800m落合が大学デビュー戦で学生歴代4位、3000m障害は佐々木が完勝、スーパールーキーがともにユニバ代表に決定

2025年5月3日(土)6時0分 JBpress

(スポーツライター:酒井 政人)


落合がデビュー戦で学生歴代4位

 ワールドユニバーシティゲームズ(以下ユニバ)の代表選考を兼ねて行われた日本学生個人選手権。今年はルーキーたちの活躍が強烈だった。まずは男子800mで1分44秒80の日本記録を保持する落合晃(駒大)だ。

 大学デビュー戦となった金栗記念選抜中長距離大会の1500mは3分44秒18の自己ベスト。メイン種目の800mは今大会が大学初レースになった。

「初めての800mで少し不安があるなかでスタートラインに立ったんですけど、予選から準決勝にかけて、レース感覚と調子を上げられて良かったかなと思います」と落合。準決勝で全体トップの1分48秒17をマークすると、翌日の決勝に向けては、「東京世界陸上の開催国枠エントリー設定記録である1分45秒88が目標です」と話していた。

 そして落合が決勝で“有言実行”のレースを披露する。

 200m付近で先頭に立つと、400mを53秒で通過。終盤は後続をグングンと引き離していく。そしてターゲットにしていた「1分45秒88」にピタリと到達した。

「風があったんですけど、あまり気にせずに1分45秒88を目指して走りました。ラスト150mまで余力を持って走れていたので、そこからの伸びで後ろを離すことができましたね。総監督に言われたレースができましたし、目標タイムまでいけたのは評価できると思います」

 今季は3月に大八木弘明総監督が指導するGgoatのメンバーと米国・アルバカーキで高地合宿を実施。1500mでシーズンインを迎えるなど、高校時代とは異なるアプローチで800mの初戦に臨んだ。

「高地トレーニングと1500mに取り組んだことで、スタミナ面を強化できました。予選・準決勝を走っても余裕がありましたし、この時期にしては出力を高めて練習してきて、その成果が出たのかなと感じています。ラストをしっかり切り替えられて、ほぼイーブンでまわれたことが自信になりました。今度は1周目を51秒で入り、2周目を今日と同じくらいで粘れたら、44秒台、43秒台が見えてくるかなと思います」

 アジア選手権に続いて、ユニバ代表(内定)に選出された落合。開催国枠エントリー設定記録を突破したことで東京世界陸上もグンと近づいてきたが、今後は同大会の参加標準記録(1分44秒50)を目指していく。


3000m障害はルーキー佐々木が完勝

 男子3000m障害は金栗記念選抜中長距離大会でU20日本歴代2位&日本学生歴代8位の8分29秒05をマークした佐々木哲(早大1)が強かった。

 すでにアジア選手権代表を手にしていた佐々木は、「ユニバ代表を狙うために、何としても1位を取る気持ちで臨みました」と1000m過ぎに前に出る。レースの主導権を握ると、終盤は花田勝彦駅伝監督が指示した“2段階スパート”が炸裂した。

「花田監督から『ラスト400mから切り替えるんじゃなくて、残り700mぐらいで1回出て、ラスト400mでもう一度上げるようなかたちを考えてやっていくように』と言われていました。最後の切り替えはまだまだですけど、イメージ通りのスパートができたと思います」

 佐々木が大会新となる8分36秒30で完勝。2位の黒木陽向 (創価大4)も従来の大会記録(8分38秒94)を上回る8分38秒19、3位は柴田大地(中大3)で8分43秒03だった。

 800mの落合に続き、佐々木も1年生ながらユニバ代表が内定した。すでに学生では“無敵状態”になっているが、早大のスーパールーキーはさらに上を見つめている。

「三浦さんは大学1年時に8分19秒37秒を出されていますし、世界で戦うことを考えたら、現状に満足することなくやっていかなければいけません。東京世界陸上に向けて、セイコーゴールデングランプリでは参加標準記録(8分15秒00)を目指します」

 佐々木は利き足(右)で跳ぶときは障害をハードリングでクリアしており、その技術は国内屈指のレベルにある。絶好調の学生ルーキーが5月18日のセイコーゴールデングランプリで三浦龍司(SUBARU)の背中を追いかける。


東京世界陸上を目指す4年生も貫録のパフォーマンス

 昨年のパリ五輪に4×100mリレー(予選)で出場した栁田大輝(東洋大4)が大会2日目の男子100mに登場した。午前中に行われた予選は10秒54(−1.3)で「どうしようもない走りだった」が、午後の準決勝で立て直す。10秒09(+1.8)で駆け抜けて、「状態が上がりきっていないなかでも0台が出せて、底力が上がっていると思います」と充実の表情を見せた。

 栁田が棄権した決勝でも東洋大勢が大活躍した。「栁田さんから『絶対に勝てよ』とプレッシャーをかけられていました」という大石凌功(3年)が10秒19(+0.8)で優勝。「ユニバ代表がかかっているので1位と2位では雲泥の差。しっかり勝ち切れたことは大きな自信につながるかなと思います」と笑顔が弾けた。

 大石は昨年9月の日本インカレ4×100mリレーでアンカーを担ったが、早大・井上直紀に逆転を許している。その「悔しさ」を忘れないため、部屋の壁に日本インカレのゼッケンを張り付けて、「絶対に見返してやる」という気持ちで取り組んできたという。そして日本学生個人選手権を制したことで、「世界選手権のターゲットナンバー内の選手」であるとともにユニバ代表に選ばれた。

 男子110mハードルでは阿部竜希(順大4)が準決勝で快走した。学生歴代3位の13秒26(+0.7)を叩き出して、東京世界陸上の参加標準記録(13秒27)を突破したのだ。翌日の決勝は13秒30(+1.3)で完勝したが、本人は満足していなかった。

「勝ち切れたのは良かったですけど、タイムを狙っていたので、60点くらいですね。中盤から後半にかけて捌ききれなくて、浮いてしまいました。まだ一発屋なので、もっと安定して出していきたい」

 阿部もユニバ代表に内定したが、順大の先輩である泉谷駿介(住友電工)、村竹ラシッド(JAL)とともに東京世界陸上を目指していく。

筆者:酒井 政人

JBpress

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