岡山にある〝日本で最も美しい村〟が、泣けてくるほど「日本らしい」 桜×宿場町が織りなす春の情景に感謝
2025年4月24日(木)8時0分 Jタウンネット
「岡山にある日本一美しい村、新庄村」——2025年4月17日、そんな呟きと共に投稿された写真がX上で注目を集めた。
なんとも見事な桜並木が一直線に伸びている。桜の花が白いトンネルのようになっていて、雰囲気たっぷりで美しい。
投稿者「和」さん(@kzphoto_jp)は「宿場町と桜が魅せる春の情景」と続け、桜と村の風景が織りなす、なんとも日本らしい光景を紹介している。
新庄村とは、いったいどんな場所なのか? 「日本一美しい村」とは、何だろう?
Jタウンネット記者は、投稿者・和さんの詳しい話を聞いた。
〝有終の美〟飾る新庄村の「がいせん桜」
真庭郡新庄村(しんじょうそん)は、岡山県の北端に位置し、鳥取県と境を接している。人口約1000人、380世帯の小さな村だ。
新庄村の公式サイトや真庭観光局「真庭観光WEB」によると、江戸時代に出雲街道の宿場町として栄えたこの村は、今も当時の面影を残し、風情ある町並みを大切にしている。
春になるとその街道の両側で「がいせん桜」と呼ばれる桜の木が咲き誇る。1906年、日露戦争での戦勝を記念して植えられたソメイヨシノで、現在は5.5メートルおきに133本が並んでいるそうだ。
岡山を拠点に、日本の四季や風景、文化を巡って、写真を撮っているという投稿者・和さん。「新庄村については、岡山県民ということもあり知っていました。写真に興味を持ってから、桜並木と宿場町という珍しい組み合わせを一度撮りに行ってみたくなったのがきっかけです」と語る。
新庄村に強く惹かれたのは、桜と宿場町という組み合わせがとても日本らしいと感じたからだ。
「岡山でも最後の方に見頃を迎える一つのスポットでもあります。岡山の桜において、有終の美を飾るような、そんな風にも思える点もあります」(和さん)
和さんにとって、桜の時期の新庄村を訪れるのは、3度目。「ここの桜を見ると春の終わりを感じます。今年も無事に見れて良かった」と、感動と嬉しさと感謝の気持ちが沸き上がったと話す。
「僕にとって新庄村の好きな光景は、春の6時半頃からさす朝の光と宿場町です。陰影と朝夕独特の暖色を帯びた光、それに照らされる桜。風情のある時空に包まれた朝は贅沢な気持ちにさえなります」(和さん)
ところで、和さんは「日本一美しい村」と表現したが、新庄村は間違いなく「日本で最も美しい村」のひとつである。
NPO法人「日本で最も美しい村」連合によって認定された、日本の農山漁村の中で、とくに美しい景観や文化を持つ村のことだ。「フランスの最も美しい村」運動をモデルに、日本では2005年に7つの町村からスタートした。現在は全国で60以上の町村が加盟しているという。
「日本で最も美しい村」に名を連ねるには、有識者による加盟資格審査を受け、加盟後も5年ごとに再審査が行われる。美しい村であろうとする努力がなければ、そう名乗ることができないのだ。
新庄村は2009年10月から「日本で最も美しい村」の一つ。桜並木の花は散っても、宿場町近くの新庄川沿いに「八重紅しだれ桜」や「芝桜」も咲くという。夏には新緑、秋には紅葉、冬には雪景色を楽しむことができる。
ぜひ一度訪ねてみたい場所が、また一つできてしまった。出雲街道沿いは今後要チェックかもしれない。