がん告白の吉田拓郎を襲った「白板症」 潜伏期間20年超えも

4月1日(月)16時0分 NEWSポストセブン

早く見つけることが大切(時事通信フォト)

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 もう歌えないと思った──「喉のがん」に罹患していたことを告白した吉田拓郎(72)。彼の告白からは、「がん発見」にまつわる重要な示唆があった。


 3月24日、吉田は自身がパーソナリティを務めるラジオ番組で、5年前にがん闘病生活を送っていたことを明かした。「喉の声帯に白板症という異物が発見された」ため、全身麻酔による手術で除去し、異物を調べたところ、がんだと判明したという。


 以降、約2か月にわたり毎日病院に通って放射線治療を続けたが、「食べ物は喉を通らないし、声は出ない、喉が非常に痛い。放射線の治療が終わってもそこから約半年間、苦痛の日々が続きました」と語った。


 吉田は2003年に肺がんを患い、肺の3分の1を切除しており、「がん生還」は2度目となる。今回も妻で女優の森下愛子(60)の支えもあり、2016年にはステージに復帰。5月から始まるツアーも予定通りに行なうという。


◆20年超えの“潜伏期間”も


 吉田を救ったのは、早期段階で声帯の「白板症」が見つかったことだったというが、どんな症状なのか。岐阜大学医学部附属病院歯科・口腔外科科長の柴田敏之氏が解説する。


「口の中や喉の奥などの粘膜の表面が角質化(硬化)して白く変化する疾患です。舌や歯肉、頬の内側、喉、そして食道まで様々な部位に発症します。白板症を放置すると約5〜10%ががんに変わるとされ、『前がん病変』と呼ばれます」


 飲酒や喫煙、入れ歯や歯の被せ物などによる粘膜への慢性的な刺激が代表的な原因で、特に中高年男性に多いという。


「自然に治る白板症も数%存在し、がん化するかどうかの個人差が大きい。短い人だと数か月、長い人だと20数年の“潜伏期間”が報告されている」(秋津医院院長の秋津壽男医師)


 吉田の場合はがん化した段階で発見されたが、“がん化するかどうかわからない白板症”もある。


「自然治癒するものもあるので、白板症だと判明した時点ですべてを切除する必要はありません。まずは細胞診、または組織診で悪性(がん)かどうかを調べてもらうこと。悪性だと診断されなければ切除せずに経過観察で良いでしょう。ただしその場合、年1回は口腔外科などに通い、がん化していないかどうかを診てもらう必要がある」(秋津氏)


 病変が小さい白板症は口内炎と見分けがつきにくい。しかも口内炎と違って痛みなどの自覚症状がほとんどないため、放置してしまうケースが少なくない。


 都内在住の坪井淑雄氏(仮名・68歳)は“がんサバイバー”の1人だ。


「2年ほど前、歯を磨いている時に、違和感を覚えて鏡で口の中を見たら、舌の横腹が白く変色していました。だけどその時点では、口内炎の一種かなと思って放っておいたんです」


 ところが1年ほど経つと変色部は100円玉大にまで広がっていた。「それでも痛みはなかった」(坪井氏)というが、心配になって口腔外科を受診すると、「舌がん」と診断された。


「白く変色した部分は白板症で、それががん化したとの説明でした。舌の一部を切除する手術で済みましたが、『発見が遅れていたら、舌の全摘もあり得た』と説明されました」(坪井氏)


 2月に舌がんを公表した堀ちえみ(52)の場合も、がんを口内炎だと思っていたことが発見を遅らせたといわれるが、「白板症は医師でも誤診しやすい」(秋津氏)という。


※週刊ポスト2019年4月12日号

NEWSポストセブン

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