シャトー・メルシャンが、山梨県にてブドウの新品種ソワノワールの植樹体験会
2025年4月17日(木)12時8分 マイナビニュース
シャトー・メルシャンは4月16日、城の平ヴィンヤード(山梨県甲州市)にて、山梨県が開発した醸造用ブドウ新品種「ソワノワール」の植樹体験会を開催した。城の平ヴィンヤードはシャトー・メルシャンの起源とも言われている場所で、その豊かな自然は2025年2月に環境省の自然共生サイトにも登録されている。
○■酷暑に強いブドウに期待
現地体験会の模様はオンラインでも配信した。冒頭、シャトー・メルシャンの小林弘憲氏がシャトー・メルシャンの持続可能なワイン造り、新品種「ソワノワール」の取り組みなどを紹介。その後、キリンホールディングスの美鳥佳介氏が城の平ヴィンヤードにおける環境保護の取り組みを紹介した。
創業当時より、自然環境や地域と共生した持続可能なワイン造りを行ってきたシャトー・メルシャン。小林氏は日本ワイン産業を取り巻く課題として、世界的な気候変動の影響が避けられないこと、また遊休荒廃地が増加していることを指摘する。「持続可能なワイン造りのため当社では、標高の高い圃場を開拓し、ブドウの適地・適品種栽培に取り組んでいます」と小林氏。
ソワノワールは、山梨県が開発した新品種。熟期は8月下旬で、メルロより9日程度早いという。小林氏は「日本一のワインの産地である山梨県では、これまでもブドウの品種改良を続けてきました。ソワノワールなら酷暑にも強く、高品質なブドウの収穫が見込めます。そこで、ここ数年ブドウの着色に関して課題のあった城の平ヴィンヤードにおいて、今シーズンはソワノワールを400本ほど植樹する運びとなりました」と説明する。
美鳥氏は、環境保護の取り組みを紹介する。シャトー・メルシャン、キリンホールディングス、農研機構の3者は2014年より共同研究を実施中。それによれば、垣根栽培・草生栽培のヴィンヤードは“草原環境”として自然に寄与し、生物多様性にもポジティブなインパクトを与えていることが確認されたという。
美鳥氏は「シャトー・メルシャンでは、ヴィンヤードの草原環境を適切に管理することによって生態系を豊かにできることを科学的にも確認しています。こちらの城の平ヴィンヤード、および椀子ヴィンヤード(長野県上田市)は環境省の自然共生サイトに認定され、ネイチャー・ポジティブ実現に向けて重要な役割を果たす30by30にも貢献しています」とアピールした。
このあと現地では、実際にソワノワール400本を植樹した。順調に生育が進めば2027年頃には収穫できるため、樽で1年ほど熟成させたとしても、2028年以降には「ソワノワールのワイン」として提供できる見込み。ただ収穫できる量としては500〜600kgほどで、そんなに多くはないという。
「これまで育てていたメルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランのなかには(夏の猛暑の影響で)成熟度に課題が出ていた品種もあります。もしソワノワールの出来が良ければ、適地・適品種ということで今後、入れ替えも検討していきます」と小林氏。今回の植樹は、あくまで試験的なものであることを強調した。
近藤謙太郎 こんどうけんたろう 1977年生まれ、早稲田大学卒業。出版社勤務を経て、フリーランスとして独立。通信業界やデジタル業界を中心に活動しており、最近はスポーツ分野やヘルスケア分野にも出没するように。日本各地、遠方の取材も大好き。趣味はカメラ、旅行、楽器の演奏など。動画の撮影と編集も楽しくなってきた。 この著者の記事一覧はこちら