りんご、桃を食べるとイガイガ…花粉症で誘発される「食物アレルギー」に注意!医師が解説
2025年4月21日(月)11時0分 女性自身
ある日突然、特定の食べ物を口にすると「食べるとのどがイガイガするようになった」「唇が腫れるようになった」などの症状が現れたなら、それは食物アレルギーかもしれない。
はらだ皮膚科クリニックの院長、原田晋先生はこう説明する。
「食物アレルギーとは、食物の摂取後に突然起こる免疫の抗体反応なのですが、花粉が飛散するこの時季に“花粉-食物アレルギー”として現れるケースがあります。これは比較的大人になってから現れる場合もあり、女性は男性の2倍の発現率となっています」
花粉-食物アレルギーとは、花粉アレルギーを発症した人が、類似の構造を有したアレルゲンを持つ果物などを食べることで、免疫細胞が花粉と勘違いする“交差反応”として、アレルギー反応を起こすものだ。
アレルギー症状には、のどがイガイガする、唇が腫れる、舌がピリピリする、などの口腔内に出る症状や、腹痛、下痢、嘔吐といった消化器系症状、触れると皮膚が赤くなったり痒くなったりする皮膚症状、息苦しくなったり、呼吸困難になる呼吸器系などさまざまあり、重篤になるとアナフィラキシーショックなど命の危険に及ぶケースも。
■原因となる食材は同じなのに症状も出方も程度も個人差が
花粉症の原因物質には、スギ、ヒノキ花粉がよく知られているが、ほかにもシラカバ、ハンノキ、ブタクサ、ヨモギ、イネ科の植物があり、食物アレルギーを起こしやすい花粉は後者のほう。
「シラカバは北海道、ハンノキは関東、ハンノキ属のオオバヤシャブシは関東?近畿地方に多い植物で、花粉の飛散時期も地域によって異なりますが、大体3〜6月に飛散するようで、この時季に花粉-食物アレルギーの患者さんが増加する傾向にあります。初めてアレルギーを発症したり、症状が悪化しやすくなるタイミングでもあるのです」(原田先生、以下同)
厄介なのは、食物アレルギーの原因となる食物は、一般的に健康的とされるものが多いという点だ。ダイエット目的や健康志向でよかれと思って積極的に取っていたら、その食物が原因でアレルギー反応を起こしてしまったということになりかねないのだ。
「花粉-食物アレルギーで、比較的多く反応が出る食物が、バラ科の果物であるりんご、桃、さくらんぼ、いちごなどです。ウリ科のメロン、すいか、きゅうりでも交差反応が出ることがあります。
さらに、キウイ、ナッツ類、スパイス類、豆乳などの摂取後にも現れます。豆乳やスパイスによって起こるアレルギー反応では、アナフィラキシーのような重篤な症状をきたす場合も少なくありません」
また、一度アレルギー反応が出たら、花粉の季節が過ぎても体の中で抗体反応が出続けるため、その食物によるアレルギーが治ることはない。一度でも反応の出た食物は控えたほうがよいそうだ。
リストは、アレルギーに関する論文(千貫祐子:食物アレルギー. Clinical Derma 18(3):9-10,2016)を参考に、そこに挙げられているアレルギーの原因食物から、ダイエット向きとされるものを本誌がピックアップし、症例の多い順に並べたものだ。
ただし、同じ花粉-食物アレルギー症候群であっても、全員に同じようにアレルギー反応が出るわけではなく、症状も出方も程度も、人によって異なる。
「たとえば生のりんごでアレルギーが出る人も、加熱したりんごやりんごジュースでは反応は生じず、大豆アレルギーの人は豆腐でおなかをこわすけれど豆乳は平気、逆に豆乳アレルギーの人は豆乳でアナフィラキシーのような重篤な症状になるのに豆腐は平気といったように、原因となる材料は同じなのに、アレルギーを起こす形態が異なる場合もあるのです」
何に反応するかを特定するには、専門の医療機関で皮膚に行うプリックテストや血液検査が必要となるが、擬陽性も出やすく正確にアレルゲンを知ることは難しいため、ヒアリングもしっかり行うという。
「患者さんご自身が、アレルギーを発症したときの食べ方やアレルギーの出方を観察してノートにつけるとよいでしょう。少なくとも自分がどの食物でアレルギーを起こしているかを自覚し、日ごろから留意することは大切です」
そして、疲労やストレスをためないようにする、腸内環境が改善される食生活を心がけるなど、日常の生活習慣を整えることも大切だ。未解明のことも多いアレルギーだが、自分の体質はしっかり把握しておく必要がある。