「多汗症前線」とは? 気象データから受診タイミングを予測、日常生活でできる工夫も
2025年4月18日(金)9時28分 マイナビニュース
科研製薬はこのほど、日本気象協会、長崎大学との産学連携により作成した「多汗症前線2025」を公開した。
○多汗症前線2025とは
今回発表された多汗症前線2025は、科研製薬・日本気象協会・JMDCの3社と長崎大学が協力し、多汗症患者の受診(レセプト情報)と気象の2つのビッグデータを集積・分析することで、受診のピークを予測した「多汗症前線」を2025年の春から夏にかけての最新の気象予報をもとに作成したもの。
「前線」という親しみやすい形で受診の目安となる日付を提示することで、「多汗症」という疾患の認知拡大や受診起点の創出、患者が新しい治療に踏み出すきっかけになることを目的としている。また、これらの日付はあくまで目安であり、気になる症状があれば早めに医療機関に相談することを推奨している。
○「多汗症前線」セミナーで解説
4月9日には、ワキ汗をはじめとする多汗症に悩み、受診をためらっている人々らに向けて、受診機会の促進と疾患認知の向上を目的に「多汗症前線」を解説するセミナーが開催された。
当日は、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 皮膚病態学 教授の室田浩之先生が、多汗症のメカニズムや、多汗症前線2025について解説したほか、気象予報士の天達武史氏が、最新の気象予報や昨今の夏における猛暑・異常気象について解説。さらに、実際に多汗症患者でもある多汗症サポートグループ理事長の黒澤希氏を交えたトークセッションも行われた。
トークセッションでは、まず天達氏が多汗症前線2025の見方をテレビでみる気象予報さながらに解説した。黒澤氏は、「こういう基準があってよかったです。待ってました!」と話し、実際に受診タイミングに悩む方が多くいることからも、受診の目安になる多汗症前線の有用性に期待を寄せた。
○多汗症、日常でできる工夫は?
さらに、予測日が近づく時期に留意すべき点や具体的な対策については、多汗症サポートグループに所属する患者を対象に実施されたアンケート結果をもとに、日常生活における工夫や、多汗症との向き合い方が紹介された。
○日常での工夫
アンケート結果からは、手持ち扇風機の携帯や、こまめな休憩を取るとなどの様々な対処法が挙げられた。黒澤氏は、「自分の症状についてはある程度把握しているので、荷物は多くなってしまいますが、体温調節ができるよう上着を持ち歩くことや、汗で手が冷たくなるので綿手袋を持ち歩くなどの対処をしています」と述べた。
また、室田先生は、「汗を適度にかくことも身体にとって重要である」と説明。汗を完全に止めたいという患者もいる一方で、必要な機能を損なわない程度の対処が大切であるとの見解を示した。
○食事についての工夫
食事については、何もしていないとの回答が多かったものの、熱いものや辛いものを避けるといった意見も見受けられた。これに対し黒澤氏は、「コーヒーが挙がっていないのが意外!個人的にコーヒーが大好きなのですが、コーヒーを飲むと発汗量が増える気がしていて、日頃あまり飲まないようにしているんです」と語った。室田先生は、カフェインには発汗を促す作用があり、反対に体を冷やし熱がこもらないようにする食材もいくつかあると解説した。
○服装についての工夫
服装については、「汗ジミの目立ない服を選ぶ」が最多の回答となった。黒澤氏も、「汗とグレーの色は本当に相性が悪く、グレーを着るのはもはや憧れ、というのをよく聞きます。グレー以外にもパステルカラーのピンクや水色、ベージュなども色の変化が目立つので着られないですね。他にも、汗をずっとかいているので臭いも気になってしまうので着替えを持ち歩き、タイミングがあれば着替えられるようにしている」と述べている。
おしゃれ好きの天達氏は、気温と服装の関係について「服装は5℃で1枚変わると言われています。例えば、20度前後では上着を着るか着ないかのボーダーラインになりますね」と説明。当日の自身の衣装が"シアーサッカー素材"であることに言及し、「風通しが良くて快適。履いていないみたい」と、素材選びの重要性にも触れた。