新入社員必見! 電話応対の極意 第3回 お客様の心をつかむヒアリング&クロージングのコツ

2025年4月29日(火)12時0分 マイナビニュース



「電話応対は苦手……」そう感じている新社会人や就活生は多いのではないでしょうか?近年、SNSやチャットツールが普及し、電話を使う機会が減っているため、苦手意識を感じるのは当然かもしれません。しかし、ビジネスシーンにおいて電話はまだまだ重要なコミュニケーションツールです。
本連載では、電話への抵抗感をなくし、社会人の基礎スキルを磨く機会となるような電話応対のコツやテクニックを紹介します。
今回は、前回解説した3つの基本的なステップから、ヒアリングとクロージングについて、より具体的に紹介します。
ヒアリングとは、単に情報を集める作業ではありません。顧客自身が“課題やニーズに気づく”手助けをすることが真の目的です。
例えば「課題は何ですか?」といきなり聞いても、多くのお客様は答えられません。そこで大切なのが、答えやすい順番で質問を組み立てることです。
質問の順序は「現在 → 過去 → 未来」答えやすい内容から質問する
ヒアリングを行う際は相手が答えやすい内容から質問を始めましょう。
まずは今の状況(現在)を聞き、次にこれまでの経緯(過去)に遡り、最後に今後どうしたいか(未来)を尋ねます。
順序を工夫することで、お客様は安心して話せるようになり、より本質的なニーズや悩みが見えてきます。
顧客から出てきた課題に対し、自社商品やサービスで、どのように解決できるのかを提案することで相手に興味を持ってもらえます。
深堀質問で本質を探る、展開質問でニーズを広げる
ヒアリング力を高めるために使いたいのが、以下の2種類の質問法です。
深掘り質問とは、相手が言ったことに対してさらに詳しく聞き、真の課題を明らかにする方法です。例えば、「具体的に言うと、どんなことですか?」、「それは、どうしてそうなったんですか?」といった質問をすることで、相手の考えや課題をより明確に引き出せます。
一方で展開質問は、相手の視野を広げ、新しい視点を提供するための質問です。例えば、「他に何かありませんか?」「〇〇の視点から見たら、どう思いますか?」といった形で、相手がまだ考えていないことや見逃していることに気づかせるような質問をすることが目的です。
この二つの質問方法をバランスよく使い分けることで、顧客理解の解像度が一段と高まります。
拡大質問で顧客の考えを広げる、限定質問で素早く確認する
拡大質問は、「このサービスの資料をご請求頂いたときに特に気に入ったポイントはどこですか?」「どういった点に魅力を感じて頂きましたか?」といった質問で、顧客が自由に考えを広げて答えられ、潜在的なニーズや背景、目標を引き出すときに役立つ質問です。
一方、限定質問は、YesかNo、もしくは数字で答えるような回答がある程度限定される質問です。限られた時間の中で素早く確認したいときや、顧客がこれまでに言った内容を確認するときに使うと効果的です。例えば、「競合他社の商品と比べて、操作性は優れていると思いますか?」「このサービスが御社の課題を解決するのに役立つと思いますか?」といった質問です。
拡大質問と限定質問は、顧客がどのように答えるかを考えながら、どちらを使うか決めていきましょう。

スクリプトに頼らない自然な会話術
電話をする際、トークスクリプトを準備する企業もあるかもしれません。トークスクリプトがあることで顧客に伝える情報の一貫性を保つことができ、誤った情報伝達やクレーム発生のリスクを低減するメリットがあります。
しかし、顧客からの想定外の質問や反対意見などがあると思わず焦ってしまいますよね。
そのような状況では、無理に説得したり言い返したりするのではなく、相手のニーズを再確認する質問を投げかけ、本当の要望を引き出すことを意識するのが重要です。
相手の意見や感情を受け止めながら、自分の意見を伝える話し方として下記のような「クッション話法」があります。
イエスバット(Yes But)法
「そうですね」と相手を肯定しつつ「しかし」で反対意見を述べ、尊重しながら会話を進めます。
イエスアンド(Yes And)法
否定の接続詞を使わず「そして、ちなみに」など、柔らかな印象を与える話し方です。
イエスイフ(Yes If)法
「もし、〇〇の場合ならどうか?」と条件を提示し、再検討を促します。
イエスハウ(Yes How)法
「どのような〜?」と希望を尋ね、納得できる条件を聞き出す方法です。
イエスワット(Yes What)法
「購入に迷われる不満な点は何ですか?」と深掘り質問し、具体的な要望を把握します。
イエスソーザット(Yes So That)法
「だからこそ〇〇なんです」と自分の意見に引き込み、顧客の背中を押してクロージングに進めるための方法です。
好印象を与えるクロージング
クロージングは、商談等のアポイントメントの取得や次回のアクションの確認など、次のステップに進むための合意を得る会話のまとめ役を担います。
クロージングのステップ
STEP1:ニーズの確認と共感
顧客の課題を理解し、相手の状況に共感しながら自社の関連性を伝えることで、信頼感と親近感を醸成します。
例:「〇〇という課題でお困りなんですね。」「弊社のサービスをお使いの企業様も同じようなお悩みをお持ちでした。」
STEP2:アポイントメント提案
顧客のニーズに合わせた解決策を示し、具体的な商談の機会を提案します。
例:「その解決方法を詳しくお伝えするために、一度直接お話しさせていただけませんか?」「〇日と△日のどちらがご都合よろしいですか?」
STEP3:確認とフォローの告知
アポイントメントが確定したら、今後の流れについて伝えます。
例:「それでは、〇月〇日の△とき改めてご連絡いたします。」「この後、メールに当日のオンラインお打ち合わせのURLをお送りしますので、ご確認下さい。」
STEP4:お礼
時間をいただいたことへの感謝を伝え、丁寧な言葉で会話を終えます。
例:「本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。」
電話は短い会話で進むケースが多いですが、だからこそクロージングで顧客に安心感や信頼感を与えることが大切です。
営業は「話す力」よりも「聞く力」で差がつきます。どれだけ相手の話に耳を傾け、丁寧に拾い上げられるかが、営業としての信頼と成果を生み出します。
新人の皆さんにとって、ヒアリングは最初の関門かもしれません。ですが、聞くことの本質と技術を意識して習得すれば、必ず強力な武器になります。
まずは一歩ずつ、基本から、自信を持って、お客様の“声”と向き合っていきましょう。
大島 海久 おおしまみく 住宅事業の代理店営業を経験後、より幅広い業界業種への営業活動ができる環境を目指し、2023年に音声解析AI「MiiTel(ミーテル)」を開発・提供する株式会社RevCommに入社。インサイドセールスグループ・SDRチームを経て現在はエンタープライズ領域のBDRチームにてインサイドセールス業務に従事。 株式会社RevComm:https://www.revcomm.co.jp/
「コミュニケーションを再発明し、人が人を想う社会を創る。」という理念のもと、音声技術とAIにより、コミュニケーション課題を解決する企業です。電話解析AI「MiiTel Phone」、Web会議解析AI「MiiTel Meetings」、対面会話解析AI「MiiTel RecPod」の提供を通じ、コミュニケーションが発生するすべての場所における会話のビッグデータ化を実現します。 この著者の記事一覧はこちら

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