江原啓之「娘が夫に浮気され、孫を連れて戻ってきた。夫婦で話し合うよう促すべき?わが子を案じるあまり、感情移入しすぎないように」

2025年4月21日(月)12時30分 婦人公論.jp


(イラスト◎大野舞)

スピリチュアリストとして、さまざまな角度から読者のお悩みに答え、生きる指針を示してくれる江原啓之さん。現在は熱海に在住し、ていねいな暮らしをしながら日々「生きる上で大切なこと」を発信し続けています。『婦人公論』のリニューアルにあたって始まった新連載「〈幸せぐせ〉を身に着けよう」。第40回は「娘が孫を連れて出戻った。理由は夫の浮気。やり直したいと、その夫が訪ねてきたら」です。

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Q 娘が孫を連れて出戻った。理由は夫の浮気。やり直したいと、その夫が訪ねてきたら

A)夫婦で話し合うよう促す

B)親が出る幕ではないので関与しない

娘の結婚は誰のもの?


夫の浮気が原因で、娘が幼い子どもを連れて実家に戻り「離婚する」と言う。夫はやり直したいと平謝り、という状況です。離婚など珍しい話ではないけれど、孫もいるし、できればうまくやってほしいというのが親の本音でしょう。かといって浮気をするような男のもとに娘や孫を帰らせていいのか。親として悩んでいる、というのが今回のテーマです。

大前提としてお伝えしておきたいのは、娘の結婚は娘のもので、親が当事者ではないということ。当たり前のことですが、多くの親が子を案じるあまり、感情移入しすぎて自分のことのようにとらえてしまっているのではないでしょうか。そのことを念頭に置いて、あなたが親ならどうするかを考えてみてください。

幸せぐせは、ずばりBです。一見するとAも二人に任せているようですが、話し合うように促すことすら干渉に値します。娘も子を持つ親であるのですから、過干渉なのです。離婚してほしくないと思うのは親のエゴ。それに、話し合いを促してうまくいかなかったりすれば、「お母さんの言う通りにしたのに、うまくいかなかった」などと、責任転嫁される可能性もないとは限りません。

娘の問題、親が出る幕ではない


では、幸せぐせBの「関与しない」とは、どの程度のことを言うのでしょうか。これは離婚するしないのアドバイスはもちろん、本来ならば実家に帰ってくることも許さないほうがいいということです。例えば娘から「離婚したいから味方になって」とか「彼とは話したくないから、お母さんからそう伝えて」と言われても、「あなたの問題でしょ。自分で対処しなさい」と伝えるべき。顔も見たくないというなら、弁護士を通すなど方法はあります。冷たいように感じるかもしれませんが、親が出る幕ではないのです。

とはいえ、住まいを探すのも難しい状況で実家に戻るなというのは、あまりに冷たいですよね。その場合は、一時的な帰省という位置づけで「しばらく帰ってきてもいい」とすべきです。そもそも娘にシングルマザーとして生きていく覚悟があるのなら、実家に戻るにしても「ちょっとの間、いさせてください」と頭を下げてお願いし、家賃や食費などの生活費を入れることを申し出るでしょう。そのけじめがないなら問題です。

それにこの娘のほかにきょうだいがいたら、この状況をどう感じるでしょうか。「あの子だけ特別扱いされている」「気軽に実家に帰りにくくなる」などと感じるかもしれませんし、「万一、親が亡くなったら遺産を全部取られるのではないか」と疑心暗鬼になる人が出てきても不思議ではありません。予期せぬ揉め事が増えていくのは想像に難くないのです。

私はこれまでたくさんの相談を受けてきましたが、誤解を恐れずに言えば、多くの人は自らの身に起きる不幸や心配事を意外にも楽しんでいるように思います。「大変なことが起きてしまいました」と言いながら、どこかイベント事のように感じているふしがあるのです。娘の夫が何度も実家に来て謝り、話し合う様子を見ながらいそいそとお茶を出したりするのは、単調な日常に起きた非日常のイベント。もし、この親が「食べていくのがギリギリ」の経済状況ならば、娘とはいえ人の心配などしていられないはずです。「お母さんも大変だから自分でなんとかしてちょうだい。長くいるなら、生活費は払ってね」で終わりでしょう。


(イラスト◎大野舞)

前向きな離婚なら応援を


そもそもスピリチュアリズムの視点で見れば、結婚も離婚も人生の一メニューにすぎません。どちらを選んでもかまわないのです。大事なのは、そのメニューを選ぶ動機。

もし娘が夫の浮気をきっかけに、自律して生きていこうと決心し離婚するなら前向きな動機だと言えます。そのうえで、生活していくために必要な慰謝料や養育費を夫に払ってもらうのも当然でしょう。ただ、自分を裏切った夫への仕打ちとしての離婚で、夫や不倫相手へ法外な慰謝料や養育費を請求するとしたら……。それは、溜飲を下げたいだけであり、「かわいそうな自分」を世間に印象づけて、相手方に罰を与えたいといういじわるな動機が隠されているような気がします。自らが蒔いた種は自らが刈り取るという「因果の法則」は、どんな場合でも、誰にでも当てはまるもの。自分がしたことは必ず自分に返ってくる。それこそが学びです。その学びの機会は今後の人生にあるのか、生まれ変わった来世にあるのかはわかりません。

例えば、娘の子どもが女の子で、結婚したときに同じようなことが起こるという学びも考えられるでしょう。自分のことなら自ら落とし前をつけられますが、自分ではどうにもならないことほどつらいものはなく、娘の姿を客観的に見てようやくかつて自分のしたことがわかるという場合もあるのです。

そういったことも踏まえつつ、親にできるのは、「恨みごとを言わず、前向きな離婚なら応援します」と伝えるだけ。そうでないなら、放っておくぐらいがいいでしょう。

前回「3人目の孫が生まれたが、今まで通りの援助は経済的に難しい…。無理は禁物、理由をはっきり伝えて」はこちら

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