新宿で味噌ラーメンならココ! ラーメン官僚も唸る『麺屋翔 みそ処』の至極の一杯とは?

2022年4月16日(土)10時48分 食楽web


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 今回ご紹介するのは、2022年の元旦に西新宿にオープンした『麺屋翔 みそ処』。同店は、2005年11月に池袋で創業し、2007年4月に西新宿へと移転。その後、西新宿エリアにおいて、トップクラスの実力店として君臨し続けてきた大橋望店主率いる『麺屋翔』のニューブランドです。

 ロケーションは、西新宿駅(東京メトロ丸ノ内線)、新宿西口駅(都営地下鉄大江戸線)の双方から、3分程度歩みを進めたところにある細い路地沿い。『翔本店』と同じ西新宿エリアに店舗を構えていますが、場所は別。完全な独立店舗なので、足を運ばれる際はくれぐれも本店とお間違えなきようご注意を。


薄褐色の外壁に黒文字で『麺屋翔 みそ処』の屋号を掲げた、シンプルな外観。外壁の褐色が味噌スープの褐色を連想させ、味噌ラーメンの専門店であることを訪れた客に強く印象付けているようです

 今回、大橋店主が『みそ処』で提供する「みそらーめん」は、『翔本店』が水曜限定で提供していた味噌ラーメンをベースに、店主がブラッシュアップを施したもの。

「8年前から本店で提供し続けてきた味噌ラーメンは、ちょっとのことでは折れない私の自信作。西新宿に『翔』を開業してから14年。何度も回り道をしましたが、いま一度原点に立ち返り、2022年は味噌ラーメンの味をさらに研ぎ澄ませる1年にしようと考えたんです」と、大橋氏が『みそ処』開店の抱負を語ってくれました。

 今や全国区レベルの実力店としての地位を確立させた感がある『麺屋翔』が、新たに専門店をオープンさせるほど力を傾注する「みそらーめん」。ラーメン好きとしては気にならないはずがなく、早速、足を運んできました。


店舗内観。店舗のある西新宿エリアは、高層ビルが立ち並ぶ「副都心」が至近とは思えないほど街並みが牧歌的。平成初期あたりで時が止まったような光景です。初めて訪れる人は、こんな場所がまだ新宿のど真ん中に残っていることに驚くと思います

 今回は新宿西口駅からアクセスしましたが、エリア内に一歩入れば、小滝橋通り沿いの喧噪が嘘のような静けさ。歩みを進めると、ラーメン好きならお馴染みの『風来居 新宿店』や『すごい煮干しラーメン凪』が佇む細い路地にぶつかります。その路地のさらに一本先の路地沿いに佇むのが、目的の店舗『麺屋翔みそ処』です。


券売機

 現在、同店がレギュラーメニューとして提供しているのは、「みそらーめん」「みそつけ麺」「みそ担々麺」の3種類と、そのバリエーション。味噌専門というだけのことはあり、全ての麺メニューに味噌が使用されています。

「複数のメニューを提供することにしたのは、可能な限り食べ手の多様なニーズに応えたいからです。この店のラーメンのコンセプトは、“記憶に残る味噌”。この理想を実現すべく、頑張って味噌の道を究めたいと思っています」(大橋氏・以下同)

 今回は初訪問だったので、迷うことなく基本メニューである「みそらーめん」をいただくことにしました。ちなみに、店内は12席のカウンター席のみ。厨房で腕を振るうのは、大橋店主ご本人。本店を含め、計3店舗を擁する大橋氏自らが、ラーメンづくりを一手に引き受けていました。(※)

(※)大橋店主自身がラーメンを作らない場合もあるが、スタッフが育ち店が軌道に乗るまでは、毎日『みそ処』の厨房に立つとのこと。

 さすがに料理の手際は鮮やか。とりわけ、モヤシの炒め方は、神業の領域に到達しています。炒めている最中、宙を伝い鼻腔へと届く焦がしモヤシの芳香に、思わずお腹を鳴らしてしまいました。大橋氏の所作に見惚れているうちに、「みそらーめん」が完成。恭しく、眼前に供されます。

圧倒的な存在感を醸し出す「みそらーめん」


「みそらーめん」1000円

 豚骨等の動物系素材からうま味の粋を搾り取った出汁と、4種類の味噌をブレンドしたタレとを合わせて作られる濃褐色のスープは、その佇まいを視覚に捉えた瞬間から、紛れもなく一級品であることが分かる、会心の出来映え。もちろん、肝心の味の方も、日本の味噌ラーメン最上位グループの一角にその名を連ねられるほどハイレベルです。


一口飲む度に力強いスープが、口内から胃袋へ駆け抜ける

 スープを口に含んだ瞬間、舌上でビッグバンを炸裂させる味噌の滋味。そこに、香り豊かなニンニク・生姜や、スパイシーな山椒など、複数の素材の“粋”がふわりと折り重なり、豚骨・ラード油などの動物系素材が、土台としてこれらを力強く支えます。

「味噌は豚骨と非常に相性が良いので、開発当初から豚骨を味噌と並ぶ主役に据えるつもりでした。あとは、豚骨に味噌以外の素材をどう組み合わせていくか。試行錯誤を繰り返した結果、今の味ができあがりました」

 豚骨を軸に、多種多様な素材を縦横無尽に合わせることで、味に膨らみを持たせる。大橋氏の試みは、見事に成功していると言えるでしょう。個人的には、味噌という食材が持つ魅力を、食べ手を問わず、明確に理解できるような形で提示できている点が、大橋氏が手掛ける「みそらーめん」の真骨頂だと思います。

 加えて、ラード油が、スープの熱を封じ込めるフタの役割を果たし、食べ終わりまで熱々の状態がキープされる点も、特筆に値します。このスープに合わせているのが、国産小麦のみを用いた、都内の名門『菅野製麺所』の麺。


スープの味に負けていない麺

「味噌の風味に負けない、力強く甘み豊かな麺。福岡産の『チクゴイズミ』をメインとした麺を、『菅野製麺』さんと二人三脚で創り上げました」

 中細縮れ麺でありながら、確固たる存在感を誇示。過不足がまったくない適量のスープが麺に絡み、麺をすすれば、まるでスープを直接すすっているかのごとく、麺とともにスープも口元へと吸い込まれていきます。熱々のスープの中をどれだけ泳がせても、申し分のないコシとハリを保ち続ける名品です。


神業で炒めあげられたモヤシがシャキシャキで美味

 その他、トッピングのモヤシも、しっかりと下味が施され、歯触りもシャキシャキ。単品で「おつまみ」として食べたくなるほど完成度が高く、箸休めアイテムとしての効果も十二分に発揮。気が付けば、ペロリと完食してしまっていました。

「コンセプトが異なる直営店舗は、この『みそ処』でひと段落と考えています。とにかく、この1年はこの店をブラッシュアップさせることに力を尽くしたいんです」と語る大橋氏。店主の“本気”が、丼からダイレクトに伝わってきました。大行列ができる前の今がチャンス。一刻も早く、足を運んでもらいたいと思います。

大橋望氏のプロフィール

・25歳で北海道から上京し、池袋を経て2007年4月に、現在の場所(西新宿)に『麺屋翔』を開業。
・開業後、間もない頃にTV番組「愛の貧乏脱出大作戦」に出演し、『麺屋こうじグループ』の田代浩二氏や、『麺処ほん田』の本田裕樹氏から、ラーメン職人としてのイロハを教わったエピソードは、あまりにも有名。
・2022年現在、西新宿の地に『麺屋翔本店』、『麺屋翔みなと』、『麺屋翔 みそ処』の3店舗を構える。『麺屋翔本店』で提供される塩ラーメンは、カップラーメン化されるほどの名品。
・『本店』は鶏をベースとした1杯、『みなと』は真鯛のうま味を前面に押し出した1杯、『みそ処』は豚をベースとした味噌専門店と、提供するラーメンのコンセプトは、3店舗とも異なる。

●SHOP INFO

店名:麺屋翔 みそ処

住:東京都新宿区西新宿7-19-9
TEL:03-6277-2521
営:11:00〜15:00、18:00〜20:00(L.О.19:45)
休:なし

●著者プロフィール

田中一明
「フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。47都道府県のラーメン店を制覇し、現在は各市町村に根付く優良店を精力的に発掘中。

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