買い時? 売り時? 「ロレックスバブル」崩壊後の現在地

2025年5月1日(木)11時0分 マイナビニュース


ロレックスの人気モデルが中古市場で高騰し続け、"資産"としても注目を集めていたここ数年。しかし、最近ではその相場にも"右肩下がり"の変化が見られているという。
今回は、全国展開する大手買取専門店「買取大吉」の鑑定士・木村健一さんに、現在のロレックス市場の動向と今後の展望について話を聞いた。
○ピークから1年半! 未だに続くロレックス市場の"下落傾向"
——ロレックスの二次流通市場、現状はいかがですか?
ここ半年ほどの相場を見ると、引き続き"下落傾向"が続いている印象です。2023年の夏頃から、ゆるやかに価格が落ちてきています。
——まだ下がっているんですね……。具体的に、どれくらいの下がり幅なのでしょう?
ピーク時から比べると、だいぶ価格は落ち着いてきていますね。たとえば、デイトナの「116500LN」というモデルは、昨年の10月頃には450〜500万円ほどで取引されていました。
それが、直近では安いもので370万円くらいになっています。ざっくり言うと25%程度、100万円近く下がっています。
——25%……かなりインパクトがありますね。デイトナ以外で値動きの大きいモデルはありますか?
サブマリーナの「116610LV」、通称「ハルク」と呼ばれるモデルも同様です。緑のベゼルと文字盤が特徴で、もともとかなり人気は高いのですが、価格が下がっています。
最も高いときで450万円ほどだったのが、今は250〜300万円ほどに落ち着いています。
——ハルクもそんなことに……。現行品はどのモデルも似たような傾向ですか?
大体そうですね。この半年間くらいで、ロレックスは全体的に20〜25%程度の価格下落が見られる印象です。
○ロレックス価格の急高騰の理由と急下落の背景
——相場のピークはいつ頃だったのでしょうか?
2023年の夏くらいだったと思います。ここ1年くらいのスパンで見ると、昨年の8月頃が一番高く、そこから緩やかに価格が落ち続けています。年末に一度だけ若干の持ち直しがあったものの、その後もじわじわと下がり続けていて、現時点ではかなり低い水準になっている、という感じですね。
年末の若干の持ち直しに関しては、「物欲需要」といわれる年末の消費行動が影響したと思います。実は3月にも若干の上昇が見られましたが、年度末に向けた買い替えや新生活の影響と見られ、4月に入ってからはまた落ち込んでいます。
——ちなみに、いわゆる"ロレックスバブル"というのが始まったのはいつ頃だったんでしょうか?
本格的に価格が上昇し始めたのは、コロナ禍の2020〜2021年頃です。時計の部品が作れず供給が止まった一方、需要は急増したため、相場が跳ね上がりました。
コロナ禍で旅行や外食にお金を使えなくなった分、「資産価値のあるモノ」へ需要が移ったことも大きく影響しています。
さらに、YouTubeやSNSなどで有名人がロレックスを購入し、「買った値段より高く売れた」といった情報が拡散されたことで、投資目的で購入する人が急増しました。結果、正規店ではなかなか買えず、中古市場の相場も上がっていったという構図です。
——では逆に、ここまで下がった理由は?
大きな要因は、やはり世界経済の不安定さです。ウクライナ情勢や中国経済の減速、さらには為替の影響などもあると思います。あとは、投資目的で買っていた人たちが「値段が下がってきた」と気づいて売り始めた影響もありそうですね。いわゆる"損切り"です。
——株式市場やビットコインのような動きですね。
そのとおりです。高値で買った人たちがマイナスで売らざるを得なくなって、結果的に市場に在庫があふれ、価格がさらに下がるという連鎖が起きているわけです。投資目的での需要が減ったことも、相場下落の一因だと思います。
——円安や円高も影響していますか?
その影響も大きいと思いますよ。円安になると輸入品の価格が上がるので、それに連動して中古品の価格も上がります。一方、円高になると価格が下がる傾向があるので、現在の円高傾向も下落を後押ししている要因のひとつです。
○ロレックスは買い時? 売り時? プロの見解は……
——見方を変えれば「ロレックスが買いやすくなった」と言えそうですが、実際に入手しやすくなっているのでしょうか?
正規店では依然として入手困難ですが、中古市場なら探せば買える状態です。以前ほど回転も速くなくなっているようです。バブル期は入荷すればすぐ売れていたんですが、今は在庫が滞留しがちだと聞いています。
——ロレックスのなかで、未だに価値が高まっているモデルなどはありますか?
やはり特別なモデル、たとえば「レインボーデイトナ」のような希少性が高いものが挙げられると思います。これはダイヤやサファイアなどの宝石が文字盤やベゼルにあしらわれた非常に特別なモデルで、当時800万円ほどだったものが、現在では5000万円以上の値がついたりしています。そういう希少価値の高いモデルは、今もまだまだ高値を維持しています。
——ロレックス、今は「買い時」なのでしょうか? 「売り時」なのでしょうか?
価格的には、ピーク時と比べて明らかに"お得感"はあります。特に、本当に時計が好きな人にとっては、購入するにはいいタイミングだと思います。
ただし、今後さらに下がる可能性もあるので、投資目的での購入であれば少し慎重になってもいいかもしれません。
すでに投資として高値で買ってしまっていて、今も保有していて使用する予定もないようであれば、今のうちに売ってしまったほうがいいのではないかと思いますね。
また、ここまでは基本的に現行モデルの相場をお話ししてきたのですが、たとえば90年代に作られていたようなモデルは今もほぼ値崩れしていないんですよ。
現在50〜60歳ぐらいの方で、90年代にロレックスを購入され、今も保有している方は売却を検討されてもいいかもしれません。
当時は20〜25万円くらいで販売されていて、まったくプレミアもついていない時代だったのですが、そのような時計でも今の相場では50万円、100万円、150万円といった価値がつきます。
売り時については、「買取大吉」にて的確にアドバイスさせていただきますので、ぜひお近くの店舗まで遊びに来ていただけると嬉しく思います。
ロレックスバブルといわれた一時期の熱狂から、一転して落ち着きを見せつつある現在の相場。引き続きその動向に注目……というより、本当に時計を愛する人にとっては“買い時”で、売却を考えている人にとっては“売り時”なのかもしれない。いずれにしても、動くなら……今?

マイナビニュース

「ロレックス」をもっと詳しく

「ロレックス」のニュース

「ロレックス」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ