【フォトレビュー】幾何学ダイヤルの奥に宇宙の刻の運行を見る。オリエントスター「M34 アバンギャルド F8 スケルトン RK-BZ0004B」
2025年4月18日(金)8時44分 マイナビニュース
オリエントの上位ブランドとして、高精度な機械式時計をラインナップするオリエントスター。その名の通り「宇宙」をイメージした「Mコレクション」から、2025年3月末に発売されたばかりの新作「M34 アバンギャルド F8 スケルトン RK-BZ0004B」(以下、F8スケルトン)の魅力をご紹介する。
○M34シリーズで培った技術を結集
ケースとブレスレットは、黒メッキによって耐傷性と高級感を備えたステンレス(SUS316L)製。「SUS316L」はサージカルステンレスとして一般医療器具やアクセサリーなどにも使用される材質で、サビにくく、金属アレルギーを比較的引き起こしにくい特性がある(金属アレルギーの発生を完全に防ぐものではありません)。また、磁力を帯びにくいなど、時計外装にも適している。
ケースサイズは42.3 mm(横)×50.0 mm(縦)×12.4 mm(厚)、重さは180g。目を引くのは、まるで数式から導き出されたかのような二重構造のダイヤル。伝統的な透かし彫りのような補器の隙間からは、パーツの精巧な駆動と輝きを見ることができる。
12時位置のレトログラード(扇形に往復する小針)は残りの駆動時間を表示、6時位置にはスモールセコンド(秒針)、9時位置にはテンプとブルーメタリックに輝くシリコン製がんぎ車をレイアウトする。
このがんぎ車は、オリエントスターの母体であるエプソンがプリンターヘッドなどの製造で使用する最先端の微細加工技術や、半導体製造の被膜形成技術を応用して開発したものだ。
シリコンの特性として、耐摩耗性や耐久性の高さに加え、軽量、非磁性、摩擦の少なさが挙げられる。つまり歯車の動作がスムーズになり、動力のロスが低減、ムーブメントの精度や持続時間の向上が期待できる。
そして、この美しいブルーは、コレクションの名前にもなっているペルセウス座「M34星団」の色そのものだ(ウソだと思うなら検索してみてほしい)。ブラックをベースに金銀のパーツがきらめくダイヤル空間で力強く回転の節を刻みながら、強い存在感を放っている。
ムーブメントは、自社製の手巻き付き自動巻き機械式「キャリバー F8F64」。平均日差は+15秒〜-5秒(静的精度)で、最大巻き上げ時の駆動時間(パワーリザーブ)は60時間以上。目一杯に巻かれていれば、金曜の夜に外しても月曜の朝に時刻合わせをすることなく着けられる。
なお、このムーブメントのローターにはコート・ド・ジュネーブ、ブリッジや地板にはペルラージュの豪華な装飾が施されており、ケースバックからその風合いを満喫できる。装飾がキラキラと輝きつつも、日本人の肌に合った落ち着いた色味で、嫌味のない行儀の良さがある。
風防はケース前面/裏面ともにサファイアクリスタル。特に表面は、光の反射を99%防ぐSARコーティングを使用。まるで素通しのように風防の反射が抑えられた視認性の高さは、掲載した写真からもお分かりいただけるだろう。防水性能は、日常生活用強化防水(10気圧)。価格は29万1,500円で発売中。
幾何学ダイヤルの深遠で精確に刻を刻む「F8スケルトン」は、単なる時計を超えた機械的的小宇宙だ。