【熱中症】対策は何月から始めるべき? 9割が知らない「暑熱順化」の重要性とは - 日本赤十字社

2025年4月22日(火)9時54分 マイナビニュース


日本赤十字社は4月15日、熱中症にまつわる意識や行動についての調査結果を発表した。調査は2025年3月、10〜60代以上の男女1,200名を対象にインターネットで行われた。
○熱中症の危険性の認識
熱中症になった場合の症状のイメージについて、「危険だと思う」と回答したのは、全体の86.6%(1039人)に上った。反対に、「危険だと思わない」人は13.4%(161人)だった。
○熱中症を意識する時期
「熱中症を意識し始める時期」について、「7月」と回答した人が全体の34.7%(416人)で最多。順に、「6月」が25.1%(301人)、「5月」が17.8%(213人)、「8月」が9.7%(116人)となった。
年代別で5月を選択した回答割合をみると、40〜60代以上は2割を超えた一方で、10〜30代は1割台にとどまった。若年層は7月という回答が突出しており、よって年齢が高いほど、熱中症を意識し始めるのは早い傾向にあることがうかがえた。
○対策を始めたタイミング
過去に「熱中症への予防や対策を行ったことがある」1074人に対し、その時期を尋ねると、「7月」が45.0%(483人)で最多。順に、「6月」が25.2%(271人)、「5月」が15.7%(169人)、「8月」が11.2%(120人)となった。つまり、熱中症を意識し始める時期と、実際に対策を行う時期は、同じような傾向にあることが分かった。
○「暑熱順化」の認知度
徐々に暑さに体を慣らしていく「暑熱順化」の認知度については、「聞いたことがあり、意味も知っている」と回答したのは全体の12.0%(144人)だった。反対に、「聞いたことはあるが、意味までは知らない」「聞いたことはなく、意味も知らない」と回答したのは88.0%(1056人)にも上った。
○熱中症を意識し始めるきっかけ
熱中症を意識している1093人に対し、そのきっかけや理由について尋ねると、「天気予報等で暑くなってくることが予想されるから」が55.6%(608人)で最多。順に、「熱中症についてニュースでよく耳にするから」が37.4%(409人)、「熱中症警戒アラートが始まるから」が31.7%(347人)となった。
○直近1年の熱中症経験率
過去1年間で熱中症になった、またはその可能性を感じたことの有無について尋ねると、「熱中症と診断されたことがある」と回答したのは、全体の3.1%(37人)だった。「熱中症のような症状になったことがある」のは18.5%(222人)、「熱中症かは分からないが、暑さで体調を崩したことがある」のは21.0%(252人)となり、熱中症の経験や何かしらの症状を感じたことがある人は合計で42.6%(511人)だった。
○予防や対策について
熱中症の経験や症状を感じたことがある511人に対し、その時に予防や対策をしていたかについて尋ねると、「万全に対策していた」と回答したのは7.2%(37人)、「自分なりに対策していたつもりだった」が76.7%(392人)、「特に何もしていなかった」が16.0%(82人)だった。
○ゴールデンウィークも油断は禁物
熱中症は、高温・多湿な環境で長時間にわたり過ごすことで、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもってしまう状態とされている。屋外だけでなく、屋内でも注意しておく必要があり、正しい知識を得ることで健康被害を防ぐことが重要となる。
近年、熱中症の搬送者数は増加傾向にあり、総務省の調査によると、昨年5月〜9月の熱中症による救急搬送者数は、全国で計9万7578人にも上り、統計が残る平成20年以降で最も多い人数となった。本格的に気温が上昇する夏の時期での増加が目立つが、昨年は5月というタイミングであっても2799人が搬送されている。決して少ない数字とはいえない状況であるため、まもなく迎えるゴールデンウィーク時の外出も、油断は禁物といえる。
こうした背景から、国内では昨年より、「熱中症特別警戒情報(熱中症特別警戒アラート)」等の運用が始まった。今年も4月23日から熱中症警戒アラートの運用が始まる。自分や大切なひとが熱中症にならないよう、効果的な予防行動が望まれる。
○日赤専門家が熱中症対策を解説
日本赤十字社・健康安全課長の齊藤紀彦氏が、熱中症対策について解説している。
調査結果では、若い年代ほど熱中症に対する危険性の認識が低い傾向にあるが、熱中症は命を落とすリスクや後遺症が残る可能性もある怖い病気。なってしまってからの正しい手当も重要だが、ならない方法を知ることも大切だと齊藤氏は語る。
対策には、暑い日の行動には気をつけ、こまめに 水分補給をする、通気性の良い服を着る、また、室内ではエアコンや扇風機を使う等、比較的取組みやすいものがたくさんある。十分な睡眠をとる等、自律神経を整える生活を心がけることは、熱中症予防のみならず、普段から健康な生活を送るうえでも必要と言われている。また、熱中症は夏だけではなく、1年を通じて予防することも大切となる。夏が来てからでは手遅れの予防策もあり、暑熱順化もその1つ。普段からやや暑いと感じる気温のもとで軽く汗ばむ程度の運動を日常から行うことが、暑熱順化には有効だという。
日赤では、熱中症などに対する予防策・応急手当に関する講習を実施している。令和5年度に気候変動対応基本方針を、また、翌年にはアクションプランを策定し、暑熱環境下の熱中症対策等の健康被害防止に関する講習会を推進している。

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