東京から1時間で行ける酒場天国・八王子で寄りたい「ノスタルジック酒場」3選

2021年4月30日(金)10時50分 食楽web


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 人口57万人を超える一大都市にも関わらず、神奈川県と言われたり、山梨県と言われたり、都内での存在感はお世辞にも高いとは言えない八王子。事実、八王子市民は都心へ出向くことを「東京に行く」と表現することもあります。

 そう、八王子は東京であって東京でない不思議な場所。そんな八王子には、実は呑兵衛にはたまらない店が目白押し。今回は、同地の名酒場をご紹介します。コロナ禍が落ち着いたら、ぜひ行ってみてください。

変わらぬ味を守り続ける老舗焼鳥店『広小路』


脂を落としながら焼く「やみつきホルモン」。大きさと鮮度にこだわり、「卸してくれる業者を見つけるのに4年かかった」と大ママ

 東京駅からオレンジ色の中央線に揺られること約1時間で八王子到着。開発が進む駅前の喧騒を過ぎると、低層木造建築が立ち並ぶ横丁が現れます。かつて花街として栄えた色気の残り香漂う路地裏、こんがらがった電線の下をそぞろ歩けば、気分は平成を飛び越え昭和へ。


常連客がカウンターで談笑中。いやぁ、楽しそうです

 そんな独特の辺境感を色濃く残すのが、駅北口から西へ5分ほど歩いた酒場密集地帯。目指すは八王子最古参の焼き鳥居酒屋、創業57年の『広小路』です。黒光りする建具に歴史を感じる店内ではドリンク担当のマスターを挟み、向かって左の厨房に大ママ、右の焼き場に娘さんのなおママが立つのがおなじみの光景です。


レバー、カシラ、ねぎまなどお酒が進む焼鳥が多数。特に旨みが切り口から流れ出ないよう、鶏一羽分を丸ごと使うレバーは、とろりとした口あたりで最高

 こちら、常連客で構成するサポーターの会があるほど長年のファンが多い店なのですが、一見客にもフレンドリーなのもうれしいところ。「この辺も様変わりしたね。今残っている店はうちくらい」。10代の頃から店を切り盛りするマスターが、懐かしそうにそう語ります。


手前は「やみつきホルモン」、左が「だし巻たまご」。これに合わせて飲みたいのが、「マスターのジンライム」

 名物「やみつきホルモン」は、ぷりぷりの巨大ホルモン串。下ごしらえのため二度脂を抜いてもなおこの大きさを保つホルモンに、57年継ぎ足してきたタレを絡め香ばしく焼き上げた逸品です「最初にふらっと入ったら、居心地がよくて。気付けば毎週通ってます」とは常連客の弁。変わらぬ味と雰囲気が人々を癒す、八王子の“第二の我が家”がここにあります。

●SHOP INFO

広小路

住:東京都八王子市中町10-13 中町広小路

満席必至! 新鮮ホルモンを採算度外視で出す『天竜 八日町本店』


「ホルモン盛り合わせ」は、並サイズでも500g。噛み切りにくい部位に丁寧に包丁を入れるなど、工夫されているのが分かります。つまみにも箸休めにもなる「白菜キムチ」を一緒に頼もう

 外に出てそぞろ歩けば、ひときわ賑やかな一角が。毎夜満席を誇る『天竜 八日町本店』の人気のワケは、冷凍保存を一切しない新鮮なホルモンを破格の値段で食べられること。ボウルで豪快に提供される「ホルモン盛り合わせ」は、自家製のタレを揉み込んだ6種以上の部位が山盛りに。採算度外視で客を喜ばせたいという店主の気概が、ビシビシ伝わってきます。


週末は予約必須。リピーター客が多い

 店主の高橋直人さんは八王子出身。三鷹にあった人気焼肉店で店長を務め、大阪・梅田で修業した後、民家だった木造家屋を地元の知人と改装、2009年に独立を果たしました。リーズナブル過ぎる価格設定を「失敗しました」と笑いながら、「旨い肉と安い酒が楽しめる居酒屋として使って」と高橋さん


店主の高橋直人さん

 王道のホルモンの他、マニアックな部位もリーズナブルに揃います。ひとり客向けのカウンター席があるのもうれしいところです。

●SHOP INFO

天竜 八日町本店

住:東京都八王子市八日町1-19

レトロな雰囲気の中にセンスを感じる手作り酒場『中町食堂』


手前はクミンが香る「大人のラムメンチカツ」、奥は「サバ味噌ポテサラ」。ラムと赤ワインが合う!

 安くて旨くて、飾らない。『広小路』と『天竜』に通じるそんなキーワードを、少し今風に提案するのが『中町食堂』です。かつて駄菓子店だったというレトロな木造建築の雰囲気はそのままに、和洋中、ときにエスニックのニュアンスも加えた気の利いた料理と、クラフトビールや自然派ワインが楽しめます。


「えびの塩辛」と「山椒香る枝豆」、「イナヅマビール 東京smooth2020」

 コンセプトは“手作り”。調味料やドレッシングにもひと手間かけた料理は、サク飲み向けのつまみからボリューミーなメイン、〆のご飯やデザートまで揃います。系列の醸造所「イナヅマビール」をはじめ、クラフトビールは9種前後、自然派ワインもグラスで13種前後と豊富。


寛いだ雰囲気の2階の座敷席。こじゃれた古民家バル風の1階とのギャップもおもしろい。学生から会社員まで幅広い客層も特徴的です

 2階には、昭和感満載のちゃぶ台席があり、しばらく足を崩し呑み交わせば、終電の時間を忘れるほど話が弾むこと間違いなしですのでご注意を。

●SHOP INFO

中町食堂

住:東京都八王子市中町2-15

(文◎唐澤理恵 撮影◎大谷次郎)

※当記事は『食楽』2020年春号の記事を再構成したものです

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