“新世界秩序”実現のため?「人類を5億人以下に維持」「新たな言語で人類を統一」ジョージア・ガイドストーンが残した謎

2024年4月27日(土)12時0分 tocana

 都市伝説や陰謀論が好きな人なら一度は「ジョージア・ガイドストーン」というものを聞いたことがあるだろう。新世界秩序(NWO)を実現するためのガイドラインが刻まれていたとも言われるジョージア・ガイドストーンは、破壊されてしまった今も多くの謎を残している。そもそもジョージア・ガイドストーンとは、誰が、何のために作ったのだろうか。


 アメリカのストーンヘンジとも称されるジョージア・ガイドストーンは、1980年にジョージア州アトランタから東へ約90マイル(約145km)の人口4,000人の小さな村の野原に建設された。一見古代のもののようにも見えるが比較的新しい。高さは5.87メートルで6枚の厚い石板から構成されている。


 誰がジョージア・ガイドストーンを建てたかは不明だが、世界に終末が訪れた場合の人類文明の再建を指導するためのものと見なされており、未来の世代のために8つの言語でメッセージが刻まれていた。


 しかし、2022年7月6日の日の出前、何者かによって爆薬が設置され、石板の一つが完全に破壊されてしまった。そして残った石版は安全のために当局によって撤去されたのである。


 


誰がジョージア・ガイドストーンを建てたのか?

 1979年6月、エルバートン・グラナイト・フィニッシングという会社が、数人のアメリカ人から大きな石碑の建設を依頼された。


 その日、ロバート・C・クリスチャン、またはR.C.クリスチャンと名乗る男が、ジョージア州エルバートンの事務所に現れ、奇妙なアイデアを提案した。彼は「羅針盤、時計、カレンダーのような巨大な構造物を作りたい」と伝え、さらに「それはどんな災害にも耐えられるようにしたい」と述べた。R.C.クリスチャンは、ジョージア州外の匿名希望のグループから来たという。


 CNNの記者トーマス・レイクによると、R.C.クリスチャンは1986年に偽名で本を書いていたらしい。その本は「Common Sense Renewed」と題され、彼の人類に対するビジョンが述べられているものだったそうだ。その本はアマゾンや図書館では入手できず、フロリダ州のアヴェ・マリア大学のカタログに記載されていたものの、そこでも見つけることはできなかった。結局、その本は行方不明と報告されている。


 トーマス・レイクによると、R.C.クリスチャンは「私はジョージア・ガイドストーンの創始者であり、そのメッセージの唯一の著者である」と述べ、多くのアメリカ市民の協力を得てこのモニュメントを建設したことを明かしている。彼は、偏りなく平和な世界を目指しており、匿名を選んだ理由は議論や争いを避けるためであると語っている。彼が提案した10のガイドラインには、「世界裁判所」の設立や新しい言語での統一が含まれ、個人の自由に影響を与える可能性のある規制も提案されている。また、彼は選挙権を持つには経済学と歴史の知識が必要であるとし、医療の利益は選ばれた者に限られるべきだとも主張している。


さらに「私たちは才能ある個人には子供を少なくするような環境を作りつつ、貧困層には出産を奨励する補助金を提供している」とも述べている。


 1980年の時点で世界人口は約45億人であったが、クリスチャンはすでに人口過剰に悩まされていたようだ。NPR(National Public Radio:アメリカの非営利公共ラジオネットワーク)によると、「自然との永続的なバランスを保ちながら、人口を5億人以下に保つ」と「賢く再生産を指導する」などのガイドが注目されたため、抗議行動を引き起こすだけでなく、サタンとの関連を主張する陰謀論を広め、時には石碑に対する破壊活動にもつながった。


 陰謀論は長年存在し、人々がそれに基づいて行動することもある。過激主義研究者ジャレッド・ホルトは、ガイドストーンが示すこれらの考えがどれほど普及しているかを指摘し、ネット上の陰謀論者が公職に立候補する事例を例にその影響を説明している。


 2008年から2014年にかけてジョージア・ガイドストーンは何度も荒らされたため、周囲には監視カメラが設置された。落書きされた「新世界秩序に死を」と「私は愛の女神イシスです」という言葉は、この場所がサタニズムやオカルトと関連しているとの認識を公衆に深めた。


 ジョージア州の知事候補だったカンディス・テイラーは2022年5月1日の選挙運動でジョージア・ガイドストーンについて「悪魔的である」述べ、選挙で当選した場合にはモニュメントを撤去すると約束した。彼女は選挙で落選したが、その後、2022年7月6日にモニュメントは破壊された。


 一部の人々は、これらの石を「反キリストの十戒」と見なしたり、太陽を崇拝する者にとっての特別な場所であると考えている。また、優生学、安楽死、ジェノサイドといった否定的な思想を促進しているとの懸念も指摘されている。しかし、これらの理論を支持する確固たる証拠は少ない。一方で、核戦争のような大災害の後に人々を導くために設計されたという見解には、ある程度の根拠があるのかもしれない。


 ホルトによれば、インターネットはオンラインの議論と実際の行動の境界を曖昧にしている。現代政治では過激な発言が報酬を得やすく、これが現実に反映されると多大な害を及ぼし、影響は長期にわたることがある。ジョージア州エルバートンではこれが顕著で、かつて多くの観光客を引き寄せたガイドストーンだったが、破壊されてからは地元の経済が低迷している。


 


石板に何が書かれていたのか?

 石には複数の言語が刻まれていた。これらはユダヤ教徒やキリスト教徒が多くを占める地域で主に使用されている言語であると広く認識されているため選ばれたとされる。多くの人々は、この石を現代のロゼッタ・ストーンに例えている。ロゼッタ・ストーンは、異なる言語を記した石碑であり、古代文字の解読に重要な役割を果たしたためである。


英語の部分を翻訳すると次のような内容となっている。


人類を自然との永遠のバランスの中で500,000,000人以下に維持する。
賢く再生産を指導し、適応性と多様性を高める。
新たな言語で人類を統一する。
情熱—信仰—伝統—およびすべてのものを節度ある理性で治める。
公正な法律と正しい裁判所で人々と国家を守る。
すべての国が内部で統治し、世界裁判所で外部の争いを解決する。
些細な法律と無用の官僚を避ける。
個人の権利と社会的義務のバランスを取る。
真実—美—愛を尊び、無限との調和を求める。
地球上のがんであることをやめ、自然に場所を残す。


 これらのフレーズは北側から始まり時計回りに、スペイン語、スワヒリ語、ヒンディー語、ヘブライ語、アラビア語、繁体字中国語、ロシア語で繰り返されていたとされる。公式報告によると、スワヒリ語とヒンディー語が刻まれていた石板は爆破によって破壊されたという。


 


ジョージア・ガイドストーンを建てた謎の人物とは

 トーマス・レイクによると、アイオワ州フォートドッジ出身の医師、ハーバート・H・カーステンがジョージア・ガイドストーンの建設者である可能性が示唆されている。その根拠として以下の三つの点が挙げられている。


・カーステンは1920年5月7日に生まれ、1998年7月14日に書かれた手紙でR.C.クリスチャンが78歳であると述べた際、カーステンも同じく78歳であった。この年齢の一致は、カーステンがクリスチャンである可能性を示唆している。


 


・カーステンは長年にわたり、ジョージア・ガイドストーンプロジェクトの財務を管理した銀行家、ワイアット・マーティンに送られた封筒に記載された住所と同じ住所に居住していた。この住所の一致は、カーステンがプロジェクトに深く関与していたことを示している。


 


・カーステンは新聞に多くの手紙を寄稿しており、その内容がクリスチャンの言説と酷似していた。これは、カーステンの思想や哲学がジョージア・ガイドストーンに刻まれたメッセージと一致することを示している。


 映画製作者がハーバート・H・カーステンの人生を調査する中で、彼がウィリアム・ショックレーと親しく、その人種差別的な考えを支持していたことが判明した。ショックレーはノーベル賞受賞者で物理学者だが、後年は人種による知能の差を主張し、特定の人々の生殖を制限するべきだという優生学的な見解で物議を醸した人物である。


 また、カーステンは人種主義者でナチス思想の政治家、デビッド・デュークも支持していた。これらの情報から、映画製作者はカーステンがジョージア・ガイドストーンの依頼者、ロバート・クリスチャンである可能性を考えた。しかし、カーステンの息子ジェームズはこれを否定し、ジョージア・ガイドストーンがあるエルバートンの指導者たちも、ショックレーとデュークの見解に賛同していないと述べた。


 陰謀論の影に包まれ、今もなおその真実が謎に満ちたジョージア・ガイドストーン。破壊されてしまった今も語り継がれるそのメッセージは、人類の未来への警鐘なのだろうか。


参考:How And Whys

tocana

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