「俳優」として確かなキャリアを積み上げてきた広末涼子、もう一度見たいドラマ「ベスト5」を挙げるなら

2025年4月11日(金)6時0分 JBpress

(小林偉:放送作家・大学教授)


15歳で芸能界デビュー

 自称・広末涼子を逮捕・・・4月8日、衝撃的なニュースが列島を駆け巡りました。

 前日7日夜に、自称・広末涼子が運転する車が、新東名高速の掛川パーキングエリア付近のトンネル内で大型トレーラーと追突する事故を起こします。その後、搬送先の静岡県島田市にある総合医療センターで看護師の女性に暴行しケガをさせたとして、現行犯逮捕されたというのが、伝えられたニュース。

 当初は、本人確認が出来ていなかったとして警察発表も“自称”とされていましたが、後に広末涼子本人であると報道されています。衝撃的だったのは、広末が病院内で挙動不審な行動をとり、制止しようとした看護師を足蹴りするなどの暴行を加えたという、俄かには信じられないような行動を取った末の逮捕という点でした。

 広末涼子といえば、15歳で芸能界デビュー。洗顔料やヨーグルト、ポケベルのCMなどで人気を博し、ドラマにも立て続けに出演、デビューから2年後には「MajiでKoiする5秒前」で歌手デビューを果たすなど、一気にスターダムを駆け上がったのをご記憶の方も多いと思います。

 その一方で、1999年4月に入学した早稲田大学を2003年10月に「俳優業に専念したい」と退学。その2か月後に結婚・懐妊を発表したことをはじめ、その後の離婚・再婚・出産・不倫騒動など、いわゆる“ワイドショーネタ”の提供者としても、たびたびマスコミの材料にもされてきました。

 そんな彼女ですが、俳優として確かなステップを刻んできたのも事実。そこで今回は、筆者が選ぶ、俳優・広末涼子のお薦め作品ベスト5をご紹介したいと思います。

 まず第5位は・・・

『奥様は取り扱い注意』(2017年/日本テレビ系)

綾瀬はるか西島秀俊主演の連続ドラマ。広末は、綾瀬・西島夫婦が住む家のご近所の主婦役でした。亭主関白な大学教授の夫(石黒賢)とは冷え切った関係な中、乳がんの疑いを持ったり、合コンで知り合った男と男女の関係になったりと、すごい役どころ。どこか実生活の広末が、役の造詣になっているのではとも思わせる中、存在感たっぷりに演じていました。ちなみにこの作品は後に映画化もされましたが、そちらには残念ながら広末は登場しませんでしたね。

 続いて第4位は・・・

『桜の塔』(2021年/テレビ朝日系)

 玉木宏主演の警察ドラマ。広末は玉木の幼馴染で、警視庁刑事部捜査一課主任の警部補。野心家の玉木を気にかけ、諫めながらも協力していく、彼女にとっては少し珍しいハードボイルドな役どころでした。ですが逆にそれがとても新鮮で、40代になった広末の今後を感じさせてくれるような役なのではと、筆者は感じた次第。

 第3位は・・・

『ロングバケーション』(1996年/フジテレビ系)

ご存知、木村拓哉、山口智子主演のこの作品で、広末は木村拓哉が講師を務める音楽教室の生徒役で出演。出演場面はそれほど多くありませんでしたが、ちょっと生意気で可愛らしい姿が、筆者には強烈な印象として残っています。恐らくそんな佇まいが、この翌年の同じフジテレビ月曜9時枠の大ヒット作『ビーチボーイズ』での抜擢に繋がったと筆者は睨んでいます。反町隆史と竹野内豊のW主演のこの作品で、夢に破れた主演の2人がひと夏を過ごしたのが民宿「ダイアモンドヘッド」。広末はその民宿の看板娘という役どころでした。当時17歳、初々しくも眩ゆいばかりの演技で、時に主演の2人を喰ってしまうほどの存在感を発揮していたのが忘れられません。断然この作品が1位という方も、またこれで広末涼子を知ったという方もたくさんいらっしゃるでしょうね。

 第2位は・・・

『龍馬伝』(2010年/NHK総合)

福山雅治が坂本龍馬を演じたNHK大河ドラマですね。この作品で広末は龍馬の幼馴染である平井加尾という実在の人物を演じていました。龍馬にとっての初恋の相手でもあり、一度は婚約までしたものの別離。それでも後に龍馬にとって師となる勝麟太郎(武田鉄矢)と出会うキッカケを龍馬にもたらしたりと、とても重要な役どころ。それを、広末は清廉かつ儚さも漂わせながら演じていましたね。

 そして第1位は・・・

『はなちゃんのみそ汁』(2015年公開)

こちらはテレビドラマではなく、映画です。これ以前も広末は、高倉健主演の『鉄道員(ぽっぽや)』(1999年)やジャン・レノ主演のフランス映画『WASABI』(2001年)、アカデミー外国語映画賞を受賞した『おくりびと』(2008年)など、多くの名作・話題作に出演してきました。この作品は、そんな華やかなフィルモグラフィの中では地味ながら、とても良い作品です。原作は33歳でがんにより亡くなった実在女性の人生を綴ったエッセイ。広末の役どころはその主人公で、はなちゃんという幼い一人娘に、病状が悪化しながらも食事の作り方を教える姿は、とてもとても印象的でした。もしまだ未見の方がいらっしゃいましたら、是非!

 ・・・という、筆者の独断で選出した5作ですが、どれも一見する以上の価値はあると思います。ただし、今回の一件で観るのにいろいろ手間取るかもしれませんが・・・。

 実はかなり前のことですが、筆者は一度だけ広末涼子ご本人にお会いしたことがあります。俳優の故・原田芳雄邸で毎年末に開催されていた餅つき会に参加させていただいた折、偶然同じ卓を囲むことになりまして・・・。彼女は当時小学生ぐらいのお子さんと共にいらしていたのですが、とても穏やかな様子だったのを記憶しております。その印象が強かっただけに、今回の事件のニュースが俄かに信じられない想いが筆者にはあります。

 俳優として確かな存在感を発揮してきた広末涼子がもう一度、あの輝きを放ってもらえれば・・・筆者はそう願ってやみません。 ※文中敬称略

筆者:小林 偉

JBpress

「広末涼子」をもっと詳しく

「広末涼子」のニュース

「広末涼子」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ