異星文明が建設? 太陽を覆う巨大構造物“ダイソン球”はこうして安定する!最新研究が明かす衝撃の条件

2025年4月17日(木)11時30分 tocana


 高度に発展した文明は恒星のエネルギーを余すことなく利用するために「ダイソン球」を建築している可能性があるという。実はダイソン球には構造的な不安定さがあるのだが、最新の研究で安定したダイソン球の形態が報告されている。


■ダイソン球は連星系で見つかる

 1964年に旧ソ連の天文学者、ニコライ・カルダシェフが考案した宇宙文明の発展度を示す三段階のスケールである「カルダシェフスケール」の「タイプ2」文明は恒星のエネルギーを余すことなく利用しており、恒星を取り囲む「ダイソン球(dyson sphere)」を建築している可能性が高いといわれている。


 1960年代に物理学者で博学者のフリーマン・ダイソンが考案したダイソン球を太陽系に当てはめてみれば、太陽をすっぽりと覆う太陽光パネルの巨大な外殻である。


 しかし問題は重力だ。空洞の外殻の内部では重力が打ち消されるため、中の恒星は自由に動いてしまい外殻に衝突する可能性も高い。もちろん太陽のような高エネルギーの恒星が接触すれば人工物の外殻など簡単に破壊されてしまう。


 したがってダイソン球を建築するとなるとこの重力の問題も解決しなければならない。高度な先進文明はこの問題をどう解決したのだろうか。


 グラスゴー大学のエンジニア、コリン・マッキネス氏が今年1月に「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society」で発表した論文では、ダイソン球を理論的に安定化させる方法を発見したことが報告されている。その条件となるのは、少なくとも2つの恒星からなる連星系であることだ。


 マッキネス氏はまず、連星系内でダイソン球が安定して配置できる地点を探し求め、ダイソン球が両方の恒星を取り囲む配置を1つ見つけ出した。


 しかしこの状況はそれほど安定しておらず、単独の恒星の場合と同じ問題に直面する可能性は高い。


 次にマッキネス氏は安定的かつ有用な構成を1つ突き止めた。それは2つの恒星の大きさに極端な差があるケースである。このケースでは2つの星のうち小さい方の恒星をダイソン球で囲むことができるのだ。


 小さい方の恒星の動きが重力アンカーのように働き、ダイソン球を大きい方の恒星の周りを同じ軌道で周回させ続けることで、壊滅的な衝突を防ぐことができる。


 大きさの差は、小さな恒星の質量は大きな伴星の質量の約10分の1以下でなければならず、それ以上だと重力安定点が消滅してしまう。またダイソン球の外殻(太陽光パネル)は極めて軽く薄くなければならず、そうでないと殻の重力の影響が系のダイナミクスに混入し、安定性を破壊してしまうのだ。


 そしてもちろん、この分析では外殻が受けるストレスや張力、そもそも球体をどのように構築するかといったエンジニアリング上の技術的問題は棚上げされている。


 この研究は地球外文明の探査に役立つことは間違いないということで、おそらくじゅうぶんに進歩した文明であれば、独自のダイソン球を建設する前に同じことに気づいていたはずである。したがってダイソン球を探すには連星系に注目することになる。


 科学者はより大きな伴星を持つ星系に着目し、惑星に見える天体から熱が漏れ出ていないかチェックしてみれば、いつかダイソン球を探し当てることができるかもしれない。そしてもちろんその一方で我々人類はフリーエネルギーが実現した「タイプ1」の文明に一刻も早く到達すべきである。



参考:「Live Science」ほか

tocana

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