古代ギリシア彫刻のペニスが“短小”である理由とは? 巨根は罵られ嘲られる!?

2023年4月2日(日)14時0分 tocana

 飽食の時代にあって現代人の体型は膨張の一途を遂げているが、そこで改めて見直されてくるのが各種の芸術作品で描かれた昔の人々の体型だ。古代ギリシアの男性裸像の逞しく引き締まった理想的なプロポーションには惚れ惚れするが、一抹の疑問が頭をよぎるかもしれない。どうしてアソコがあんなに小さいのかと——。


「小さな男性器」が魅力的であった時代

 先日、米フロリダ州の小学校の校長が、授業で生徒たちにイタリア・ルネサンスを代表する巨匠ミケランジェロの彫刻「ダビデ像」の写真を見せたために辞職に追い込まれるという出来事があった。


 裸像は“ポルノ”なのか? という議論が巻き起こっているのだが、この出来事は“センシティブ”な授業の際に父兄に対して事前の連絡がなかったことからきた騒動であったようだ。こうしたケースでの父兄への事前連絡はそれまでの慣例であったというのだ。


 議論の行方についてはいったん置いておくとして、これら古代ギリシアの(あるいは古代ギリシアをモチーフにした)男性裸像を“ポルノ”というのにはいささか迫力に欠けるのかもしれない。その立派な肉体からすれば、ボディの中央部に備わっているシンボルは拍子抜けするほど(!?)控え目な佇まいであるからだ。


 ある専門家によれば、古代ギリシアの彫像で表現された男性裸像のペニスは意図的に小さく描かれているということだ。そこには当時の“美の基準”が強く影響しているという。


 これらの石灰岩と大理石でできた男性裸像は、筋肉質の腕、シックスパックの腹筋、そしてたいていは豊かな頭髪を備えているが、多くのケースで肝心の男性のシンボルはきわめて慎ましやかである。


 古代ギリシアの芸術とセクシュアリティの専門家である美術史家のアンドリュー・リア氏は、この現象の背後にある奇妙な論理を説明している。


「人類の平均と比較して彼らは小さく、時には非常に小さいペニスを持っています。それは通常、萎れています」(アンドリュー・リア氏)


 紀元前400年頃、理想的な体型が今日とは大きく異なっていたことは明らかである。古代ギリシアの時代、聳え立つ巨大なペニスにはネガティブなイメージがあったことが、この時代に生まれた芸術作品から浮かび上がってくるのだ。


 古代ギリシアの喜劇『雲』の中で、劇作家のアリストパネスは、彼の周囲の男性の理想的な身体的特徴を列挙している。その特徴は次のとおりだ。


「キラリと光る胸、明るい肌、広い肩、小さな舌、たくましいお尻、そして小さな男性器」


 この特徴は肉体的により魅力的であると考えられただけでなく、道徳と知性も「小さな男性器」から来ていると考えられていのだ。


大きなペニスは「愚かさのしるし」

 歴史家のポール・クリスタル氏はさらに理解を深めようと試み、彼の著書『In Bed with the Ancient Greeks』(2016年刊)で調査結果を発表している。


「小さな陰茎は、ギリシャの男性美の理想と一致していました。それは最高の文化のバッジであり、文明の模範でした」(ポール・クリスタル氏)


「小さな男性器」の影響力は非常に強かったので、サイズに恵まれた人々に恥辱を与えてさえいたという。


 彼ら(大きな男性器の人々)は、道徳に妥協的で、好色で野蛮であるとの烙印を押され侮辱を受けていたのである。


「大きなペニスは下品で、文化的規範の外にあり、世界の野蛮人によって支持されたものです」(ポール・クリスタル氏)


 そのような(大きな男性器の)人々は獣に例えられ、歴史家は大きなペニスを「愚かさのしるしであり、人間というよりも獣のようだ」と指摘している。


 いわゆる“短小”は今日ではコンプレックスにもなり得るものだが、古代ギリシアでは“短小”こそが正義であったことになる。サイズに自信が持てないという向きには勇気づけられる話題にもなりそうだ。



参考:「LAD Bible」ほか

tocana

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