「子どもの近視」保護者8割が不安視、最多の理由は? - 参天製薬調査
2025年4月22日(火)10時43分 マイナビニュース
参天製薬は4月18日、近視に対する意識調査の結果を発表した。調査は2024年6月7日〜2024年6月13日、小中学生の保護者2,451名を対象にインターネットで行われた。
○近視に関する関心度
小中学生の児童を持つ保護者に児童の近視に関してどのようなことに関心があるか聞いたところ、「日常生活で気をつけること」が最も多い9割を占める結果となった。それに次いで、「将来の目の健康に与えるリスク」や「進行を抑えるための治療方法」について8割以上の人が関心を持っていることが分かった。
また、近視に関する知識について聞いたところ、すべての項目において「よく知っている」、「知っている」と回答した保護者の割合は3割以下だった。
○児童の近視に関しての不安
児童が将来近視になること、将来近視が進行することに不安を感じるかを質問したところ、「不安を感じる」と回答した保護者と「少し不安を感じる」と回答した保護者をあわせた「少なからず不安を感じている」人が8割いた。
児童の近視に関して不安を感じている保護者2,007人のうち、不安を感じる理由として「近視がどの程度まで進むかわからないから」が最も多い9割を占めた。その他にも、「近視の進行を抑えるための治療法がないから」が7割を占め、「経済的負担」や「学力の低下」等に不安を感じる保護者が6割以上だった。
○医師から説明して欲しいこと
全体のうち、眼科で近視と診断されたことがある児童の保護者1,146人に「医師から説明して欲しい内容」を聞いたところ「近視にどのような治療方法があるか」と「日常生活で気を付けること」を半数以上が回答した。また、「近視が子供の将来の目の健康に与えるリスク」についても、半数近くの保護者が医師から説明して欲しいと回答している。しかし、実際に「医師から説明された内容」を聞くと、4割以上は「日常生活で気を付けること」は聞いているが、「近視にどのような治療方法があるのか」について説明を受けたと回答した方は2割弱、それ以外のことについても説明されたのは2割以下だった。
○小中学生の児童を持つ保護者のQOLスコア
保護者のQOLをPedsQL(Pediatric Quality of Life Inventory) Family Impact Module, Version2を用いて調査した結果、視力がA判定の児童の保護者のスコア80.18に対して、C判定の児童の保護者は77.31、D判定の児童の保護者は75.63と、PedsQL合計スコアが有意に低下していた。
○近視の子供を持つ保護者の実態が明らかに
今回の調査結果から、小中学生の保護者は近視に対して高い関心を持っているものの、知識を十分に持っていない割合が多いことが示された。また、近視の進行を抑える治療法についても関心は高いものの、具体的な治療法については知らないという結果に。さらに、保護者は子供の近視が進行することに不安を感じており、保護者自身のQOLスコアが低くなる等、近視の子供を持つ日本の保護者の実態が明らかになった。
近年の近視の増加は、特に子供たちの野外活動時間の減少と、読書、勉強、デジタル機器の使用等、近業作業(近くを見る作業のこと)活動の増加が組み合わさったことによるライフスタイルの変化に起因すると考えられる。調査結果においては、近視が進行した児童ほど、目とスクリーンの距離が有意に短くなり、1日の平均スクリーンタイムが有意に長くなっていた。
本調査結果を受け、伊丹中央眼科・院長の二宮さゆり氏は次のようにコメントしている。
「近視は、低年齢であるほど年間進行量が大きいという報告があり、主に学齢期に進行することから、この時期の進行抑制が重要だと考えられています。今後は、眼鏡やコンタクトレンズによる矯正に加えて、近視に関する情報や予防のための生活指導、進行を抑える治療等、様々な対処法が広く普及し、近視が発症した初期段階から対処法を選択できるようになることで、児童の近視進行に対する保護者の不安が軽減されることが期待されます」