これぞ究極の「幻の魚」 今の時期しか見られない、真っ赤に染まった「イトウ」の姿に反響
2021年5月3日(月)11時0分 Jタウンネット
イトウという魚をご存じだろうか?
日本原産のサケの仲間で、最大級の淡水魚と言われている。絶滅危惧種にも指定されており、北海道のみに生息する幻の魚とも呼ばれている。
2021年4月28日、次のような写真付きのツイートが投稿され、話題となっている。
うおおおおおおおおこれが!赤いイトウだっ!太陽光で煌めくこの婚姻色イトウを見られる水族館は世界中で当館だけです!マジで泣きそう! pic.twitter.com/NZg2Vl16Gf
— 山内 創 (@suymuc) April 28, 2021
写真は、水槽の中を悠然と泳ぐ巨大な魚の様子だ。「うおおおおおおおおこれが!赤いイトウだっ!」というコメントが添えられている。「太陽光で煌めくこの婚姻色イトウを見られる水族館は世界中で当館だけです!マジで泣きそう!」と、付け加えられている。
かなり興奮気味のツイートをした投稿者の山内 創(@suymuc)さんは、北海道北見市にある「北の大地の水族館」館長だ。
このツイートには、1万4000件を超える「いいね」が付けられ、今も拡散中である(4月30日昼現在)。
ツイッターにはこんな声が寄せられている。
「幻の巨大魚」
「顔もイトウって感じだ!!」
「どうぶつの森でしかイトウを知らなかったのですが迫力がありますね!」
「釣りキチ三平のアニメを見て北海道でイトウを釣りたいなあと思った事がある笑」
「すげぇ...初めて見た... イトウってこんな色になるんだ」
「こんな婚姻色の見事なイトウが見られるのは、世界中でここの水族館だけですね凄い!」
ツイッターユーザーの反応からも、興奮した様子が伝わってくる。
Jタウンネット記者は、ツイートの投稿者・「北の大地の水族館」の山内 創館長に電話で話を聞いた。
自然光で見る赤いイトウはとても美しい
Jタウンネット記者の取材に、山内館長は電話でこう答えた。
「今年は、館内のイトウの大水槽だけでなく、屋外の『四季の水槽』でもペアで展示をしています。太陽の下で、自然光で見る赤いイトウは、とても美しいです! この赤色の婚姻色イトウが見られるのは当館だけです」
イトウは日本原産のサケの仲間の中で唯一春に繁殖期を迎え、オスは頭部より後ろが赤色の婚姻色になるのだという。「もしかしたらもしかして四季の水槽で繁殖行動を見ることができるかもしれません。我々も楽しみです!」と、山内館長の期待も高まる。
イトウについての、山内館長の解説を整理しておこう。
・赤い婚姻色を呈するのはオス
・メスは川で見えにくい薄く暗い紫になる
・地域や個体によって婚姻色の出方が少しずつ違う
・日本最大級の淡水魚(最大1.5メートル、30キロ)
・日本では北海道のみに生息
・絶滅危惧ⅠB類
・沿岸部から川の上流までを利用する
・地域ごとに遺伝的違いがある
同館が21日に発表したプレスリリースによると、赤いイトウの展示は2年ぶり。昨年は新型コロナウイルスの影響で断念せざるを得なかったという。
また、
「婚姻色で赤くなったイトウは雪解けとともに上流へと移動して繁殖を行いますが、その姿は普通険しい山中の細流でしか見られず、人目に触れることはめったにありません。また、水族館などの飼育下では婚姻色がほぼ出ません」
とも説明されている。
赤いイトウを見ることができるとは、いかに貴重なことか、ひしひしと伝わってくるだろう。ただでさえ「幻の魚」であるイトウの、非常に珍しい姿というわけだ。
展示協力は、「朱鞠内湖淡水漁業協同組合」で、増殖用親魚池で飼育されている天然イトウのなかでも、「特に婚姻色がよく発現した個体」を借りているそうだ。
この赤いイトウの展示は、5月9日までの期間限定。「来年以降も同じ時期に展示したい」と、山内館長は語った。