ファイナンシャルプランナーが<パートは損な働き方>と断言するワケ。「社員とパートの収入の差は生涯で約1.7億円。年金額にもかなりの差が…」

2025年3月29日(土)6時30分 婦人公論.jp


(写真提供:Photo AC)

所得税の課税が生じる年収水準を表す<103万円の壁>を引き上げる改正案が議論されています。税金や年金など、お金に関するさまざまな制度が変わりつつある今、あらためてお金の勉強をしたいと考えている方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、社会保険労務士・ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんがお金の新しいルールを解説した著書『知らないと増えない、もらえない 妻のお金 新ルール』から、一部を抜粋してお届けします。

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妻の悩みQ.社員は大変そうなのでずっとパートがいいです


先生の答え A.パートは損な働き方。実はかなりもったいない!

あらためて、パートでの働き方について考えてみます。法律上は「短時間労働者(パートタイム労働者)」。年収の壁を意識しつつ、夫の扶養の範囲内で働いている人も多いでしょう。

「税金や社会保険料を払わなくても年金は一応もらえるし、夫の健康保険も利用できて、いいことずくめ!」とはいえません。デメリットもあります。

(1)自分の年金額を増やすことができない
(2)傷病手当金をもらえない
(3)勤め先の福利厚生を利用できない
(4)企業型DCに加入できない
(5)社会で一人前とみなされないことがある

パートのデメリット


(1)〜(3)は、社会保険に加入するメリットや会社独自の福利厚生を享受できないという点です。

(4)は、企業年金にあたる企業型確定拠出年金のこと。企業が掛け金を拠出し、社員が各自で運用して、将来、年金として受け取れる制度です。会社にこの制度があっても、厚生年金被保険者でないと加入できません。


『知らないと増えない、もらえない 妻のお金 新ルール』(著:井戸美枝/講談社)

(5)は、会社や社会の側の偏見です。正式なメンバーとみなされていない立場では、仕事のやりがいを感じにくくなってしまいます。また、「パート主婦」という響きには、夫に養ってもらっている人、付随する人のようなニュアンスが含まれているとも感じられませんか。

同じ職場で働いて、その会社の売り上げに貢献しているにもかかわらず、目に見えない線が引かれている……パートなどの非正規は、虐げられた働き方と言わざるをえません。自分の働きに見合った待遇を受けるためにはどうすればいい? という視点を持つことが大切です。

★アルバイトも同じパートタイム労働者ですが、なぜか主婦だけを「パート」という慣習が根づいています。

妻の悩みQ.社員とパートの収入、どのくらい違うの?


先生の答え A.生涯で約1.7億円の差がつくと試算されています

年収の壁問題など、妻の働き方が取りざたされるときは必ずといっていいほど、“世帯の手取り”が損得の判断基準とされます。

でも、世帯のことはさておき、妻自身の収入で比較してみましょう。

下の図は、働き方によって生涯の収入がどのくらい違ってくるかのイメージです(夫の収入を同一として試算)。出産後も継続して正規の正社員として働いた場合は、10年後にパートで働きに出たケースと比べて生涯収入は3倍近くにもなります。

年金額にもかなりの差が


年金額にもかなりの差があります。

厚生年金の額は働いた年数とその間の平均年収で決まるので、同じ期間働いても年収が高い人のほうが年金額も高くなります。

年収の壁を超えてパートでどれだけ長時間働いても、正社員の年収には及ばず、将来の年金額の差も大きいのです。

★「生涯年収」には年金受給額も含まれることに注目!

※本稿は、『知らないと増えない、もらえない 妻のお金 新ルール』(講談社)の一部を再編集したものです。

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