多くの人が<卵はひとつのカゴに盛るな>の意味を勘違い…「この資産は必ず守る!」と思うあなたが必ずすべきこと【2025マネー記事セレクション】

2025年4月15日(火)6時30分 婦人公論.jp


キムさん「よいポートフォリオは、投資者の『平常心』を維持してくれる」(写真提供:Photo AC)

2024年に『婦人公論.jp』で反響を得た「マネー」に関する記事から、今あらためて読み直したい1本をお届けします。(初公開日:2024年03月01日)
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24年2月22日の日経平均株価はバブル期以来、実に約34年ぶりに過去最高値を更新しました。NISA制度の拡充もあり、この機会に投資を始めようと考えている方もいらっしゃることでしょう。そのようななか、韓国人として初めて、アメリカの外食産業で大成功した起業家、キム・スンホさんは成り上がった秘訣を発信しています。キムさんいわく、「よいポートフォリオは、投資者の『平常心』を維持してくれる」そうで——。

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「卵はひとつのカゴに盛るな」を勘違いしてはならない


「卵はひとつのカゴに盛るな」。

これは有名な投資の格言だ。

じつはこの言葉はイタリアの古いことわざだ。

たぶん卵をひとつのカゴに山盛りにして、敷居でつまずきぜんぶ割ってしまったことのある農民が残した教訓なのだろう。

そして、アメリカのある翻訳家がセルバンテスの小説『ドン・キホーテ』を翻訳した際に、「知恵ある者は明日のために今日退くことを知っており、1日ですべてをやるような冒険はしない」という言葉を意訳したときに使われた。

その後、分散投資に関するポートフォリオ理論(Portfolio Theory)に寄与した功績で1981年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・トービン(James Tobin)が、彼の理論を一般人にも理解できるように説明してほしいという記者の求めにこう答えた。

「投資の際に、リスクと収益に従って分散投資すべきだという意味です。言い換えると、手持ちの卵をすべてひとつのカゴに盛ってはならないのです」

以降、「卵はひとつのカゴに盛るな」は、最も有名な投資の格言となった。

投資の最重要の原則


そして、この言葉が投資の格言となったことで、セルバンテスが言いたかった「1日ですべてをやるような冒険はするな」という人生哲学は、投資するにあたりリスクを減らせ、という意味に変わってしまった。

さまざまな銘柄に分散投資すれば、互いにリスクを相殺し、危険を低くできる。これをポートフォリオ効果と言う。ヘッジファンドの大家(たいか)レイ・ダリオ(Ray Dalio)も、「投資において真っ先にやるべきことは、予想外の未来に備えて戦略的資産配分をすることだ」と言っている。分散と資産配分を、投資の最重要の原則として指摘したのだ。

ところで問題は、それらのカゴ全てをひとつの棚に載せることだ。さまざまな株に分散投資することは、カゴが複数あるというだけで、それらのカゴをすべて同じ棚に載せているのと同じだ。棚が倒れることだってあるではないか。

あるいは不動産投資を株式投資のようにしている人がいるとしよう。もし彼がマンション、土地、オフィス、商業用賃貸物件など不動産だけに全財産を投資したとしたら、これは分散投資とは言えない。棚が倒れたら、マンションも土地もオフィスも商業用賃貸物件も倒れてしまうからだ。

平常心を保つこと


伝統的な投資対象には、預金、積立、不動産、株、債券、実物資産などがある。

このうちひとつの市場のなかであれこれ商品を買って「卵を多くのカゴに分散させた」と思うのは危険だ。

よいポートフォリオは、投資者の「平常心」を維持してくれる。

ポートフォリオ理論でノーベル経済学賞を受賞したハリー・マーコウィッツ(Harry Markowitz)は、平常心を保つことが投資成功の最も重要なカギだと言う。彼もまた、債券と株式に50対50で分散投資したそうだ。


ひとつの市場のなかであれこれ商品を買って「卵を多くのカゴに分散させた」と思うのは危険だ(写真提供:Photo AC)

経済学者メイア・スタットマン(Meir Statman)の調査によれば、十数種の銘柄から成るポートフォリオは、突発的な危険を84%まで回避できるという。

ぜんぶを棚の上に載せてはいけない


私も株式を十数種の銘柄に分散し、さらに債券、預金、不動産等に資産を振り分けた。卵をいくつかのカゴに入れたうえで、さらにそれを食卓、棚、冷蔵庫、机などに分けて置いたのだ。

もちろん分散もやり過ぎると利益も分散してしまうので、各市場についても勉強が必要だ。私は資産を増やそうと思うときは集中的に投資し、資産が資産を生むときは分散投資の原則を守る。

すなわち、攻撃手として繰り出す資産は攻撃的に一点集中型の投資をおこない、守備側として守るべき資産は広く分散させる。この資産は必ず守るべきだと思うなら、ぜんぶを棚の上に載せてはいけない。

ゆっくり、しっかり、失うことなく稼ぐのが、いちばん多く稼ぐ方法だ。

※本稿は、『お金は君を見ている 最高峰のお金持ちが語る75の小さな秘密』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

婦人公論.jp

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