Z世代社員の教育に悩む上司必見! 部下の心を鷲掴みにする「魔法のほめ言葉」とは

2025年4月21日(月)9時30分 マイナビニュース


イマドキ社員の働きぶりを見て、「自分から積極的に動かない」「言われた仕事しかしない」と嘆く上司世代も多いことでしょう。でも決して、やる気がないわけではありません。実は彼らは、「評価されたい」「誰かの役に立ちたい」という気持ちを強く持っています。声かけ一つで、驚くほど変わるケースも少なくないのです。では、どうすれば彼らの心を鷲掴みにして、自発的に動く社員に育てられるのでしょうか? そのカギとなる"魔法のほめ言葉"や環境のつくり方を紹介します。
部下が自発的に動く! 3つの魔法のほめ言葉
・「そのスキルは〇〇でも活きそうだね」【"やる気"ではなく"その気"にさせる】
イマドキ社員には根性論は通用しません。上司がとるべきアプローチは、"やる気"を出させて、熱い気持ちにさせることではなく、彼らの強みを活かす場を提示して、"その気"にさせることなのです。
例えば、社内プレゼンテーションを任せ、見事にやり遂げたとき。つい「やればできるじゃないか」「次もこの気概で頑張ってほしい」と言いたくなっても、ぐっと我慢しましょう。
使ってほしいのが、「そのスキルは〇〇でも活きそうだね」という型。例えば、「この資料なら大手企業にも通用するから、次のプレゼンに挑戦してみないか?」といったように、次の活躍の場を示すのです。
具体的な場面を提示されると、部下も“その気”になるはず。そして、「自分の可能性が広がるかもしれない」と感じて納得すれば、自発的に次の挑戦に向かうことでしょう。
・「〇〇ができて、すごいね」【"できたこと"を認める】
部下への期待が大きければ大きいほど、ついダメ出ししたくなるもの。例えば部下が作成した報告書を見たとき、「構成が分かりづらい」「言葉が月並み」と改善すべき点を伝えがちです。しかし彼らはSNS世代。「いいね!」と承認されることが当たり前の環境で育ち、肯定されることで安心感を持つ傾向があります。
そこで使ってほしいのが、「〇〇ができて、すごいね」というほめ言葉。「準備期間も短かったのに、ちゃんと形にできてすごいな」といったように、まずは"できたこと"をほめるのです。
すると「次も期限内に提出しよう」と考え、肯定されたことで改善点も素直に受け入れやすくなります。そこですかさず、「次は報告の流れを整理してみてはどうだろうか」と、クリア可能なハードルを示します。「冒頭に結論を入れると伝わりやすくなるよ」などと具体的なアドバイスを加えると、より実践しやすくなるはずです。
・「〇〇しているのは、素晴らしいね」【"結果"ではなく"プロセス"を認める】
努力しているのに結果が出ない部下もいるでしょう。例えば、営業成績が伸び悩んでいる部下に対して、「結果が出ていないから、ほめるところがない」と放置すると、どうなるでしょうか? 自発的に動かなくなるどころか、「どうせ頑張っても評価されない」と諦めの気持ちが生まれかねません。
そこで活用してほしいのが、「〇〇しているのは、素晴らしいね」という型です。「毎日5件の新規アプローチを続けているのは素晴らしいね」といったように、プロセスそのものを認めるのです。
すると本人は「この努力を続ければ、きっと成果につながる」と思えるように。前向きな気持ちで継続しやすくなり、いずれ実を結ぶことでしょう。
イマドキ社員が伸びる! 職場の環境づくり
魔法のほめ言葉を効果的に使うには、職場の雰囲気や関係性も大きく影響します。どんなに良い言葉をかけても、日頃の関わり方次第で、伝わり方が大きく変わるのです。
特にイマドキ社員は、「みんなの前でほめられるのが苦手」「過度なフィードバックがプレッシャーになる」と感じる人も少なくありません。では、どのような環境づくりが有効でしょうか? 「ほめる」を軸に、3つのポイントを紹介します。
個別にほめる機会を増やす
イマドキ社員は、公の場で賞賛されるよりも、1対1の場面や、チャットなどのテキストで伝えた方が、素直に受け止めやすくなるケースも多いようです。例えば、個別ミーティングで「先日の顧客対応、すごく良かったよ」と伝える、業務連絡の合間に「新商品のPR企画、工夫が光っていたね」と伝えるなど、小さな声かけが効果的です。
さらに彼らは、「誰が評価してくれたか?」も重要視する傾向があります。上司だけでなく、先輩社員や同僚からのフィードバックも交え、職場全体で認め合う文化をつくると、ほめ言葉の影響力がより高まるでしょう。
評価の基準を明確にする
イマドキ社員は、「何を頑張れば評価されるのか」をはっきりさせたいと考える傾向があります。「とりあえず努力しろ」という漠然とした指示では動きづらく、逆に「これができたら、成長につながる」と納得できれば、自ら進んで動くことができます。
例えば、評価の基準を 「クライアントとのやり取りを一人で完結できるようになる」 や 「会議で週に1回発言する」などのように、具体的な行動指標に落とし込むと、ほめ言葉がより効果的になります。
適度なペースを保つ
ほめるペースにも配慮が必要です。あまり頻繁に言葉をかけすぎると「常に評価されている」と感じ、ストレスにつながることもあります。週1回の1on1や、月に一度の振り返りの場を設けるなど、適切な間隔を意識しましょう。
「いつでも評価されている」ではなく、「必要なタイミングで認められている」と感じられるようにすることがポイントです。すると、ほめ言葉を前向きに受け取りやすくなり、持続的なモチベーションアップにつながります。
部下が泣いて喜ぶほめ言葉
ここまで紹介してきた「型」や「環境づくり」は、すぐに取り入れやすい実践のヒント。とはいえ、部下の心を強く揺さぶるほめ言葉は、それだけでは生まれません。大切なのは、その人自身を深く理解しようとする姿勢です。
印象的なエピソードがあります。私が食品会社でリーダーを務めていた頃、ある若手社員が営業成績を出せず、退職寸前まで追い詰められていました。同行営業の道中で彼の得意・不得意を聞くと、「飛び込み営業は苦手。でも、資料作成や配達準備は得意」と答えたのです。
そこで私は、「僕が営業をやるから、君は資料づくりを頼む。2人で1つの数字をつくろう」と提案。事あるごとに「その資料、本当に助かるよ」「君の準備があるから安心して営業に集中できる」とほめるうちに、彼は自信をつけていきました。
そして次第に成績も大きく伸び、所長へと昇進。「退職寸前だった自分の得意分野を、"必要だ"と認めてもらえた瞬間、涙が出ました」と打ち明けてくれました。
もう一つこんなエピソードもあります。
20歳年下の部下は反応がゆっくりで、会話に入るのが苦手なタイプ。チームの議論では、いつも一歩引いているように見えました。しかし注意深く見ていると、文章や資料作成に長けていることに気づいたのです。そこで「君の良さを、もっと多くのお客様に届けたい」と伝え、大手企業向けプレゼンテーションの、スピーチ原稿作成プロジェクトを任せました。
最初は不安げな様子でしたが、「伝えたい思いがちゃんと表れているね」「君にしか書けない言葉があるよ」と声をかけ続けるうちに、次第に自信を持ち始めました。
やがて彼のヒアリング力や構成力、そして言葉選びのセンスは多くの顧客から評価されるようになり、プロジェクトリーダーとして活躍。涙ながらに「“君にしか書けない”と言われた一言が、自分を変えてくれた」と語ってくれました。
部下をほめるときに大切なこと。それは、「あなたの価値は、ここにある」と、その人の存在を丸ごと認めること。目の前の部下を知り、信じ、寄り添う——その思いの延長線上にこそ、本当に心を動かすほめ言葉があるのです。
「イマドキの若者は分からない」と、つい自分から線を引いていませんか? もちろん価値観の違いはあるでしょう。でも、まずは自分から歩み寄ってみること。それこそが、ほめ言葉の力を最大限に引き出す第一歩なのです。
原 邦雄 はら・くにお スパイラルアップ代表取締役/ほめ育財団代表理事。兵庫県芦屋市出身。大学卒業後、メーカーを経て、船井総合研究所に転職。様々な業種の人材育成に関わる。その中で、従業員のエンゲージメントの重要性を実感し、独自の教育メソッド「ほめ育マネジメント」を開発。これまでに600社以上の企業や教育機関に研修を行なっている。また、アメリカ、インド、中国、オーストラリアなど世界20か国に進出。著書に『今すぐできる! 今すぐ変わる!「ほめ育」マネジメント』(PHP研究所)など。 この著者の記事一覧はこちら

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