓋も開けられるようになったんです。
(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
鎌田 高齢者の場合、男性は握力が28キロを切ったら要注意っていうふうに言われているんだけども、崑ちゃんは今日測ったら22.5キロでした。筋トレを始める86歳のときはもっと低かったんじゃない?
大村 そうだったと思います。ジムに行ったときに、いろいろな体力測定をしました。
鎌田「砂糖入りの缶コーヒーも……」
鎌田 それから、砂糖入りの缶コーヒーなんかも、たくさん角砂糖が入っていてよくないんです。動脈硬化にもつながる。
大村 僕はお酒を飲まないんだけど、ご飯を食べたあとはコーヒーを飲むんです。昔は、砂糖をたくさん入れて、ミルクも入れて、飲んだら下に砂糖が残っているほど甘くする。それが昭和の男の飲み方だったんです。ところが、そんな飲み方をしていた仲間たちが、みんな病気をして亡くなってしまったんですよ。だからある時からブラックを飲むようにして、食後には小さいアイスクリームを一つだけ食べながら、ブラックコーヒーを飲むのが今のスタイルです。
鎌田 それはいいですね。やっぱり大村崑すごい!
※本稿は、『崑ちゃん・鎌田式 老化のスピードを緩める最強の習慣!』(潮出版社)の一部を再編集したものです。
関連記事(外部サイト)
- 虚弱体質だった大村崑さんが、86歳からジムに通い始めて起きた変化とは。鎌田實「トレーニングを始める前の崑ちゃんは、足腰がすっかり弱っていて」
- 大村崑×鎌田實 トイレの間隔は4時間あればいい。尿失禁対策とは?鎌田「崑ちゃんの大好きな相撲でいうと、四股も強化にとてもよくて」
- 93歳・大村崑さんがお勧めする<ハヤオソ歩き>とは。鎌田實「崑ちゃんは僕の歩き方革命をしっかり広めてくれた」
- 大村崑×岡村瑤子 91歳と85歳の不健康夫婦が今「元気ハツラツ」の秘訣はライザップ。「うちは孫がいないからね。その分、筋肉を育ててる」
- 鎌田實「75歳、心房細動と共に生きる。老いや病、経済的な問題を抱えても、自分に満足するためのヒントとは」【2023編集部セレクション】