首都圏中古マンションお手頃エリア 坪単価100万切る物件も

5月3日(金)7時0分 NEWSポストセブン

新築同然の中古マンションが値引きされているケースも(写真はイメージ)

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 都心部のマンション市場は新築の価格高騰につられて中古物件の価格さえも上昇する傾向にある。だが、都会から少し離れたエリアでは“お手頃”な中古マンションが数多く出回っている。住宅ジャーナリストの榊淳司氏が、ズバリ狙い目のエリアを紹介する。


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 首都圏の中古マンション市場がやや動き始めた。東日本不動産流通機構の月間サマリを見ると、2017年の後半から目に見えて低調な動きをしていたのが、2018年の終わり頃からやや活発さを取り戻し始めた。ただし、在庫は徐々に積み上がっているのも認められる。


 取引価格は横ばいもしくは微かな上昇傾向が見られる。これは都心の高額物件が多く売買されたせいではないかと推測できる。去年の後半、高額物件の成約が増えた印象がある。ただ、東京の都心ではたとえ中古であろうと、普通のサラリーマンはマンションを買えないくらい高くなっているのも事実である。


 そこで、今回は都心からさほど離れていなくても中古マンションがお手頃な価格で買える狙い目エリアをいくつかご紹介したい。


 まず、東京23区内では都営三田線沿線の板橋区だ。特に「本蓮沼」駅以遠のエリアは、大手町直通という地下鉄沿線としてはかなり買いやすそうな物件を探せる。


 この沿線、不思議とマンションが安いのだ。ほんの3年ほど前まで駅徒歩6分程度の新築マンションが平均坪単価100万円台の中後半で販売されていた。それでも完売まで相当の時間を要した。竣工後もしばらく販売が続いていたので、おそらくその価格から値引きも行われたはずだ。


 現在の中古マンションを大手不動産サイトで検索してみた。「本蓮沼」駅以遠で築20年以内、徒歩10分以内、60平方メートル以上という条件で93物件がヒット。坪単価は133万円から270万円。50番目あたりの坪単価が207万円近辺だった。これが売り出し価格。


 現状、中古マンションが売り出し価格で成約するケースは都心の人気エリア以外ではほとんどみられない。東日本不動産流通機構が公開している在庫と成約の単価の差は1割程度ある。それをそのまま当てはめれば、このエリアでは坪単価180万円あたりが目安になりそうだ。20坪のファミリータイプで3600万円。23区内、地下鉄沿線としてはお手頃ではなかろうか。


 次に神奈川方面。狙い目のエリアはJR東海道線の「戸塚」駅を最寄りとするエリア。このエリアは30年以上前から新築マンションの供給が多かった。大量供給されたマンションが今は中古となって流通市場に出てきている。


 不動産サイトで東海道線の神奈川エリアで売り出されている物件数を駅別に調べると、「川崎」が366物件、「横浜」353物件、「戸塚」は360物件。「戸塚」では政令指定都市の中心駅とほぼ同じ物件数が登録されているのだ。


 さらに「戸塚」駅最寄りの物件を検索した。戸塚エリアはバス便も多いので、駅徒歩分数は指定せず、築20年以内、60平方メートル以上で検索すると96物件がヒット。坪単価は83万円から171万円。50番目あたりの物件に、「80平方メートル・3LDK、3180万円」というのがあった。その物件は駅徒歩18分、築14年。坪単価は130万円だった。ここから1割程度の値引きがあったとすると、3000万円未満で購入できる可能性がある。


 埼玉方面の狙い目は川口市。このエリアも昭和の終わり頃から町工場が次々のマンションに変わっていったので、中古物件の流通量がかなり多い。不動産サイトの登録物件はさいたま市全体で2016件なのに対して、川口市だけで777件。面積割合にするとさいたま市の1.35倍である。


「川口市」の中で検索した。条件は60平方メートル以上、築20年以内、所有権、駅徒歩10分以内。「駅徒歩10分以内」としたのは、川口市内にはJR京浜東北線と埼玉高速鉄道が通っており、バス便エリアが少ないのでやや条件を厳しく設定して物件数が確保できると考えたからだ。結果、この条件で158物件がヒット。


 坪単価は92万円から233万円。80番目前後あたりに面白い物件があった。「JR川口駅徒歩4分、76平方メートル・2LDK、築15年」が3600万円。坪単価は156万円。この物件、全301戸で30階建てのタワーマンションである。残念ながら、この住戸は3階だった。


 ここ5年ほど、東京の都心や川崎市の一部はバブル的にマンション価格が高騰した。高騰した地域が限られるので、私はこの現象を「局地バブル」と呼んできた。


 しかし、この局地バブルエリア以外の場所では、価格の上昇率はそれほどでもない。新築マンションの価格が建築費高騰のあおりを受けて上昇したのは事実である。土地の価格も少しは上った。新築市場につられて、中古マンションの価格も少し上がった。しかし、そのレベルは「少し」と言える程度。私の感覚では5年で2割も上ったかどうか。


 一方、郊外エリアでの中古マンションの主要な需要層は、普通のサラリーマン。どちらかといえば中小企業へ勤める人々だろう。そういう方々の個人所得は増えていない。社会保障費や消費税等の上昇で、むしろ可処分所得は減っている。だから、マンションの価格だけが上がっても、買う側は付いてきていないのが現実なのだ。


 特にここで紹介した3つのエリアは、中古マンションの供給が多いので、市場価格の形成は需要層側に主導権がある。だから今でも価格がお手頃水準にとどまっている。


 都心でも、中古マンションの売り物件が増えている。今後、この3つのエリアのように市場価格形成の主導権を需要側が握るエリアは徐々に広がり、五輪後には山手線近辺まで迫るのではないかと予測する。


※当原稿で使用した大手不動産サイトのデータは2019年4月中旬のものです。

NEWSポストセブン

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