民家を覗く〝異常存在〟を「確保、収容しました」 不気味な異形の正体は――
2025年4月16日(水)20時30分 Jタウンネット
「近所をヤバいのがフラフラしてたので、確保、収容しました」
ゴツゴツとした穴だらけの身体に長い首。吸い込まれそうにぽっかり開いた先端は口なの?それとも頭?
とにかく、異形の姿をした謎の存在が、黒い枠の中に〝収容〟されている。、身動きを封じられているらしい。
これを〝捕獲〟したのは、浅野暢晴(@asanonobuharu)さんだ。
浅野さんの報告は、続く。
まずい、逃げ出した
治療
「ん?なんだか奥に...あれ?」
これは他でもない、あなた自身がやったことなんですよ。
まずい、逃げ出した。
異形の存在は浅野さんの手から逃れてしまったらしい。そして、民家に侵入しようとしている......?
ドアに顔(口?)をくっつけて中をうかがう様子は、非常に不気味だ。
一体これは何なのか? そして、この後どうなったのか?
捕獲者・浅野さんに詳しく話を聞いてみた。
その名は「人を喰ったような」
「これは『人を喰ったような』という作品です」
そう語る浅野暢晴さんは、彫刻家。「トリックスター」という名前の、三本足の黒い生き物の彫刻を、陶で作っている。今回〝確保、収容〟された「ヤバい奴」も、浅野暢晴さんが手がけた彫刻作品の一つだ。
「トリックスターの特徴は、黒い陶の体を持つ彫刻です。多くのトリックスターは、三本足ですが、この子は二本足の希少種。
彼らは、闇の中に住み、闇を喰べる異形の生き物です」(浅野暢晴さん)
そんな『人を喰ったような』は、都市伝説・現代ファンタジーがテーマのコミュニティサイト「SCP財団」の日本支部で、〝異常存在〟として扱われている。
SCP財団とは、自然法則に反した存在等を封じ抑え込むことを任務とする架空の秘密組織。世界中のメンバーが「これはやばい」「収容しなければならない」と思う奇妙な存在についての〝報告書〟を投稿し、共有して楽しむ創作プロジェクトだ。
そして、SCP財団において〝異常存在〟は「確保・収容・保護」するべきもの。そこで浅野さんはそれに則り、『人を喰ったような』を「確保、収容しました」と投稿したのだ。
さて、脱走した『人を喰ったような』はその後、再捕獲され、拘束され、車に乗せられてどこかに搬送される姿が報告されている。
一体、どこへ?
「森に返してきました」
「彼は茨城県笠間市の『茨城県陶芸美術館』の森に返してきました」
浅野さんはそう語る。
しかし、筆者にはひとつだけ気がかりがある。
——本当に、もう逃げ出さないのだろうか?
ある日ふと、森から彼の姿が消えていたとしたら——
その時はまた、「確保・収容・保護」しなければならないかもしれない。
そんな事態になっていないか確かめたい人は、森へ足を運び、その目で見てきてほしい。
(ライター:わかつきなつみ)