「リツイート数だけお釈迦様に甘茶をかけます」→3万2551RT 壮大すぎる住職の挑戦、その結果は...

2020年4月10日(金)11時0分 Jタウンネット


賢明なる読者の皆様は、4月8日は、いったい何の日かご存じだろうか?

忠犬ハチ公の日、しわ対策の日、指圧の日、タイヤの日など、いろいろあるようだが......。「お釈迦様の誕生を祝う花まつりの日」でもあるという。

そんな2020年4月8日、次のようなツイートが投稿され、いま話題となっている。

投稿者は、福岡県北九州市の永明寺住職・松崎智海さん。4月8日は、潅仏会や仏生会、浴仏会などとも呼ばれる、釈迦の降誕を祝して行う法会を行う日だ。

仏教の寺院では、花御堂を設け、堂の中に水盤を置き、釈迦の立像を中央に安置して、甘茶を注いでお参りする(関西では月遅れの5月8日に行われるらしい)。

投稿には「こんな状況なので参加できない方も多くおられると思います」とあるが、永明寺のある福岡県北九州市は、緊急事態宣言が発令された指定区域内にある。そこで松崎住職は、「このツイートのリツイート数だけ住職が代わりにお釈迦様に甘茶をかけます」と宣言した。期限は4月8日正午まで。

すると多くのユーザーが続々と反応して、8日正午までに、リツイート数はとうとう3万2551回に達してしまった。つまり松崎住職は3万2551回、お釈迦様に甘茶をかけなくてはならないことになったのである。

潅仏会がスタートしたのは、8日14時から。いったいどんな潅仏会になったのだろう?

1600回を超えて...「ひしゃくが重い!」

緊急事態宣言の対象地域内、福岡県北九州市にある永明寺で、花まつりの日に参加できない人の代わりに、松崎住職が甘茶をかけ始めた。その様子は、YouTube動画で中継された。

最初は、花まつり、潅仏会の意義について、やさしく解説するようなトークを交えながら、まったりとスタートした。軽妙な語りと、ひしゃくで甘茶をかける動作と、iPadで回数をカウントするという、1人3役で、なかなかペースが上がらない。途中で、住職夫人がカウント役に入ることになった。

松崎住職の目的は、「花まつりとは何か? 多くの方々に知らせたい」ということだという。お釈迦様の誕生を祝う、こんな行事があることを広く知っていただきたい、と考えたからだ。

甘茶をかけるのは、釈迦の誕生の様子を再現しているそうだ。

「お釈迦様が誕生した時に、天上から甘露の雨が降り注いだと言われています。甘露の代わりが甘茶というわけです。甘露の雨というのは飲むと不老長寿になると言われています」

松崎住職のトークはおもしろくて、わかりやすいのだが......、甘茶かけのピッチはなかなか上がっていかない。

「お釈迦様は誕生されるやいなや、7歩歩いて、『天上天下唯我独尊』とおっしゃったそうです」と松崎住職。

「どんな人も尊い目的を果たす為に人間に生まれてきたのだと、すべての人は平等である」

......という意味らしい。

お釈迦様のありがたいお言葉を解説しながら、甘茶をかけ続ける。ところがカウント数が1600を超える頃に、「ひしゃくが重い!」という言葉が、松崎住職の口からもれた。アクシデント発生か? 前途多難である。

「一人ではペースアップは難しい。中継動画をご覧の方で、どなたか有志がいらしたら、手伝っていただけるとありがたい」という言葉も出た。しかし、まだ笑顔だから、大丈夫だろう。

応援に現れたのは、北九州市の近隣にある最勝寺の八代副住職だった。永明寺と同じ浄土真宗本願寺派のお寺から、駆け付けてくれたようだ。

八代さんはご自慢の美声でお経を読み、松崎住職を励ます。

その後、二人でひしゃく2本を持ち、ピッチを上げて、甘茶をかける。この強力な援軍のおかげで、カウント回数は着々と増えていった。カウンターを押す手が追い付かないこともあるほどだ。カウント役は、住職夫人から高校生の息子さんに代わっている。高校も休校中だから、「ま、いいか」と参加してくれたようだ。

22時過ぎ、2万回を数えたところで、8日の潅仏会はいったん中断された。翌9日の14時から、再開されることになった。

「タイのニュースで取り上げられた?」

「肩がバキバキです」「昨日は8時間以上しゃべりっぱなしで、のどが痛い」とぼやきながら、松崎住職は再登場した。とはいえ、残すは1万2551回、昨日に比べれば数は少ないので、余裕のリスタートだ。

チャットに書き込まれたコメントが話題に上がる。チャットには、「どうやらタイのニュースで取り上げられたらしいですよ」という報告があったようだ。タイは熱心な仏教国として知られている。タイ国でもお釈迦様の誕生を祝うお花まつりは盛大に行われているが、リツイートの数だけお釈迦様に甘茶をかけるというYouTube中継は。相当に珍しかったらしい。

タイの仏像の光背には、電飾を利用したものがあるなど、東南アジアやインド、ネパールなどの仏教との比較文化論など、興味深い話が次から次と披露される。

カレーが大好きな松崎住職は、カレーと仏教の関わりについての蘊蓄もかたむけてくれる。昨日8時間話し続けたとは思えないほどの能弁ぶりである。

21時過ぎ、ついに3万2551回に到達。リツイートの数だけ、釈迦の立像に甘茶を注ぐ儀式も、ようやく3万2551回を達成した。4月8日と9日の2日間、合計15時間を超える「潅仏会」だった。

「あくまでもお釈迦様の誕生をお祝いするのが目的なんですよ、それを忘れてはいけません」、松崎住職は満足気につぶやいた。

この壮大な「お釈迦様ハピバ」の様子は、下記のYouTube動画で閲覧できる。


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