東京でしか味わえない唯一無二の「老舗グルメ」4選。洋食発祥の店や日本最古の居酒屋も!

2023年4月29日(土)10時49分 食楽web


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 連休ということもあり、旅行で東京を訪れる計画を立てている人もけっこう多いと思います。周知の通り、東京にはレストランや居酒屋が星の数ほどあり、駅前などにチェーン店も数多く出店しているので、食べる場所には困りません。

 その一方で、ピンポイントでそこにしかない、支店を持たない唯一無二の老舗が多いのも東京の特徴。例えば銀座の『煉瓦亭』ではとんかつのルーツとなった「ポークカツレツ」が味わえるし、日本最古の居酒屋とも言われる神田『みますや』では東京名物「どじょう丸煮」を日本酒と一緒に堪能できる…といった具合。

 というわけで今回は、東京旅行や出張でぜひ食べてみたい「東京でしか味わえない老舗の絶品グルメ」を4つご紹介しましょう。

日本が誇る洋食の老舗『煉瓦亭』の「ポークカツレツ」|銀座


1964(昭和39)年、東京オリンピックに合わせて建て直した店舗

 海外からの観光客の姿が徐々に戻りつつある銀座。なかでも、ひときわ目立つのが1895(明治28)年創業の『煉瓦亭』の行列です。オムライス、カキフライ、エビフライなどなど、「これぞ洋食」ともいうべきメニューの発祥の店です。

 特に有名なのが、明治32年頃に生まれたとされる「元祖ポークカツレツ」(2600円)。何を隠そう、これが日本全国にある「とんかつ」のルーツ。まさに東京に来たら一度は食べておきたい一皿なのです。


サクサクの衣が豚肉の旨味を閉じ込めている。ちなみに付け合わせに千切りキャベツを添えたのも『煉瓦亭』が最初

「元祖ポークカツレツ」の原型となったのは、明治時代に伝来した「仔牛のコートレット(cotelette)」というフランス料理。しかし、本場のレシピはバターをたっぷり使うので、明治時代の人には少々しつこかったようです。そこで『煉瓦亭』では、天ぷらにヒントを得て、たっぷりの油でカラッと揚げるカツレツ(=coteletteの日本語読み)を考案。


柔らかさと噛みごたえが共存する絶品。何もつけなくても十分おいしい

 そのポークカツレツは、約110gの豚肉を、植物油とラードなど3種類の油を混ぜた油で揚げているのでサックサク。かじると、衣に閉じ込められていた豚肉の甘い肉汁が口中でジュワ〜っと広がります。なのに、しつこさや脂っこさは一切なし。

 日本全国に美味しいとんかつのお店は星の数ほどありますが、大げさではなく、完璧と言っていいほどの美味しさです。からしとウスターソースが一緒に運ばれてきますが、何もつけなくても十分に満足できる絶品です。

●SHOP INFO

店名:煉瓦亭

住:東京都中央区銀座3-5-16
TEL:03-3561-3882
営:11:15〜15:00(14:30LO)
  16:40〜21:00(20:30LO)
休:日曜
アクセス:東京メトロ銀座線銀座駅A10出口、B1出口から徒歩3分

現存する日本最古の居酒屋『みますや』の「どぜう丸煮」|神田


創業120年。入り口にゆらめくちょうちんには「どぜう」の文字が。ガラガラと引き戸を開けて入店する

 日本最古の居酒屋といわれる『みますや』。創業は1905(明治38)年。夏目漱石が『吾輩は猫である』を発表し、日露戦争が終結した年です。創業当時の建物は、1923(大正12)年の関東大震災で焼失してしまったそうで、現在の建物は1928(昭和3)年に建てたもの。


店内は清潔で凛とした雰囲気。想像よりずっと広く、奥に同じくらいの広さのテーブル席・座敷もある。飴色の電灯の光もいい感じ

『みますや』には名物料理がたくさんありますが、まず食べてみたい逸品が、名物の「どぜう丸煮」700円。どじょうを開かずに丸ごと煮込む“丸煮”は、江戸時代に生まれた調理法で、東京の郷土料理として愛されてきたそうです。下町・神田らしい一皿というわけですね。

 中くらいの鉢にたっぷりのどじょう、一緒に煮込まれた薄切りのゴボウ、そして卵、ネギが入っています。頭からしっぽまでまるごといただきます。甘じょっぱいお味がどじょうにしっかりと染み込んでいるので、臭みや泥臭さはまったくなし。ツルッとした食感の中に小骨のコリッとした歯ごたえがたまりません。


神田『みますや』の「どぜう丸煮」。頭からしっぽまでまるごとツルッとそのままいただく

 そして、どじょうの濃いめの味や肝の淡い苦味は日本酒にぴったり! 日本酒は常時15種ほど置いていますが、燗酒「白鷹」450円。みますやオリジナルのとっくりがかわいらしいですね。どじょうとの相性が良すぎてどんどん進んじゃいます。


日本酒との相性は抜群。お酒は冷酒・燗酒のほか、ビール、サワー、焼酎(多種)、ワイン、ウイスキーが揃う

 開店してすぐの時間は空いていますが、後からどんどんお客さんが入ってきます。予約の電話もひっきりなしにかかってくるので、開店時間に間に合わない場合は予約をしたほうが安心。

 ちなみに、戦時下では空襲によって火災が起きたそうですが、近所の人々が「酒が呑めなくなると困る」と一致団結して水をかけて消火してくれたそうです。120年近く愛され続けてきたお店の堂々たる風格も含めて味わい深い「どじょう丸煮」、ぜひご堪能あれ。

●SHOP INFO

店名:みますや

住:東京都千代田区神田司町2-15-2
TEL:03-3294-5433
営:11:30〜13:30、17:00〜22:00(LO)
休:日・祝

東京3大たい焼きの一つ『柳屋』の天然「たい焼き」|人形町


創業者は長野の豪農出身。大名が泊まる本陣だったそうで「柳屋」はその屋号にちなんで名付けられたという

 人形町駅から歩いてすぐの「甘酒横丁」といえば、食べ歩きにぴったりのグルメストリート。通りに入ると、ほのかに甘〜い匂いが……。もうそれだけワクワクしてきますが、ここをふらふらと歩いていくと見えてくるのが創業1916(大正5)年の老舗たいやき専門店『柳屋』さん。

『浪花家総本店』(麻布十番)、 『わかば』(四谷)と並んで東京三大たい焼きのひとつと称される名店中の名店です。店頭では職人さんがたい焼きを焼いており、お客さんが吸い寄せられるようにどんどん入っていきます。


薄皮の中に十勝産小豆のあんがぎっしり詰まった逸品

 ちなみに、たい焼きには俗に「養殖もの」と「天然もの」があるのをご存知でしょうか? 養殖ものは一度に複数個をまとめて焼くタイプで、天然ものは1つずつ金型で焼くタイプ。柳屋のたい焼きはもちろん天然もの。

 3代目・竹内彰一さんによると創業以来ずっとこのスタイルを守り続けてきたそうです。「金型は鉄製の特注品です。焼く時間は3分ちょっとかな。途中1回しかひっくり返しません。強い火力でパリッと焼き上げています」と竹内さん。


鉄製の特注金型を使い、強い火力でパリッと焼き上げる。焼き時間は約3分。途中1回しかひっくり返さないのが柳屋の流儀

 皮はパリッパリの薄めタイプ。焼きたてを割るとホカホカの湯気がモワ〜ッと立ち上り、中からどっさり入ったつぶあんがあふれてきます。小豆は十勝産。その日の朝作ったばかりの熱いあんこを使用。


尻尾の先まであんこがぎっしり詰まっているので、どこから食べてもがっかりすることはない

 アツアツをほおばると、皮はパリッとしながらも、かすかにモッチリ感もあります。あんこは頭のてっぺんからしっぽの先までたっぷり。1つから購入できますが、6個、10個、12個〜の場合、おみやげ用の箱入りにもしてもらえます(別途箱代が必要)。

 たくさん買って食べきれない場合は、1つずつラップでくるんで冷凍庫へ。食べる時は電子レンジで20秒ほど温めて、そのあとトースターで皮をパリッとさせるのがオススメ。

●SHOP INFO

店名:柳屋

住:東京都中央区日本橋人形町2-11-3
TEL:03-3666-9901
営:12:30〜18:30
休:日・月

太宰治『人間失格』にも出てくる『神谷バー』の「デンキブラン」|浅草


神谷ビルは1921(大正10)年竣工(奥にある新館は昭和55年竣工)。1Fが『神谷バー』、2Fが『レストランカミヤ』

 浅草のランドマーク的存在であり、伝説的カクテル「デンキブラン」で有名なのが『神谷バー』。創業はなんと1880(明治13)年。看板メニューのデンキブランは1882年(明治15)年に製造がスタート(当時は「速成ブランデー」という名称)。

 名称の由来は、明治時代は電気が珍しかったため、舶来の目新しいものとして「デンキブラン」と名付けられたそう。太宰治「人間失格」、芥川龍之介「十円札」、林芙美子「新版 放浪記」などの作品にも登場するカクテルです。


「デンキブラン」350円。縁ギリギリまで注がれているので、最初は琥珀色の海に口を近づけてすするように味わう

 ブランデーをベースに、ジン、ワイン、キュラソー、薬草などがブレンドされているのが特徴で、オーダーすると、キリッと冷やされたグラスになみなみと琥珀色の液体が注がれます。その美しさたるや…。

 グラスの縁ギリギリまで注がれているので、最初の一口目はグラスを持つよりも、思いっきり琥珀の海に突っ込むイメージで顔を近づけていくのが吉。ほんのりと甘い口当たりに絡み合う薬草の風味。甘やかで美味!


ビールをチェイサー代わりにする常連も多いそうだが、お酒の弱い人やビギナーは無理せずお冷をチェイサーにすべし

 さすが30度あるので、飲み込むと喉がカーッとアツくなります。でも、それがたまらない! 複雑な味わいなので合わせる料理によってさまざまなマリアージュが楽しめそうです。ちなみに現在の「デンキブラン」はアルコール30度、元祖デンキブランを味わいたい方は40度の「電氣ブラン<オールド>」(450円)をどうぞ。

 なお、『神谷バー』の2Fにある『レストランカミヤ』では、デンキブランはもちろん、ハンバーグステーキやビーフシチューなどの洋食メニューのほか、1階・神谷バーの定番メニューも楽しめるので、食事目的なら2階がおすすめです。

●SHOP INFO

店名:レストランカミヤ

住:東京都台東区浅草1-1-1 2F
TEL:03-3841-5400
営:11:30〜22:00(21:30LO)
休:火

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