歯科治療 セラミック、インプラントほか「本当の適正価格」

3月24日(日)16時0分 NEWSポストセブン

インプラントは利益率が高い(筆者撮影)

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 過当競争による歯科医院の倒産が増える一方、増収増益で潤っている医院も多くある。歯科業界の“二極化”を読み解くカギが「自費診療」だ。治療費の金額を歯科医が自由に設定できる自費診療の“儲けのカラクリ”とは──。


 歯科医に経営を指南するコンサルタントたちの動きを見ていて、最近目立つのが、「インプラント」から、「予防歯科」「セラミック」へのシフトである。


◆セラミック 仕入原価は患者の支払額の10分の1


 自然の歯と同じように見える自費診療の「セラミック」は特に女性に人気だ。患者の支払額は都内の相場だと、「12万円前後」だが、この数年、価格破壊が進んでいる。広域医療法人グループなどが、「5万円台」の格安セラミックを仕掛けているのだ。


 この価格を実現するため、中国などの海外にセラミックの技工(製造)を委託する。ある業者のセラミックは、基本価格1万2000円。ここから値引き交渉があって、発注数によって約6000円前後まで落とすという。大手医療法人なら一括で交渉するので、“格安”を謳いながら、患者からもらう費用(5万円台)の10分の1程度で仕入れていると考えられる。


 もう一つの方法は、CAD/CAMシステムの利用だ。AIによって機械が自動で削り出すので効率性が高い。セラミックだと1万2000〜1万5000円で仕入れられることが多いようだ。こうして仕入原価の数倍から約10倍の費用を患者に請求して利益を確保していた。


 一方、強度などで課題があるが、外見はほとんどセラミックと見分けがつかない保険の「CAD/CAM冠」は1万5300円(小臼歯)。3割負担なら患者の支払額は5000円弱だ。


◆インプラント 仕入れ原価はやはり10分の1


 かつては、歯科経営の救世主といわれたインプラント。しかし、手術の難易度や付随する周辺機器を揃えるコスト、脱落した時の保証などのリスクなどから、“歯科医のインプラント離れ”が進んでいるという。


 とはいえ、費用単価が高く、利益率が高い治療であることに変わりはない。今、国内で最安値といわれているのが、韓国製インプラントに銀歯を被せるタイプ。費用はこうなる。


「インプラント約8万円+銀歯約7万円=約15万円」


 これを仕入原価で見ると、「インプラント約1万円+銀歯約5000円=約1万5000円」となる。


 このインプラントも、仕入原価は10分の1前後。これが、欧米の一流品といわれるインプラントの仕入価格は「8万円前後(メーカー、歯科医院によって差がある)」とされている。


◆レジン 驚くほど安いことの問題点


 小さな虫歯治療は、銀歯ではなくコンポジット・レジンが新常識と伝えてきたが、レジン修復の保険の診療報酬は驚くほど安い。「充填2520円+光重合290円=2810円(患者はこの3割負担)」である。


 歯科先進国のスウェーデンでは同じ治療の診療報酬が「約1万4000円」で、日本の5倍だ。治療費は安いほどいいと考えがちだが、実際は安いゆえに手抜きを誘発する。


 また、銀歯の診療報酬はレジンのおよそ2.5倍。それが患者にとって有益なレジンの普及を妨げてきたと考えられる。


 保険診療の費用が適正であるか、患者本位の目線で光を当てることが必要だ。


●レポート/ジャーナリスト・岩澤倫彦(『やってはいけない歯科治療』著者)


※週刊ポスト2019年3月29日号

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