中学受験で模試の結果をもっと活用する方法

2022年4月13日(水)5時55分 マイナビ子育て

模擬試験(模試)や塾のクラス分けテスト 、マンスリーテスト。予想外の低い点数に大きなショックを受けたり、順位や偏差値を見て終わりになっていませんか?本記事では、塾講師で受験生の母でもある天海ハルカさんが、成績アップに向けて模試を有効活用する方法をアドバイスします。

模試の合格判定は参考程度に

模試の中には、偏差値や順位のほかに、志望校に合格する可能性を判定するものもあります。

この結果は6年生になるまでは参考程度に考えましょう。もう少し細かくいうと、6年生の夏休み前までは、成績が安定していない子が多いもの。

その上、社会では「公民」を扱う前の塾も多く、本番に向けた実力が出そろっていません。

「80%だから安全校」「20%だから第一志望にはできない」と決めつけてしまうにはまだ早いですね。

「最難関校を狙えるか」「難関校を志望校にできるか」など、レベル帯を知るくらいの気持ちで臨むのが良いと思います。

また、6年生の夏以降でも、突然偏差値が大幅に変動することがあります。

もちろん単純に成績が上下したという可能性もありますが、「国語の読解文を大きく読み違えて大問ごと落としてしまった」など事故のようなケースも。

一度きりのテストではこういうことも起こる、というシミュレーションとして糧にしたいものですね。

合格の可能性を判定するようなテストは頻繁に実施されるものではないからこそ、その一度の結果だけで第一志望校のレベルを大きく変えるのはリスクが伴います。

6年生後半に模試結果を受けて受験校を変える場合は「チャレンジ校を入れてみる」「安全校をさらに安全な学校に変える」といった変更に留め、子どもが本当に行きたいと考える第一志望校は極力変えないことがモチベーションの維持に繋がると思います。

偏差値は数回分を比較して見る

模試の偏差値は毎回結果が気になるでしょうが、塾講師としてはもう少し広い視野で偏差値を捉えたいと感じます。

たとえば模試の結果で偏差値が50から53に上がった、というのは子どもを励ます素材としては使いますが、実際は誤差の範囲内です。

大手塾では月に一度偏差値が出るテストを実施するところが多いため、3回分、3ヶ月くらいのスパンを目安に変化や推移を追いたいですね。

一度高い偏差値を出したとしてもそれだけでは判断せず、2回続けてその偏差値を出せばそれが実力かもしれないと考え、3回目があってやっと本物だと認識するくらいがちょうどよいでしょう。

とはいえ、実際に偏差値の推移というのは単純な右肩上がりになることはレアケース。

「50→53→55→52→55」というように上がったり下がったりを繰り返し、平均値で考えてようやく偏差値が上がっていると認識できる場合が多いと知っておいてください。

模擬試験の問題は当然ながら毎回変わるため、そのときの得意不得意で偏差値も大きく変わります。

塾によって多少の前後はありますが、6年生の夏までは新しい単元がたくさん出てきます。

たとえば5年生になると社会は地理から歴史に変わり、6年生の夏前になってようやく公民を1から学び始めるなど、単元が変わることで偏差値にも大きな変動が起こることはめずらしくありません。

偏差値は現在の位置をおおまかに捉えるために使い、あまり細かい数字に左右されないほうが、勉強を進める上でも役に立つと思います。

偏差値は科目バランスも見る

模試の結果は4科目の偏差値だけでなく、科目ごとの偏差値バランスを見ることも大事です。

得意科目があり、全体の偏差値と比べて1科目だけ高い場合は問題ありません。

むしろ子どもの強みなので、たくさん褒めてあげたいポイントですね。

逆に1科目だけが低くて足を引っ張っているようなら、それは改善点であり、むしろ成績アップのチャンスといえるでしょう。

足を引っ張っている科目を強化すれば、一気に全体の偏差値が上がり、子どもの自信にもつながります。

苦手な科目は他の科目との差を埋めるため、重点的に勉強するようスケジュールを組み直しましょう。

我が家では一時期理科が足を引っ張っていたので、寝る前に毎日テキストを読む習慣を取り入れました。

結果的に今度は別の科目が足を引っ張るようになってしまい、それはそれで問題ではあるのですが、苦手科目の点数が上がったことは子どもにとってうれしい結果となりました。

苦手科目がわかったら重点的に勉強をし、他の科目に追いついたらまたまんべんなく勉強をする。そして再び科目間の差がついたら、また同じように苦手科目にテコ入れする。

大変ですが、その繰り返しで少しずつ全体の成績を上げていくのが良いかと思います。

正答率によって勉強をかえる

模試の結果の中には、問題ごとの正答率が書かれているものもあります。

この正答率は、勉強を進める上でとても大事なので活用したいですね。

テストの結果と模範解答が手に入ったら、間違えたところの「直し作業」をします。

解き方がわかる問題は解き直しを、わからない問題は解答解説を読んで次は解けるように覚え直す作業が「直し作業」です。

この「直し作業」は、現在の偏差値によって実施範囲を変えるのが効率的です。

テスト内容にもよりますが、最難関校を目指す、もしくはすでに偏差値が60以上という子は間違えた問題をすべてやりましょう。

偏差値50以上なら正答率60%以上のみ、50未満なら70%以上のみというように、偏差値に合わせて直し作業をする問題はかえていきます。

正答率が低いものは応用問題なので、わからないことが多い状態で取り組んでも、次回解けるようになるとは考えづらいからです。

しかも、せっかく勉強した問題がまた出題される可能性も相対的に低いです。

理解するまでにかかる時間・労力に比べて得られるものが少ないので、それならば基礎問題を繰り返すほうが次に生かせます。

実際に入試問題でも「捨て問」と呼ばれるものはあるので、受験において取捨選択はどうしても必要になってきます。

一方で、正答率が高いのに解けなかった問題は要注意です。

みんながわかっているのに自分だけわからなかった、というのは良くない差がついてしまいます。なぜ解けなかったか、どこを間違えたのかをしっかり分析して次に備えましょう。

算数なら数字を変えて再練習するのも良いですね。

何に時間を使うべきか、勉強の優先順位を教えてくれるのが正答率なのです。

見方がわからなければ塾に相談

模試の結果には情報が詰まっているので、偏差値や順位を見るだけではもったいない。

隅々まで見て活用したいものですね。

とはいえ情報が多すぎると、何を見たら良いかわからないかもしれません。

そんな時は塾の先生の出番です。

お子さんの偏差値や授業の様子に合わせて、見るべきポイント、生かすべき内容を教えてくれるはずなのでぜひ相談してみてください。

もし塾で対面の相談ができるようなら、模擬試験の結果を一緒に見て話ができると良いですね。

「見方がわからない」と言えば、見るべきポイントの説明もしてくれるはずです。

4科目の模試を解くには3時間ほどかかります。

模試の結果は子どもにとっては大変な思いをして得たものなので、上手に成長の糧にしていきましょう!

※中学受験ナビの連載『塾のトリセツ』の記事を、マイナビ子育て編集部が再編集のうえで掲載しています。元の記事はコチラ。

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