浅草芸人も足繁く通う老舗食堂『水口』の絶品メニュー「いり豚」を食べてきた!

2022年4月23日(土)10時49分 食楽web


浅草・六区の路地裏にある名店中の名店『水口』の定番メニュー「炒り豚」 | 食楽web

 東京・浅草エリアには名物と呼ぶべきメニューを出す飲食店が数多くある一方、観光客目当てなのか、はたまたテナント代が高いからなのか、他エリアに比べて食事をする際「高い」印象もあります。

 しかし、観光客はほとんどおらず地元客か常連さんの間に厚い支持を受ける飲食店も確かにあり、そういったお店では「浅草でしか味わうことができない」特別なメニューを出すところもあります。浅草・六区の小さな路地に店を構える『水口』もそういった“いい店”の代表格です。


『水口』の店頭

 メニュー構成は古き良き和食・洋食を中心とし、ランチに、夕飯にと多種多様な楽しみ方ができます。土日祝の日中は場外馬券場が近くにあることもあり、店内のテレビに流れる競馬中継を観ながら馬券片手にお酒をグビグビ飲めるという、いかにも浅草らしい時間を味わえる素敵すぎるお店なのです。

 余談ですが、筆者も、海外の友人などが訪れた際などは、この豊富なメニューとお手頃価格で浅草観光の中に絶対に組み込んで案内するという思い入れの強いお店の一つです。


知る人ぞ知る浅草の裏名物とも言うべき『水口』の「いり豚」

 さて、そんな『水口』なのですが、この店でしか味わうことができないメニューがあります。それが「いり豚」というもの。炒めた玉ねぎと豚肉をカレー風味のソースで和えたものですが、特にこのお店でお酒を楽しむ人の大半がオーダーするもので、もちろん定食にもう一品加えたい際などにもうってつけの一品です。今回はこの「いり豚」を改めていただきつつ、『水口』の2代目・水口はつねさんにも話を聞いてみました。

「カレー風味」ではあるが、その一言だけで終わらせることができない複雑な味


「いり豚」580円

 同店へ入店後、いつものように「いり豚」(580円)をオーダー。作り置きではないので、すぐには出てきませんが、この間、お酒を飲むなり、定食をいただくなりして数分待ちます。やがて、目の前にサーブされる「いり豚」は、見た目からは「カレー風味」ということがわからないほどオレンジ色に染まっています。

「これこれ!」と見るだけでホッとしてしまう筆者ですが、その味もいつもと変わらずで、カレー風味ではあるものの、スパイシーさは控えめで、どことなくウスターソース風味のような酸味と甘味があり、コクもあります。この独特のソースとシャキシャキの玉ねぎ、豚肉の相性が抜群で食感も楽しく感じます。


「いり豚」をリフトしたところ

 味わうごとに浅草の歴史を感じるような味であり、「いり豚」でしか味わうことができないものですが、地元客・常連さんの大半がオーダーするのも納得。それだけヤミツキ感があり、過去に食べたことがなくとも、どこか懐かしい、日本人をホッとさせるような味付けになっています。

70年以上前に考案された『水口』オリジナルの味!


『水口』2代目の水口はつねさん。現場は3代目に任せながら、今もお店を優しい笑顔でキリモリされる女将さんです

 しかし、「いり豚」の味は複雑で、どうして考案されたのかまでは、常連さんでも知らない人が多いかもしれません。そこで2代目の水口はつねさんに、その秘密を聞いてみることにしました。

「浅草の今のお店になったのが昭和25年(1950年)なんです。その前は、先代がお店をやっていたんですが、昭和20年(1945年)の東京大空襲によりお店ができなくなったらしいです。その前後にコックさんと2人で考案したのが『いり豚』です。ですから、戦前にはすでにあったメニューですし、少なくとも昭和25年(1950年)にうちの店が浅草に来てからは、すでに『いり豚』がお店のメニューとしてあったんですね。

 洋食の影響を受けたメニューだと思うんですけど、玉ねぎと豚肉を炒めて、それをカレー風味のソースで和えるというものです。これが『よそにはない味』なので、うちの名物になっています。現在はお酒のおつまみで食べられるお客さん、食事のおかずとして食べられるお客さんと半々くらいですけど、どちらにも合うと思いますよ。たまに『どうやったら作れるか』なんて尋ねられるお客さんもいらっしゃいますけど、このソースはオーバーに言えば『企業秘密』ってことで重要な味ですので、お教えはできないんですよ(笑)。

 なので、そういったお客さんには『どうか真似してやってみてください』とお伝えしています。もし浅草に来られる機会のある方は是非うちに立ち寄っていただき、食べていただきたいですね」(水口はつねさん)

『水口』の「いり豚」は、長きに渡って守られ愛され続けた、唯一無二のメニューだと改めて実感しました。この貴重な浅草の味、是非一度食べてみてください!

(撮影・文◎松田義人)

●SHOP INFO

店名:食事処 酒肴 浅草 水口

住:東京都台東区浅草2-4-9
TEL:03-3844-2725
営:10:00〜21:30(L.O.21:00)、土曜、日曜9:00〜21:30(L.O.21:00)
休:水曜

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