『今夜も生でさだまさし』さださんの言葉で、大相撲所沢場所へ。四股を踏んだ振動がお尻に伝わる。力士の放つ前向きオーラで沈んだ気持ちが急上昇!

2024年5月2日(木)12時30分 婦人公論.jp

『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が、「日本橋SUMO WEEK(〜5月12日)」のイベントのひとつ「大相撲スタンプラリー」への参加,大相撲所沢場所の観戦記を綴ります。

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『今夜も生でさだまさし』のさださんの言葉


友人に言われた言葉が気になって眠れず、4月27日の午前零時過ぎ、テレビをつけたらNHKで『今夜も生でさだまさし』をやっていた。長野県松本市からの生放送だ。

番組の最後の方で、さださんが読んだハガキとその答えにより、私は救われた。うつ状態が治らない人が、さださんに助けを求めた内容のハガキだった。さださんは、自身がノイローゼになった時、「とりあえず、明日まで生きてみよう」と考えたと答えていた。

私が友人に言われた言葉は、「あなたは仕事を辞めずに家族の介護をしたが、稼いだお金を家族に使い、報われなかった。何をしても運がない。人に利用されるだけの人生ね」だった。その言葉が頭の中にこびりつき、気持ちが沈んでしまったのである。

私は4月23日の午後の出来事を思い出した。日本橋に行く用事があり、偶然、コレド室町テラスの1階入口で「日本橋SUMO WEEK(4月12日〜5月12日)」という掲示を見た。イベントのひとつとして「大相撲スタンプラリー」をやっている。スタンプラリーに年齢制限はない。もうすぐ71歳になるが、やってみようと思った。

まず、コレド室町テラス2階で横綱・照ノ富士の等身大のパネルを発見。そこに軍配型の紙が置いてあり、スタンプを押した。同ビル内の地下1階、日本橋三井タワー、コレド室町1などを巡り、6個スタンプを押した。最後に福島ビルに行き、力士の顔のあるステッカーをもらった。脚力の衰えをしみじみ感じたが、達成感は得た。福島ビルの1階には床に土俵が描かれ、大相撲グッズが「買いなさい」と言わんばかりに並んでいた。相撲グッズを見ていた女性に話しかけたら、大相撲に詳しく「地方場所は力士と触れ合えて、すごく楽しい」と話していた。私は地方場所に行ったことがなかった。

「春巡業 大相撲所沢場所」当日券を目当てに


さださんの「とりあえず、明日まで生きてみよう」という言葉に元気が出てきて、27日の午前9時から5年ぶりに開催される「春巡業 大相撲所沢場所」に当日券を買えるかわからないが、行ってみようと決めて眠ったら、寝坊してしまった。

所沢場所は午後3時までだ。公開稽古、序二段の取組などには間に合わないが、初切(しょっきり)や中入りからは見られる。会場の所沢市民体育館の当日券売り場に行くと、花道の横の席が空いていた。こんなチャンスは生涯ないかもしれないと思い、今後の節約生活を覚悟して12,500円の贅沢な一人マス席を購入。力士の絵柄のある座布団をもらえた。ビニール袋に圧縮してある座布団を抱えて、脚力の衰えを忘れて見学を開始した。後日、同体育館に電話して聞いたら、入場者は5,800人とのことだった。

外に出ると、できたての食べ物を提供する売店が並んでいた。どこも観客の長蛇の列で、その中に竜電が一人で並んでいるのを発見。幕内力士の特権として届けてもらうとかできないのだろうか?その庶民性に感激し、私は持参したスケッチブックにサインをしてもらった。

マス席の臨場感


体育館に戻り、1階のアリーナは土足厳禁とネットにあったので、持参した携帯スリッパに履き替えた。休憩時間なので土俵を確認。土俵が動かないようにどう作るのか?と思ったが、質問できる呼出さんがいず、その技術に勝手に感動した。

マス席といっても囲いがあるわけではなく、床に敷いたシートに囲いのテープが張ってある。私の横の花道も色がついているだけ。それが動きやすくて良かった。

花道の後方で四股を踏んだ力士がいて、その振動がお尻に伝わった。この臨場感がたまらない。力士は響くと思ったのか、四股は一回で終わってしまった。

観客の皆さんの頭を超えて見る土俵は遠く、取組の迫力はあきらめて、花道を往復する力士と出番を待つ力士に集中することにした。

花道の向こう側には柵があり、出番を待つ力士が仲良く話をしたり、体を動かしたりしている。本場所のような凄みのある緊張感はない。

「琴欧洲!」と大声で叫んだ


審判をするために、鳴戸親方が私の横の花道を通り過ぎた時に、私は現役時代の四股名の「琴欧洲!」と大声で叫んだ。すると、鳴門親方はクルリと全身をこちらに向けて、満面の笑顔で手を振ってくれた。本格的なイケメンであることを確認した。その姿に回りの観客たちが「わあっ!」と喜びの声をあげ、孤独な老人である私は良い事をした気持ちになった。

会場には「北勝富士関 所沢の星」と書いた横断幕がある。郷土の力士を称えるのが大相撲だ。北勝富士は埼玉県所沢市出身の31歳。髪結実演のモデルとして浴衣姿で登場した時も、観客の大歓声と大拍手をあびていた。 

埼玉県出身の幕内力士には、大栄翔(朝霞市)と阿炎(越谷市)がいる。

幕内力士の土俵入りでは、阿炎が赤ちゃんを抱いていた。赤ちゃんは力士に抱いてもらうと丈夫に育つと言われている。土俵入りをする照ノ富士も赤ちゃんを抱いて花道を歩き、不知火型の土俵入りを赤ちゃんを抱いてどうやるのか?と思ったら、土俵に上がる直前に露払いの翠富士に赤ちゃんを渡していた。


東方の幕内力士土俵入り(写真提供:著者)

力士たちの前向きなオーラで気持ちが急上昇


柵の回りの観客の集まり方で力士の人気度が分かる。サインをしてもらいたいし、写真も撮りたいからだ。取組を終えた熱海富士はニコニコ顔でサインをしていたが、テレビは平面、実物は立体だから、笑顔にも迫力があった。私が取組を終えた阿炎にスケッチブックとサインペンを差し出したら、「オッ」と気合いの声を出してサインをしてくれ、次の人にもその次の人にも「オッ」「オッ」と言いながらサインをしていた。気合いを入れてサインをする珍しい力士だと思った。

また、ドドッと柵のところに観客が集まった。三役揃い踏みをするために琴ノ若と照ノ富士が並んで登場したのだ。番付が上がるほどに力士は体ができて肌の色艶も良くなるのだと、私は学生時代に警備が厳しくなかった蔵前国技館内をウロウロして力士を見て学んだ。照ノ富士には貫禄のオーラがあり、琴ノ若は華やかなオーラがある。琴ノ若は琴櫻と四股名を変えるが、横綱になって土俵入りを見せてほしい。


これから三役揃い踏みをする琴ノ若と後ろはサインをしている照ノ富士(写真提供:著者)

体を鍛えている力士たちの前向きなオーラをあびて、落ち込んだ気持ちが急上昇した。「とりあえず、明日まで生きてみよう」。さださんと番組にハガキを送った人に感謝した。

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