早大鉄道研究会が「プラレール60年の歴史」を名作で振り返る

4月28日(日)7時0分 NEWSポストセブン

プラレールで発売された新幹線の全形式(筆者提供)

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 乗り鉄、撮り鉄、鉄子……世に鉄道好きを表す言葉は数あれど、各人各様に譲れないこだわりと、誰にも負けない愛情を持つことにかけては、男も女も、老いも若きも変わりはないだろう。全国から「都の西北」に集った若き鉄道愛好家たちも同様だ。早稲田大学鉄道研究会による鉄道愛に溢れたレポートの第1回は、2019年で発売から60周年を迎えた、あの有名玩具についてである。お楽しみいただきたい。


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 この記事をお読みの方も、プラレールで一度は遊んだことがあるだろう。最近、プラレールで山手線を一周再現したとか、壮大なレイアウトを作ったとかいうニュースを見たことはないだろうか。今やプラレールは、子どもから大人にまで幅広く支持される玩具となった。プラレールが誕生から60周年を迎え、時代は令和に向かおうとしている今、かつて発売されてきたプラレールの面白い商品や貴重な商品を、学生の目線でお伝えしたい。以下、あくまでも筆者の主観であることをお許し願いたい。


 プラレールは60年前の1959年(昭和34年)に登場した商品であり、当時は手動だった。プラレールの曲線レールは「ちゃぶ台で走らせることができるサイズ」で設計されたといわれている。何とも時代を感じさせる話だが、プラレールのレールの規格は60年前から一度も変わっていない。祖父らの代から(20歳前後の)筆者らの代まで、同じレールで遊べるのだ。今回は過去に発売されたプラレールの中で、筆者が思う、「リアルな車両部門」「すごいギミックのプラレール部門」に分けてお話したいと思う。


◆リアルな車両部門


 60年間、様々なプラレール車両が生産されてきたわけだが、その中には、ほかの車両の金型を流用している車両や、装飾がシールで行われた車両もある。その一方でそれらと一線を画す、出来がかなり良かった車両もある。その中で筆者が思う、出来がトップクラスに良かった車両を挙げていく。


【1】103系(2005年ごろ)


 103系は国鉄時代を代表する車両で、中央線、山手線、京浜東北線、総武線、常磐線、大阪環状線、奈良線などの車両が存在した。関西では現在も走っているところがある。プラレールで販売された103系は、マニアに人気だった「○○線スペシャルセット」に含まれていたものが主である。前面から側面にかけてのモールド(金型で再現された形)がリアルであり、側面にも方向幕(行き先などを表示する装置)が再現してある。鉄道模型にも勝るとも劣らない出来だと思う。


 プラレールの103系には低運転台、高運転台の両方があるが、どちらもすばらしい出来である。過去にはスペシャルセットのほか、プラレールショップ限定で大阪環状線の103系が販売されていたが、現在では販売は終了していて、手に入れることができないのが残念だ。ぜひとも再生産を希望したい。


【2】北斗星ブルートレイン(2002年)


 2002年発売の「いっぱいつなごうブルートレインセット」で登場。JR東日本の北斗星の車両を再現しており、DD51機関車、電源車、B寝台車、ロビーカー、食堂車、A寝台車がある。側面はもちろんのこと、車両妻面(進行・後退する方向にある面)までリアルに再現されており、こちらも鉄道模型に劣らないともいえるほどの出来であろう。


 各車両は屋根が開き、プラレールサイズの人形「プラキッズ」が載せられる構造となっている。プラキッズは2003年ごろ登場したもので現在までに様々な種類が販売されてきた。トイザらス限定発売の「いっぱいつなごう寝台車セット」にはDD51機関車に加え、EF81も付属しており、お得なセットであった。

 

【3】485系特急電車(2009年)


 かつて全国を走り抜けたL特急の車両であるが、現存車両は残りわずかとなってしまった(展示車両は除く)。プラレールでは、何度も名前を変えながら様々なL特急車両が発売されてきた。プラレールの最初期から発売していたために、いつから生産されているのかは筆者にもわからない。筆者の記憶にあるのは、189系特急あさま、485系雷鳥初代、485系雷鳥2代目の3種類だけである。


 今回紹介するのは485系雷鳥2代目。2009年に金型を変え、新しく生まれ変わったこの商品は、前面がとてもリアルになり、L特急の車両の特徴をしっかりとらえている。屋根周りのクーラーから、断面の丸みまで再現している。長期間発売されてきたL特急車両であったが、残念なことに、2018年に「パンダくろしお」と入れ替わりで廃盤となってしまった。ロングセラーで残っているのは165系東海型急行電車のみとなっている。ファンとしては、いつまでも残ってくれることを期待したい。


◆すごいギミックのプラレール部門


 プラレールにはさまざまな機能をもっている商品が存在する。サウンドを内蔵するもの、ライトが点灯するものというだけにはとどまらない、あっと驚く機能を載せている商品が販売されていた。ここでは、筆者が思わず感動した商品を紹介する。


【1】「サウンド・特急サンダーバードセット」(2003年)


 サウンドがとてもリアルで、走行音のほか、駅名案内、発車メロディーが流れるセット商品。なんと金沢駅のリアルな発車メロディーも聞くことができる。また、ほかの車両にはない「αシステム」が搭載されている。これは現在の交通系ICカードの原理を使った「サンダーバード専用カード」をかざすことで、車両を発車させることができるという、画期的なシステムであった。トミー(現:タカラトミー)は驚くべきことに、非接触カードシステムをプラレールに搭載したのだ。


 セットにはサンダーバード専用の駅、踏切が入っている。これらの情景にもαシステムが搭載されていて、車両が駅の前に来ると自動で止まり、踏切を通過すると警報音が鳴る。この車両はプラレール史上初、駅に自動で止まる車両なのだ。同時期に発売の「日本全国アナウンスステーション」の3番線にもαシステムが搭載されており、セット付属の車両に対してのみ特別な動作をする。


 裏技ではあるが、2003年のプラレール博の入場記念カードをかざすと行先が変更するという隠れギミックがある。とても素晴らしい車両であったが、後継車両は登場することはなかった。


【2】「サウンド・スチームD51セット」(2005年)


 こちらの商品はプラレール史上はじめて水を使うプラレールである。D51にスポイトで水を注入して走らせると、本物のように煙突から蒸気が出てくるのだ。これはプラレールに小型の加湿器を搭載しているのと同じ原理である。この技術は感動ものだ。


 セットにはSLに合わせた黒いレールと情景が付属しており、SLのかっこいい走りを一層高めてくれる。このセットの発売後、スチームつきのD51 498号機が単品で発売されていた。


【3】「TVで遊ぼう!ぼくはプラレール運転手」(2000年)、「スマホで運転!ダブルカメラドクターイエロー」(2016年)


 時は2000年、プラレール界に大きな衝撃を与えたものがあった。それはカメラのついたドクターイエローだ。専用のコントローラで車両の操作が可能で、さらにテレビにつなげることで、プラレールの前面展望を見ることが可能である。


 そしてその16年後、最新技術を搭載して復活した。車両も700系を種車とする新しいドクターイエローになった。また再生機器もテレビではなく、スマホに変わった。そして前面展望に加え、車窓映像を楽しむことができるようになった。大きな進化だ。スマホを使わないと操作できないことから、子どもひとりで遊ぶというより、親同伴で遊ぶことを前提に設計されたのではないかと感じている。


 この車両は揺れを抑えるためなのか、車輪も特別なものとなっており、研究されて作られた車両だと実感する。ちなみにこのセットは、2016年日本おもちゃ大賞(イノベイティブ・トイ部門)を受賞している。


 このように60年間では様々な車両が発売されてきた。今回紹介できなかったが、雪玉を吐き出すもの、リモコン操作ができるもの、大きな橋を渡るものなど、多岐にわたる。この記事で少しでもプラレールに興味をもっていただけたのであれば幸いである。


 京都市鉄道博物館では、プラレール60周年の記念展示を5月7日まで行っている。またGWには「プラレール博」が東京で開催される。長いGWにプラレールを見に行ってみてはどうだろうか。なお、ここで掲載した車両の多くが、残念ながら廃盤となっているので注意していただきたい。


 プラレール60周年おめでとう。筆者はこれからもプラレールの益々の発展を期待する。


※参考文献/『プラレール大図鑑2004〜2005』(ネコ・パブリッシング)、『プラレール超図鑑』(ポプラ社)のほか、タカラトミーの製品カタログ、同社ホームページを参照


●取材・文/早稲田大学鉄道研究会プラレール分科会

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