どれだけ知ってる? 教習所で教わらないバイクTips 第39回 初心者はもちろん、リターン初心者はもちろん、リターン組にもおすすめ! 250ccバイクの選び方【前編】

2024年3月25日(月)16時0分 マイナビニュース

コロナ禍では約30年ぶりのバイクブームが到来しました。若者を中心とした初心者だけでなく、中高年のリターンライダーも増加し、その人気はアフターコロナの今日も衰えていません。
250ccは初めての、または久しぶりのバイクに最適と言われます。バイクの価格や維持費のほか、車検が不要というコスパの高さも人気の理由ですが、今回は前後編に分けてそんな250ccクラスのバイクについて解説します。
■250ccはほんとに安い? 税金や保険などのコスパを比較
いわゆる「250ccクラス」は、エンジンの排気量が125cc超〜250c以下までのバイクです。小型で軽量の車体は扱いやすく、車両価格や税金、燃費、交換部品といった費用面も安く済ませられますが、なによりも車検が不要なことが大きなメリットとして知られています。
さらにコスパを重視するなら125ccクラス(原付二種・90cc超〜125cc以下)もありますが、高速道路や自動車専用道路を走行することができず、一般道でも通行制限されている区間が存在します。バイクの利用を一般道の通勤・通学などに限定するなら125ccクラスはおすすめですが、休日のツーリングにも使いたい場合は、やはり250ccクラスの方がよいでしょう。
一般的に250ccは同じジャンルの400ccよりタイヤやオイル、ブレーキパッドといった消耗部品も安く済みます。その分、バイクのカスタムやウエア、ツーリングなどに予算を回すのもよいでしょう。
また、「250cc」と言っても、オンロードやオフロード、アメリカンにストリート、さらにはスクーターなど、さまざまなジャンルがあります。次章ではそれぞれの特長について解説します。
■オンロード系のスポーツとノンカウル
カウリングを装備した「オンロードスポーツ」は国内4メーカー各社から発売されており、250ccのスタンダードと言えるモデルです。若者などのエントリー層をメインターゲットとしているため、スタイルはレーシングマシンのようでも乗車姿勢は比較的ラクで、エンジン特性もリニアで素直。燃費も25〜35km/L以上と良好で、シティランからツーリング、スポーツ走行など、あらゆるシチュエーションに対応します。
カウリングは見た目のスポーティさだけでなく、高速巡行時の疲労を軽減し、雨天や冬の走行でも防雨・防寒効果を発揮します。その反面、夏場の渋滞はエンジンの熱をライダーが受けやすくなり、転倒時はカウルの修理にお金がかかるといったデメリットもあります。
また、スポーツモデルの多くは、同じ車体をベースとしたカウル無しモデルが併売されています。これらは「ノンカウル」や「ネイキッド」などと呼ばれ、むき出しになったエンジンやフレームなどの造形美を楽しめます。身体に受ける風や視界はとても開放的で、ハンドリングも軽快ですが、中・長距離ツーリング用に防風のためのビキニカウル(メーターバイザー)を装着するユーザーもいます。
現行スポーツから派生したノンカウル版は近代的なデザインですが、ノスタルジックな「単車」をイメージしたレトロデザインの「ストリート系」や「アメリカン」もあります。絶対性能では劣るものの、肩ひじを張らずゆったり乗れる雰囲気や、レザーやデニムといったアメカジ系ファッションにもマッチすることから人気があります。
ほかにも、スポーツやツアラー系のオンロードモデルには、フルカウルのアンダー部分を排した「ハーフカウル」のモデルが存在します。このカウルが採用されているモデルはエンジンやフレームのデザインが美しく、メーカーも自信を持っているものがほとんどです。
■アドベンチャーとオフロード
「アドベンチャー」系はアウトドアの流行と同時にヒットしたジャンルで、中・長距離のキャンプツーリングなどに最適なモデルです。「冒険」という名が示す通り、ダカールラリーなどで活躍したビッグオフローダーのテイストを受け継いだもので、大型のバイザーやハンドガード、バンパー、リアに装備できるパニアケースなどのオプションも備えています。
クルマで言えばSUVに該当する「オフロード(トレール)」と「オンロード・ツアラー」の中間的な性能を持ち、未舗装路にも対応した足廻りを持つボディは一クラス上に見える車格を持っています。ただし、オンロードの高速巡行性や重量物を積載できる頑丈なフレームを確保するため、車重は重い部類に入ります。
そのため、本格的なダートコースや林道走行を主体とする場合は、ブロックタイヤと長いサスペンションを装備した「オフロード(トレール)」の方がよいでしょう。軽量・スリムな車体とパワフルなエンジンの組み合わせはアグレッシブなライディングでもコントロールしやすく、悪路走破性はアドベンチャー系とは比較になりません。これにオンロード仕様のタイヤとサスペンションを装備した「モタード」というジャンルもあります。
■スクーター
「スクーター」と言うと通勤・通学の移動手段に思われがちですが、250ccクラスになると作りは本格的で、高速道路を使った長距離ツーリングも十分にこなせる性能を持っています。
現代のスクーターはクラッチ操作がいらず、タンクを跨がず乗れるというイージーさに加え、シート下にラゲッジスペースを備えています。250ccクラスになるとヘルメットが2つ収納できるほど広大で、荷物をキャリアに縛り付ける手間はかかりません。大型カウルは防風効果も高く、ハンドル周辺にはコンソールボックスも装備されるなど、実用性だけを考えるなら普通のバイクはかなわないでしょう。
しかし、フット&ラゲッジスペースを確保しながらフレームの剛性を出さなければならないという構造上、250ccとしては大きくて重くなってしまうというデメリットもあります。また、シートやステップ廻りの車幅があるため、スペック上のシート高よりも足つき性は悪くなりがちです。
250ccスクーターは2000年代の初めに大ヒットしましたが、装備と質感が充実していく一方でボディは大きく重くなり、価格も高くなったことも影響してブームは終息しました。現在は二輪車としての基本性能を重視したコンセプトに立ち返っていますが、フルサイズの250ccより一まわり小さい150〜200ccスクーターの人気は高く、新車販売台数でも上位にランクインしています。
■国内外メーカーの輸入車
近年は東南アジアやインドなどでバイク需要が高まっており、日本以外にも欧州の老舗ブランドや新興メーカーがこれらの国に小排気量車を販売しています。「海外メーカーのモデル」は日本車とは違うアグレッシブな乗り味やデザインが魅力で、昔のように『外車は壊れる』といったことも少なくなり、価格もそれほど高くはありません。注意する点は、国内メーカーに比べると修理・点検などを行える正規販売店の数が少なく、社外のカスタムパーツが少ないことが挙げられます。
また、日本製のバイクでもメーカーが国内では販売しておらず、現地法人から大手販売店などが独自ルートで輸入・販売しているモデルがあります。個性的なデザインを持ち、価格もリーズナブルですが、エンジンなどの設計は国内モデルと共通しているため品質的にも安心できます。しかし、パーツ供給やリコールなど不具合の対応はメーカーではなく販売店が行うことになりますので、購入する際は確認しておいた方がよいでしょう。
ここまで紹介したように、コスパの高い250ccはさまざまなジャンルのモデルが存在しますが、その違いは見た目だけではありません。次回の「後編」では、搭載されるエンジン形式による違いなどについて解説します。
津原リョウ 二輪・四輪、IT、家電などの商品企画や広告・デザイン全般に従事するクリエイター。エンジンOHからON/OFFサーキット走行、長距離キャンプツーリングまでバイク遊びは一通り経験し、1950年代のBMWから最新スポーツまで数多く試乗。印象的だったバイクは「MVアグスタ F4」と「Kawasaki KX500」。 この著者の記事一覧はこちら

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