インプラント手術の80代女性 骨粗鬆症薬で顎の骨腐食

3月28日(木)7時0分 NEWSポストセブン

撤去になったインプラントは格安のものとみられる

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 歯科医療で高額な自由診療でありながら、1か月で約2万7000件の手術が行なわれているインプラント治療。だが、トラブルを度々起こす専門医の存在や、問題が指摘されるインプラント・メーカーの情報は、ほとんど表には出てこない。


 欧米でインプラントを学んだ経験を持つ若い歯科医が、患者に現実を知ってほしいと取材に応じた。


「その患者がクリニックを訪ねてきた時、すでにインプラントが左右にグラグラ揺れる状態でした。手術を行なった歯科医は、インプラント・クリニックを展開するオーナーとして名が知られた人物です。でも実際は、手術が雑でトラブルが多いことで有名でした。


 患者が痛みと違和感を訴えるので、X線画像を撮影すると、インプラントの周囲は黒い影になっていました。骨が完全に溶けていたのです。上顎洞に突き抜けてしまう恐れがあったので、すぐに撤去しました。


 これが、その時のインプラントです(写真参照)。上部構造(人工歯)とインプラントのバランスが悪いですし、表面のコーティングも剥がれています。おそらく、最安値のインプラントで、1本8000円程度。それを患者さんからは約20万円とるわけですから、利潤は大きいでしょう。私は絶対に使用しない製品です」


 インプラント手術を受ける歯科医院を選ぶ際は、使用するメーカーを教えてくれること、製品のロットナンバー・カードを渡してくれることなどは、必ず確認すべきだ。


◆顎の骨が腐食・壊死



 3月14日、国民生活センターが8年ぶりに公表したインプラントに関するトラブルの相談。件数はやや減少傾向にあるが、深刻なものが多い。


 80代女性は、歯科医の勧めで健康な歯を抜き、インプラントに置き換えたという。その後、大学病院で「顎の骨が腐食し始めている」と診断された。顎骨壊死(がつこつえし)と呼ばれる深刻な症状である。疼痛や膿に加え、顎の骨が腐って露出してしまうのだ。


 女性は、骨粗鬆症の治療薬=BP製剤を服用していたが、これがインプラント手術時に顎骨壊死を引き起こすリスクがあった。手術前に、女性は薬手帳を歯科医に渡していたが、特に考慮されることはなかったという。


 インプラント治療の先駆者で歯科医を指導する小宮山彌太郎氏(ブローネマルク・オッセオインテグレイション・センター院長)が、ずさんな手術に警鐘を鳴らす。


「BP製剤のリスクは、歯科医の間で広く周知されていますし、女性の主治医と連携をしっかり取って、指示に従うべきでした。顎骨壊死には、手術時の衛生状態も深く関係していますので、歯科医の姿勢が問われています」


●レポート/ジャーナリスト・岩澤倫彦(『やってはいけない歯科治療』著者)


※週刊ポスト2019年4月5日号

NEWSポストセブン

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