順番を守れず、すぐ「横入り」してしまう息子…原因は“興奮”!? 悪気がない子への【並ぶことの教え方】

2021年4月16日(金)20時30分 マイナビ子育て

通常学級に通う小中学生の中で、発達障害の可能性がある子は8.8%いるとされています(2022年、文部科学省調査)。そんな特性がある子どもたちへの対応をまとめた「発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル」(講談社)は、親としての“気づき”が満載です。

発達障害がある子、その可能性がある子、そうでない子……いろいろな子どもたちがいますが、「我が子のいいところを伸ばしたい」と思う気持ちは全ての親に共通しています。そんな方に知っていただきたいことを、元小学校教諭で現発達支援コンサルタントの小嶋悠紀氏の解説でお届けします。

第五回の今回は、「順番を守れない子には①」「順番を守れない子には②」についてです。

「順番を守る必要性」から教える

順番を待てない子は本当にたくさんいます。順番を守るよう、教えてあげなければいけませんが、ただ単に「順番を守らなきゃダメ!」と叱るだけでは意味がありません。発達障害がある子は、そもそも「順番は守るものだ」ということがわかっていない場合もあるため、理解してもらえないのです。

次ページで、ユウトくんという男子児童が、ブランコの順番を抜かしたときの支援例を紹介します。大切なのは、穏やかに呼び寄せて、「順番がある」ということと、「何番目にのれるか」をていねいに説明してあげることです。

順番を抜かした子どもに興奮した様子が見られる場合は、待つように伝えるのではなく、

「順番を待ちますか? それとも、別の遊びをしますか?」

と選択させたほうがいいこともあるので、状況に応じて使いわけてください。

画:かなしろにゃんこ。「発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル」より

「待ち方」を絵で教える

順番を守れない子には、必要に応じて「待ち方」を教えなければいけません。「何をすれば順番を守ったことになるのか」がわかっていない、という子もいるからです。

また、発達障害の子は、「やりたい!」という気持ちが強いと、列をつくって待っている人がいても、まったく目に入らなくなってしまう場合があります。だから、順番を守るためには、「列の最後尾の人のあとに並んでいなければならない」ということを、わかりやすく伝える必要があります。

たとえば前項で登場したユウトくんにブランコの順番の待ち方を教えるなら、まず「ブランコを待っている」という設定を視覚的に示した絵を用意します。次ページにイラストで再現しましたが、もっと簡単なものでも構いません。そして絵が用意できたら、162ページのような手順で子どもに教えます。

▲順番の守り方を教えるときに使う絵の一例画:かなしろにゃんこ。「発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル」より

たとえば、「何人かがブランコを待っている」という状況を表現するのであれば、上のような簡単な絵を用意する。いちばん後ろの人物をほかの人より濃く描いて名前をつけ、目立つようにしておくのがポイント。これによって「最後尾」という概念を教えやすくなる

「○か×か」のようなはっきりした表現で、順番を抜かすのは悪いことだと伝えます

「最後尾の人を探して並ぶ」のが順番を守ることだと教えます

視覚的に教えたほうが確実に伝わるので、絵を活用しましょう

最後に、落ち着いて待つための方法を子どもと相談し、いい案がなければ大人が提案します

書籍『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル』について

\教えたいことが確実に届く! 子どもが変わる! 成長する!/

これまで2000人を超える人の支援に関わってきた特別支援教育のエキスパート・小嶋 悠紀氏が送る「支援スキルの大全集」。イライラ、パニック、暴言・暴力など、解決の難しい問題にも効果があります。

✅ こだわり行動を終わらせて、切り替えてもらうコツ✅ パニック寸前になっている子の見分け方✅ 怒りの爆発を防ぐために、最初にかけたほうがいい一言✅ 順番を守れない子に、順番の守り方を教える方法✅ 不安を募らせがちな子との向き合い方✅ 反抗的な言動を口論に発展させない「返し方」

など、多くの発達障害・グレーゾーンの人と関わるなかで磨き上げられた、子どもたちへの「声のかけ方」「接し方」、そしてアセスメントの100の方法が紹介されています。

<2児の母・マイナビ子育て編集者が読んでみた!>事例がとても具体的にわかりやすく漫画やイラストで描かれており、「あーこれはやりがち」「こうすればよかったのか!」と反省しつつ、気づけば夢中で読んでいました。夫に共有したいページに付箋を立ててたら、本が付箋だらけに……!! イライラや不安を抱きつつ、手探りで子育てしている保護者にとって救いとなるヒントに溢れた一冊です。

著者|小嶋悠紀氏について

1982年生まれ、株式会社RIDGE SPECIAL EDUCATION WORKS代表取締役、発達支援コンサルタント、元小学校教諭。信州大学教育学部在学中に発達障害がある人を支援する団体を立ち上げ、代表を務める。卒業後は長野県内で教員を務めながら、特別支援教育の技術などをテーマに全国で講演を実施。県の保育士等キャリアアップ研修や、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の養護教諭むけの研修なども担当する。2023年より現職。直接の指導や支援会議への参加を通じてこれまで2000人をこえる子どもの支援に関わり、センサリーツール「ふみおくん」の開発にも携わった。おもな著作に『発達障がいの子供を教えてほめるトレーニングBOOK』『小嶋悠紀の特別支援教育 究極の指導システム1』(教育技術研究所)などがある。■Instagram:@oshietekojit

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