住宅ローンの金利はどこまで上がるのか?ローンの借り換え需要が増加する理由とは
2025年3月28日(金)13時14分 マイナビニュース
日銀の政策金利引き上げにより、住宅ローンの金利も上昇し始めている。すでにローンを組んでいる方も、これから新規で組もうと考えている方も、金利がどこまで上がるのか気になるのではないだろうか。
住宅ローン比較サービス「モゲチェック」を提供する株式会社MFSは、住宅ローン金利に関するメディア向け勉強会を開催した。勉強会の内容を踏まえて、現在における銀行の住宅ローンの動向、住宅ローンの借り換え需要が増える理由、UI銀行のサービス内容を紹介する。
■長期金利の上昇が続く
多くの方がご承知のとおり、日本の長期金利の上昇が続いている。日銀の利上げ観測が長期金利にも反映されてきているのは明らかだ。
所定内給与は現時点で3%上昇しており、春闘のベア相当部分は3.8%で着地した。今後も所定内給与の上昇は加速すると見込まれる。
日銀の植田総裁の反応も、賃金の動向に関して合格点、つまり利上げの条件を満たしたことを認めた形だ。
■ 固定金利・変動金利の動向
○固定金利は高止まり・変動金利は横ばい
住宅ローン金利に関して、変動は0.4%程度で横ばいの状態が続いている。一方で固定金利は1.94%と高止まりの状態であり、変動と固定の金利差が拡大しているため、変動金利を選ぶお客様が多い。
長期金利は今後も上昇する可能性があるため、これに連動して固定金利は今後2%を超える水準になる可能性は十分に考えられる。
○変動金利での競争の激化
一方、変動金利に関しては、従来はネット銀行が低金利で有利だったが、メガバンクとネット銀行が逆転している。
変動金利に大きな影響を与える要因として、調達コスト、オペレーションコスト、団信の保険料の3つがある。従来ネット銀行は3つすべてで強みがあったが、金利のある時代に入ってから調達コストで苦戦し始めた。メガバンクの調達コストは従来と変わらず強みがあるため、両者のパワーバランスが均衡している状態だ。
住宅ローンの変動金利では、表面金利のメガバンクと実質金利のネット銀行という構図が見られる状況だ。表面金利は調達コストで強みのあるメガバンクのほうが金利が低くなっている。これに対して、団信メリットを考慮した実質金利では、ネット銀行のほうが低い傾向だ。
○2025年4月以降の動きの見立て
銀行が今後どのような動きを見せるのかの予測として、返済中ユーザーから収益を上げ、新規ユーザー獲得の原資にする動きが考えられる。日銀が金利を0.25%上げるごとに、銀行は0.15%のマージンを確保できるため、これを新規獲得に利用する。
返済中ユーザーに対しては、基準金利0.25%の引き上げによって適用金利も0.25%と、日銀の利上げ分をフルスライドさせる可能性が高い。一方で新規借り入れ予定のユーザーに対しては、金利の引き下げ幅を増やすことにより、適用金利の増加を0.25%未満に抑える可能性があるだろう。
金利の中心帯は、0.5%後半から0.6%台と予測される。
■ 借り換えの動向
昨年10月に基準金利が上昇した際、モゲチェックの借り換えの問い合わせ件数が前月比3倍となった。今年の4月も同じ動きになると予想される。
基準金利上昇により、数年前に借りた方で変動金利が1%超えとなるケースも現れる。5月か6月頃に銀行から返済予定表を受け取り、ローンの見直しを検討する方が増えるだろう。
日銀が利上げをするたびに、返済中ユーザー金利と新規ユーザー向け金利のギャップが拡大する可能性がある。返済中ユーザーに対しては利上げをそのまま変動金利に反映させるが、新規ユーザーに対しては、契約獲得のため引き上げ分をすべて反映させないためだ。
ユーザーとしては、借り換えによって金利上昇を抑制できる可能性があるだろう。
■UI銀行について
UI銀行は、東京きらぼしFG傘下のデジタルバンクで、スマホ専用銀行として運営している。対面・非対面のハイブリッドであるのが大きな特徴だ。
UI銀行住宅ローンは、ほぼすべての手続きがアプリで完結し、お客様はいつでも手続きができる。必要な場合は、営業日にローンプラザ各拠点(都内4拠点)で相談をすることも可能だ。
融資金額は最大5億円、ペアローンで10億円と大きく、融資期間は最長50年と長い。団信は7つあり、お客様が選択しやすいように配慮している。Wローン(買い替え)への対応も可能だ。
安藤真一郎 あんどうしんいちろう マーケティング会社に勤務した後、フリーランスのライターに転身。 多種多様なジャンルの記事を執筆するなかで、金融リテラシーを高めることや情報発信の重要性に気づき、現在はマネー系ジャンルを中心に執筆している。 ライターとして、知識のない人でも理解しやすいよう、かみくだいた文章にすることが信条。 ファイナンシャルプランニング技能士2級、日商簿記検定2級取得。 この著者の記事一覧はこちら