「ベルマークやめませんか」提案に対する衝撃の返答。PTAが変われない根本的理由とは

2025年4月21日(月)21時25分 All About

PTAの経験談について保護者にアンケートを取った結果、PTAには“理不尽な慣習”がいろいろあることが分かりました。ここでは、『さよなら、理不尽PTA!』(大塚玲子 著)から抜粋し、PTAでよく見られる「前例踏襲」について取り上げます。

PTAには“理不尽な慣習”があります。PTAの経験談について保護者にアンケートを取ったところ、次のようなエピソードが挙がりました。
※本記事は『さよなら、理不尽PTA!』(大塚玲子 著)を一部抜粋したものです。
「教育委員会からPTAに委託される「家庭教育学級」と、文化委員が企画する研修会は内容がほぼかぶっているうえ、どちらも参加者が集まらず、毎回保護者が無理やり動員されている。どちらかをやめるよう提案したがスルーされた。(ゆうこりん)」
「ベルマーク。複数の保護者から「時間がかかるわりに得られる額が少ない」と意見が出た。役員にやめようと提案したが「PTAの仕事が少ないのは困るからなくせない」と却下された。(かえるさん)」
「不審者対策で、PTAが運動会の受付をしている。保護者や来賓の名簿に来場者が◯をつけるだけなので、なりすましでもわからない。効果があるのか疑問。(P太郎さん)」
「委員2年目、部長さんに活動のスリム化を提案。「総会で事業計画や予算が決まっているので無理。賛同しないなら委員になるべきでなかった」と言われた。(コバコバさん)」

思考停止の「前例踏襲」

よく言われるように、PTAは「前例踏襲」に陥りがち、という問題もあります。PTAは会員がどんどん入れ替わり、役員や委員も大体1〜数年で交代します。そのため経験や知識が蓄積されづらく、やり方の改善や、新しい取り組みにたどりつかないまま、「とりあえず去年通り」の活動を繰り返すことになりがちです。
またPTAは、その年度の活動や予算について、4月の総会で決めてしまうことが多いため、年度が始まってからは活動を変えづらいという側面もあります。
「前年通り」を続けていると、だんだんと「何のためにその活動を行っているのか」という、元の目的を考えることも忘れてしまいます。そしていつの間にか「まだやっていない人にやらせること」や「全員に必ずやらせること」が目的化してしまうのです。
目的が広く、あいまいなところも、PTAの難しいところです。一般的に、PTAの目的は「子どものため」あるいは「保護者の学びのため」と理解されていますが、これではちょっと幅が広すぎて、大体どんな活動でも該当してしまいます。
運動会など学校のお手伝いも、ベルマークや資源回収などによる「寄付」も、交通見守りも地域協力も、みんな「子どものため」といえますし、広報紙づくりや、講習会の企画開催なども、みんな「保護者の学びのため」といえてしまいます。目的を再考し、ある程度絞り込むことも必要ではないでしょうか。

「全員にやらせることが目的化」にご注意

PTAでは、「作業を細かく分けて募集した」という改善例をよく聞きます。たとえば、小学校のPTA会長、モチヅキさんは、本部役員の仕事やイベントの準備作業を小分けにして参加者を増やしたところ、各々の負担が減ってラ クになったそう。小学校のPTA役員だった玉子さんも、委員長ひとりに偏りがちだった仕事を細かく分け、「係」として人を募集したら好評だったといいます。
よいことだと思うのですが、一点だけ気を付けてほしいのは、目的はあくまで「参加しやすくすること」だという点です。よくPTAでは、仕事を細かく分けて「全員、またはより多くの人にやらせること」が目的に置き換わりやすいのですが、これはある種の倒錯です。
下手をすると「やらない人を撲滅するために仕事を増やす」というケースさえときどき見かけるので、どうかそんなことにならないよう、注意してもらえたらと思います。

PTAを「やめたい」「変えたい」——そう思っている方へ

拙著『さよなら、理不尽PTA!』は、「PTA改革の手引き」となることを目指して書いたものです。
「PTA改革」とは、PTAの仕組みを、泣く人が出ないように変えること。つまり、加入から会費徴収、活動まで、強制をやめて任意にすることです。本質的には「会員の意思を尊重した運営にすること」だと、私は思っています。
是非、この本を参考にしてもらえたら幸いです。
大塚 玲子 プロフィール
ノンフィクションライター。主なテーマは「PTAなど保護者と学校の関係」と「いろんな形の家族」。著書は『さよなら、理不尽PTA!』『ルポ 定形外家族』『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』『PTAでもPTAでなくてもいいんだけど、保護者と学校がこれから何をしたらいいか考えた』ほか。ひとり親。定形外かぞく(家族のダイバーシティ)代表。
(文:大塚 玲子)

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