「日本ワイン祭り」で新潟ワインを片っ端から飲んでわかった最旬ワインはコレ!

2019年4月23日(火)10時50分 食楽web


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 4月12日〜14日に東京・日比谷公園で「第5回 日本ワイン祭り」が開催されました。今年は北は北海道から南は大分まで、14都道府県の49のワイナリーが参加。このイベント、オリジナルワイングラスとチケットを購入したら、各ワイナリーのブースで各ワインに応じた枚数のチケットを渡して、ワインを飲んで回れるんです。

 筆者は今年で2度目の参加。日本ワインといえば山梨や長野のイメージが強いですが、参加ワイナリーの一覧を見ていて気付いたのが、新潟県のワイナリーがちらほら参加しているという点です。せっかくなのでお気に入りの山梨のワイナリーをチェックしてから、気になっていた新潟のワイナリーのブースを回ってみました。新潟ワインがどんな味わいなのか、ご紹介しましょう。

シャトー・メルシャンでワイナリー限定のロゼを試飲

 筆者が日本ワインのおいしさを知るきっかけになったのが、「シャトー・メルシャン」のワインです。5年ほど前、山梨のワイナリーに何軒か足を運んでみたのですがあまりピンと来ていないなか、最後にシャトー・メルシャンのワインを飲んで「日本ワインっておいしい!」と思ったんです。


ワンコインでワイナリーツアーに参加したときに撮影した1枚。このとき初めてワインのテイスティングを習った

 そんな思い入れの深いシャトー・メルシャンですが、今回のイベントでは桔梗ヶ原ワイナリーでしか買えない「桔梗ヶ原メルロー ロゼ」と、日本ワインコンクール2018などで金賞を受賞した「穂坂マスカットベーリーA」を試飲してみました。


「桔梗ヶ原メルロー ロゼ」は香りのバランスがいい辛口のロゼワイン。まさに和食に合うワインの王道だ


「穂坂マスカットベーリーA」は、ぶどうの果実味と力強い酸のバランスが絶妙。キャンディのような甘い香りがする

 シャトー・メルシャンのワインは、全体的に和食との相性がいいと思います。だしや醤油に合わせやすいワインというのは、日々の食事にも合わせやすいので、まさに日本人にぴったりです。

新潟ワインコースト最初のワイナリー「カーブドッチ・ワイナリー」

 新潟には海と砂に囲まれた「新潟ワインコースト」というエリアがあります。新潟市街地の南西部、車で30分ほどの日本海に広がる海岸地帯をこう呼んでおり、5軒のワイナリーが集まっているそうです。

 そのなかでも最初にワイナリーを創設したのが、「カーブドッチ・ワイナリー」。このワイナリーが1992年に創設されたのをきっかけに、新潟にワイナリーが続々と登場したそうです。


今回のイベントで出品されたワインの一部。個性的なエチケットが目を引く

 筆者が今回試飲したのは、ワイナリーの方がおすすめしてくれた「2018ペティアン キャンベル」。「ペティアン」とは、発酵途中で瓶詰めを行い、発酵で生じた炭酸ガスを含んだ“にごり発泡ワイン”のこと。山形県産のキャンベルというぶどうを使用しています。


少し濁ったような鮮やかな赤色をしている

 イチゴのような甘い香りとフレッシュな風味が特徴。ぶどうの果実味がしっかり感じられ、食前に飲むワインとして良さそうです。ワイナリーの方曰く「ほかの国で飲めるようなワインでなく、日本ならではのワインを作りたい」との想いで醸造されているのだとか。こういった考え方が味やエチケットに出ているのでしょうね。

自然派ワインが楽しめる「フェルミエ」

 家族経営の農園ワイナリーである「フェルミエ」も、新潟ワインコーストにあるワイナリーのひとつです。フェルミエの創業者である本多孝氏も、「カーブドッチ・ワイナリー」主催のワイナリー経営塾で学び、2006年に創業したそうです。

 同ワイナリーではドメーヌワインを中心に、野生酵母による自然発酵に任せ、ワインの移動時や瓶詰め時は重力や不活性ガスで圧送する手法を採用し、できるだけワインにストレスをかけないことを心掛けています。


試飲した「Sarari(サラリ)」は同ワイナリーのなかでも変わり種

 今回は「Sarari」というワインを試飲したのですが、こちらは新潟市内の大野果樹園の「ロザリオ ビアンコ」を使っているそうです。イベントでの出品と新潟ワインコースト内の「Cote a cote」でのみ販売されているレアなワインで、名前のとおり、とにかく軽やかな白ワインでした。

日本ワインには珍しいイタリア品種のぶどうを扱う
「カンティーナ・ジーオセット」

「カンティーナ・ジーオセット」は、新潟市の西武30mkに位置する角田浜で2011年に誕生したワイナリーです。創業者の瀬戸潔氏は、2010年まで広告業界に勤めており、出身地である東京を離れ、同年秋に「カーブドッチ・ワイナリー」でブドウ栽培とワイン醸造を一から学び、2013年5月に果実酒製造免許を取得したそうです。

 2014年から自園ワインをリリースしており、今回のイベントでは5種類のワインを出品。なかでも珍しいのが、「ネッビオーロ/テッレニイガターネ」というワインです。


「ネッビオーロ/テッレニイガターネ」は左から3番目のボトル

 ネッビオーロはイラリア北部で栽培されている赤ワイン用のぶどうで、かなり強めのタンニンと酸味があります。皮が薄くて病気にかかりやすいことから栽培が非常に難しく、原産地のピエモンテでも選ばれた地域でのみ作られているそうです。

 色味は淡い赤色なので軽い口当たりなのかと思いきや、タンニンがしっかりしていて、日本で醸造されるワインとは思えないほど。熟成を経ておいしさを発揮するワインなので、デキャンタして飲むのが良さそうです。

2015年にオープンしたばかりの新鋭
「ルサンクワイナリー」

「ルサンクワイナリー」は、2015年10月にオープンした、新潟ワインコーストで5つの目のワイナリー。ルサンク(Le CINQ)のCINQはフランス語で数字の「5」という意味。同ワイナリーではテロワールや品種の特徴を素直に活かしたワインを追求しているそうです。


今回試飲したのは「2016シャルドネ(樽熟)」


新潟県産のシャルドネを100%使用。フレンチオーク樽で熟成している

 こちらのワイナリーのモットーは「トラディショナルでエレガント」。このワインはまさにそんな味わいで、フルーティーな香りと穏やかな酸、洋梨やパイナップルのような味わいが楽しめます。

“雪室貯蔵”が珍しい「越後ワイナリー」

 新潟ワインコーストからは少し離れた、南魚沼市に位置する「越後ワイナリー」は、1975年創業のワイナリーです。雪深いエリアにあることを活かし、同ワイナリーでは地上2階、地下1階分の高さのある「雪室(ゆきむろ)」があります。

 雪室とは、上越に伝わる天然の冷蔵庫のこと。雪で室内を冷やすことで、省エネ化を図れるだけでなく、室内を一定温度で冷やせるというメリットがあります。そんな雪室で貯蔵したのが「越後ワイン メルロー」です。


「越後ワイン メルロー」は南魚沼産のメルロー種を100%使用

 雪室で熟成したからといって味に大きな違いがあるかどうかは残念ながらわからなかったのですが、熟成させる過程で「一定温度で冷やす」ことで、ワインにできるだけストレスを掛けずに仕上げられるそうです。辛口のミディアムボディで、穏やかな酸味と柔らかいタンニンが特徴。幅広い料理に合わせやすいワインに仕上がっていました。

「岩の原葡萄園」は日本最古のワイナリー

 “日本のワインぶどうの父”と呼ばれるのが、「岩の原葡萄園」の創業者である川上善兵衛氏です。1890年に同ワイナリーを開設。1万回以上の品種交雑を行い、そのなかから「マスカット・ベーリーA」などの優良22品種を世に送り出しました。

 そんな岩の原葡萄園のワインで筆者が試飲したのは「ローズ・シオター 2016」という銘柄。こちらは川上善兵衛氏が交配したオリジナル品種で作られたワインで、2017年秋に登場した自園産葡萄シリーズとなっています。


「ローズ・シオター 2016」は辛口の白ワイン。しっかり冷やして飲むだけでなく、常温で楽しむのもアリ

 りんごや洋梨系の優しい香りと、穏やかな酸味が特徴。10=12℃で冷やして飲むとキリッとしたワインなのですが、温度が上がるにつれ味に丸みが生まれるという特色があります。バランスが良く、食中酒としては抜群のワインです。

 これまで知らなかった日本ワインに出会いたい人にぴったりな「日本ワイン祭り」。これからの季節は全国各地で日本ワインにイベントが開催されるので、一度足を運んで日本ワインの魅力に触れてみてくださいね。

(取材・文◎今西絢美)

●DATA

日本ワイン祭り

https://nihonwine-matsuri.jp/

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