「飛行機の中でぐずりだした幼い娘。あやすこともできず着陸を待っていると、作業着の男が裏紙に...」(北海道・20代女性)

2022年5月5日(木)11時0分 Jタウンネット

シリーズ読者投稿〜あの時、あなたに出会えなければ〜 投稿者:Hさん(北海道・20代女性)

その日Hさんは、1歳の娘をつれて飛行機に乗っていた。地元に帰省するためだ。

フライトは1時間半ほど。幼い娘はそのうちグズり始めたのだが、Hさんはある事情から全力であやし続けることができなかったという。

<Hさんの体験談>

私はその日、飛行機に乗っていました。離婚して故郷に戻ることになったのです。

当時1歳の娘を膝に乗せて抱きしめながら、これからのことをぐるぐると考えていました。とても不安で、飛行機の窓から見える景色が、時折涙で霞んでしまったのを覚えています。

娘が急にしゃべり始めて......

1時間半の長旅の中、娘は徐々にグズグズしていきます。でも私には全力であやす余裕もありませんでした。

ただただ、飛行機が着陸するのを待ちました。すると、娘が急にしゃべり始めたのです。

顔を見ると笑っていて、その視線の先には作業服を着た30代後半くらいの男性が居ました。

彼はなにかの裏紙に娘が好きなキャラクターを何個も描いて見せてくれていたのです。

娘はそれに大興奮! グズグズも治り、ずっとキャラクターを見ては喜び、彼とお話しするかのように笑いかけていました。

私は彼の優しさに涙が出てしまい、何度も感謝の気持ちを述べました。

「こんなに温かい人がいるんだと......」

私の言葉に彼は、

「いいんです。僕は出張ばかりで子供といる時間が少なくてね......。会えたとしても、絵を描くくらいしかできなかった。でも、今日ほど絵を練習してて良かったと思えた日はないよ」

と言ってくれました。

私の鼻をすする音や充血した目をみて、何かを察したのでしょうか。

飛行機が着陸した後も、私は彼に深く頭を下げました。

「そんな辞めてよ! 大変だろうけど頑張ってね」

彼はそう言って、キャラクターを描いてくれた紙と飴を3つ娘に渡して、去って行きました。

周りの人全てが敵だ——そう思っていた当時の私でしたが、こんなに温かい人がいるんだと心底感謝し、飛行機に乗るたびに彼のことを思い出します。

今、娘は4歳になり母娘、2人で仲良く楽しい毎日を過ごしています。あの時は本当にありがとうございました。

誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!

あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。

Jタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。

読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、エピソードを体験した時期・場所、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度〜)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。

(※本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談の一部を改変している場合があります。あらかじめご了承ください)

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