東大は「女子率」を上げようとしているのか?偏差値の意味も考える

2018年3月27日(火)9時15分 リセマム

本当に頭がいい人の勉強法(葛西 祐美 著/二見書房)

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女子はもっと東大を目指すべき?模擬試験の結果はどのように見るのがいい?現役の東大医学部生が解説する。

偏差値に意味はあるのだろうか

 偏差値いくつ?という質問があります。偏差値とはその集団のなかでの自分の位置なので、年齢や身長のように単純に数字で比べられるものではありません。

 難関校のなかの高校内偏差値なら50でも東大合格レベルですが、東大に一人も受からない高校内の偏差値が1番でも、どのくらいのレベルかさっぱりわかりません。

 大学入試のための偏差値なら、同じ大学、同じ学部を受ける人がなるべくたくさん受ける模試の数字が、道具として意味を持つだけで、そうでない模試の偏差値の高い低いで一喜一憂してはいけません。

 学校のテストの順位や偏差値も、自分が受験で使う科目が反映されない順位を根拠に、忙しそうなよく知らない先生に不合格予想されても無視していいです。

 当たり前ですが、範囲が高校1年まで、高校2年までの模試の偏差値もよかったら勉強の成果が出た、と喜んでいいですが、範囲が足りてないのに大学に受かりそうかどうかの判断はやめたほうがいいでしょう。

 センター模試でも、偏差値が出て東大判定も付いてきますが、東大はセンター試験が満点だとしても、二次試験ができなければ落ちます。偏差値が東大並みの国立医学部でも、センター試験重視のところは、センター試験の点が非常に大事ですが、東大は二次が勝負です。

 足切りに引っ掛かるほど悪い点なら困りますが、通りさえすれば二次試験で逆転可能です。なぜなら、センター試験の100点は、二次試験のたかだか12点程度に換算されるからです。

 たとえば苦手な地理が50点なら、100点の人より二次試験で6点多く取れば、同じくらいになります。

 東大、とくに定員が97人の理IIIは、受けるたびに変わる偏差値より順位が大事です。極端なことを言えば、理I志望の理III合格確実の上位者が、急に理III志望に変えてきたら、受かるつもりだった人もぼこぼこ落ちると思います。

 逆に、理III志望の人は急に理I志望に変えても、理Iは約1,000人と定員が多いのであまり変わらないと思います。もともと1,000番のあたりは、もう一回受けたら合格者が入れ替わる層だからです。

 97脚のイス取りゲームと1,000脚のイス取りゲームなら、少ない97脚のほうが座るのが大変そうに見えるでしょう。

 しかし、97脚のイスの近くに立っていても、1,000脚のイスのほうに座る人はたくさんいて、それは違う種類のイスだから当たり前のことです。もちろん家の近くのイスに決めている人もいて、それは好みで様々です。

東京大学の男女比パーセンテージ

女子率(2017年)
文I 24.4/文II 16.9/文III 42.1
理I 7.5/理II 21.7/理III 19.4
推薦 38.0

参考(ここ数年のおおよその比率)
上智、立教 50%強
早稲田、慶応 35%前後
明治 30%強
一橋 25%
東京理科大 20%
東工大、電気通信大 10%

 世界のトップ大学に比べて、男女比が偏っているため、東大は女子率を上げようとしています。

 近いうちに3割まで増やすという目標を掲げていますが、今のところまだ、一般入試より女子率が高い推薦入試や海外からの留学生を含めても2割くらいです。

 2017年より自宅から通うことが困難で、一人暮らしをする女子に家賃補助が出る制度も始まりました。地方の女子に来てほしいという大学の考えからだと思います。

 地方在住の優秀な女子に、地元国立医学部はとても人気があります。その女子が東大に来てくれたら、女子率は相当上がるでしょう。

 ただ、東大に来ない理由が家賃だという人が、どのくらいいるかはわかりません。

 2017年の新入生にとっては、その制度が発表されたのは、もう願書を出した時期だったので、まだ数字にあまり影響はないはずです。

 しかし、理由が別のところにあったとしても、地方女子が東大に興味を持ってくれるきっかけになって、女子率が上がることを大学は望んでいるのだと思います。

 伸び悩む東大の女子率に比べて、女子の医学部志望は増えています。

 現在日本の医師およそ30万人のうち、女性医師は約6万人、まだ5人に1人ですが、若い世代の女性医師は増えています。

 男子のイメージが強そうな防衛医大でさえ、4割くらい女子です。

 旭川医科大、山形大、富山大、島根大、愛媛大、佐賀大のような地方大学医学部は、もっと女子率が高く、半分近くが女子です。

 しかし、全体でみると大学の医学部医学科の女子の合格者は、少し前までぐんぐん増えていたものの、ここ数年ほど横ばいであまり増えていません。

 東大、京都大、大阪大、九州大は、今でも女子は多い年でも2割で、1割台の年も多く、男女比は偏ったままです。

 巷でも「東大は女子が少ないな〜〜」とよく話題にのぼりますが、東大に通う女子の一員としてはとくに問題はないというか、慣れてしまっているので、改めて意見はありません(?)。

 ちなみに東大女子はモテモテというのは嘘です。

本当に頭がいい人の勉強法(葛西 祐美 著/二見書房)より「東大推薦入試の仕組み」「大学入学にかかる費用と日程について」

リセマム

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