【大学受験】創刊70周年の過去問「赤本」表紙デザイン変更
2024年4月15日(月)18時45分 リセマム
2024年版までの赤本の表紙は、2006年から約20年続いてきた。書店で存在感を放つ真っ赤な赤本は、大学受験の象徴であり「志望校の赤本を買うとやる気が出る」「心強い」と好評だったという。一方で「大学名が目立ちすぎて持ち歩くのがちょっと恥ずかしい」「表紙の圧がすごい」といった声もあり、創刊70周年を機に、新しいデザインを考えることにしたという。重視したのは「ぱっと見て赤本だとわかること」「受験のプレッシャーを与えないこと」「親しみを感じられること」。受験生に寄り添い、応援することを一番の軸とした。
新デザインは、明後日デザイン制作所の近藤氏・井澤氏が手がけた。赤本らしさは、「赤地に黒いゴチック体の大学名」「中央寄せの配置」「上部の帯状の差し色」「四角と幾何学模様」といった要素だと分析。これらのルールを残しながら、「強調を弱め、文字を読みやすく」「中性的なデザインに」「空白を設けて風通しをよくする」といった方針を立てたという。
最終2案まで絞り込んだ後、花園中学・高等学校(京都市右京区)の高校1・2年生の協力で、ユーザー目線の意見も聞き、高校生の感性を大事にしながら、最終デザインを決定したという。2025年版に使用するミントグリーンの差し色は、これまでの赤本にない爽やかなカラーとなった。
「赤本」は、赤い表紙から受験生の間で呼ばれ定着した通称で、シリーズ名はこれまで「大学別入試シリーズ」や「大学入試シリーズ」であった。2024年度に刊行される書籍から「大学赤本シリーズ」となる。新しい赤本は、2025年版として2024年5月から順次刊行する。表紙だけではなく、本文も新しいデザインになる。問題解答にツメを入れたり、見出しを大きくしたりと、使用しやすさを重視している。
赤本表紙は70年の間には何度もデザインが変わってきた。およそ87歳〜18歳の人が手にしてきた長年続くシリーズだが、使った年によって思い出の赤本の顔が違う。
赤本創刊60周年記念の際に「最古の赤本を探せプロジェクト」を立ち上げ、多くの人の協力を仰いだが、10年経った今も1955・1956(昭和30・31)年版の赤本は見つかっておらず、引き続き探している。当時の赤本は色が赤くない可能性が高く、書名が大学名のみという特殊な本のため、一見「赤本」とはわからないかもしれないという。考えられる特徴は3つ。「大学は不明だが、京都大学・同志社大学・立命館大学・神戸大学・大阪市立大学(当時名称)のものだという説が有力」「『昭和30年』といった文字が入っている可能性が高い」「実際に使われた人は、現在87歳前後」。世界思想社教学社では、古い書籍を整理する前に赤本ではないか確認してほしいと呼びかけている。見つけた人には謝礼が進呈される。